子どもたちの高次脳機能障害-理解と対応
定価:3,300円(本体3,000円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-360-8
内容紹介
医療職と教育者のための、こどもの高次脳機能障害への対応マニュアル
治療の現場から、社会や学校に戻っていく高次脳機能障害の子どもたちの今と未来のためにできること-。
こどもの時に高次脳機能障害を負いながらも医療や教育の現場で適切な支援や訓練を受けないまま大人になり、高次脳機能障害により自立(自律)した生活を送ることが困難となっている状況が、近年、指摘されている。
いま、高次脳機能障害をもつ子どもへの対応が求められている。
本書では、高次脳機能障害とは何か、発達段階にある子どもの高次脳機能障害は大人の高次脳機能障害とどう違うのか、社会面や学習面にどのような影響があるのか、高次脳機能障害による行動症状について具体的にどのように対応したらよいのか、医療職と教育者が復学のために連携してできることは何か、保護者とのかかわり方についてなど、理解の土台となる神経心理学的知識、教育心理学的知識、発達心理学的知識からわかりやすく解説しつつ、子どもたちの生活の中心の場である学校生活での対応について豊富な事例を紹介しつつ、具体的にまとめている。
治療の現場から日常生活の場へと子どもたちを送り戻す立場である医師やリハ医、リハスタッフ、看護師といった医療職の方にとっては教育関係者や家族に子どもの高次脳機能障害を理解してもらうための手引書として、また医療の現場から引き継ぎ、その後の子どもたちの学業生活を支える教育者、特別支援教育コーディネーター、地域で支援を行う療育関係者にとっては、学校での具体的対応マニュアルとして、いずれの現場でも明日から役立つ本。
目次
序
第 1 章 後天性脳損傷の観点からみた脳とその働き
1-1 事例
1-2 脳は「私」自身である
1-3 脳の生理と働き
1-4 後天性脳損傷とは
1-5 脳が損傷を受けるとどうなるか
1-6 後天性脳損傷によって誰が影響を受けるのか
1-7 脳とその働き
第 2 章 後天性脳損傷を発達の観点から理解する
2-1 脳損傷についての通説と誤解
2-2 後天性脳損傷の原因
2-3 外傷性脳損傷
2-4 軽度,中等度,重度の損傷
2-5 児童の特定の発達段階における損傷
2-6 回復と長期的影響
第 3 章 後天性脳損傷に取り組むうえでの課題
3-1 事例,教室での行動
3-2 教室において期待される役割と行動
3-3 教室における後天性脳損傷に伴う一般的課題
3-4 後天性脳損傷に伴う認知的課題
3-5 後天性脳損傷に伴う行動的・情動的課題
3-6 後天性脳損傷に伴う身体的課題
3-7 教室における課題に関するその他の留意点
第 4 章 学校環境の中で後天性脳損傷と向き合う
4-1 事例
4-2 通説と誤解
4-3 学習障害と後天性脳損傷との違い
4-4 適切な方略の決定
4-5 方略の立案過程
4-6 教育者向けの一般的方略
4-7 認知障害
4-8 認知的技能と方略
4-9 行動障害と情動的障害
4-10 行動と情動における技能と方略
4-11 身体的障害
4-12 一般的技能および方略
第 5 章 後天性脳損傷者に対応する一般的手法
5-1 概要
5-2 方向転換(リダイレクション)
5-3 再構築(リストラクチャリング)
5-4 「バック・ドア」(裏口)手法
5-5 正の強化法(および分化強化または「生徒が何か良いことを
しているところをとらえる」手法)
5-6 積極的無視
5-7 キューイング(合図出し)
5-8 誘発要因を変更する
第 6 章 個別プログラムの立案と復学
6-1 事例
6-2 通説と誤解
6-3 復学を成功させる要素
6-4 個別教育計画(IEP)とその重要性
6-5 個別教育計画(IEP)の作成方法
6-6 移行について
第 7 章 評価および計画立案に向けてのチーム・アプローチ
7-1 通説と誤解
7-2 他の専門家との連携
7-3 学校および教育委員会に配置されている人材
7-4 他の関係のある専門家
7-5 支援を求める際の留意点
7-6 評価および計画立案に向けてのチーム・アプローチ
第 8 章 保護者の役割
8-1 通説と誤解
8-2 保護者の役割
8-3 注意すべき言葉遣い
8-4 保護者と話す際の一般的なヒント
8-5 保護者と教師との定期的な連絡を維持する方略
第 9 章 付録
9-1 略語一覧
9-2 神経心理学的検査
9-3 脳損傷チェック・テスト
9-4 用語集
9-5 参考文献
9-6 索引
【監訳】中島恵子
【訳者】加賀令子