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第19回勇気ある経営大賞

患者力を引き出す作業療法―認知行動療法の応用による身体領域作業療法

電子版あり

定価:3,960円(本体3,600円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-432-2

B5 / 216頁 / 2013年
【編著】大嶋伸雄(首都大学東京 健康福祉学部 作業療法学科 教授)
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内容紹介

作業療法士のアイデンティティはここにある!

いま作業療法に必要なのは“患者自身が自分と向き合える作業”を提供することである。つまり、“患者を治す視点”から“セルフヘルプペイシェントを作る視点”へのパラダイムシフトである。作業療法士(OT)のアイデンティティはここにあるといえる。

本書は、このパラダイムシフトを実現するためにOTに必要なのは“認知行動療法(CBT)”であることについて、序章、第1章、第2章に分けて丁寧に解説されており、具体的かつ効果的な理論・技術がわかる実践書となっている。作業療法へのCBTの応用をまとめた書籍は洋書にはあるが、本邦初である。
序章では、OTのアイデンティティの所在といま必要なものを提示するため、OTと理学療法士の違いなどをわかりやすい図も交えて明解に説明していく。
第1章Aでは、身体領域作業療法の対象となる患者の心理と対処について、解説されている。その対象疾患は高次脳機能障害、身体障害に合併するうつ病などである。また、地域在宅医療における患者・家族、高齢者の心理的課題についても記載されている。第1章Bでは、CBTの応用基礎として、CBTとは何か、認知的変数、自己統制感、ソクラテス式質問法、CBTの応用基本モデルなどが解説されている。そして、実際にCBTを使う方法として、カウンセリングの原則、セッションなどが、発展的な内容として、リハ拒否への対応、評価への人間作業モデルの活用、自己効力感と気づき、協業、患者マネジメントなども記載されている。
第2章では、実践報告として、リハ拒否への対応・集団CBTの活用を含めた6事例が取り上げられているが、いずれも患者に行動変容を促し、ADL、QOLが改善した事例である。

目次

序章 概説―認知行動療法の概略と作業療法における効果について
  A. 作業療法士のアイデンティティと認知行動療法―なぜCBTなのか? (大嶋伸雄)
    1. 身体領域作業療法のアイデンティティ 
      1) 個人的作業療法経験と専門的疑問の変遷 
      2) 比較で理解できる作業療法と理学療法の違い 
      3) 理学療法と作業療法を一言で説明する 
      4) 急性期の“心身機能・身体構造”でOTは何をするのか?
    2. 身体領域作業療法の技法―“今,OTに必要なもの”
      1) わが国の身体領域作業療法に“欠けているもの”
      2) “OT”と“アクティビティ”と“作業療法理論”と“?”
      3) 認知行動学(認知行動療法)に学ぶ“カウンセリング技術”とリスク管理
    
第1章 認知行動療法―基礎編
  A. 身体領域作業療法における患者心理と対処
    1. 脳卒中患者における様々な課題と現状
      1) 高次脳機能障害者の心理的問題 (宮本礼子)
      2) 脳血管障害患者の心理的問題 (高山大輔)
      3) 半側空間無視患者の語りから見えてきたもの (山本麻子)
    2. 臨床作業療法における様々な心理的課題
      1) 一般的疾患の作業療法に認知行動学的介入が必要な理由 (大嶋伸雄)
      2) 整形外科疾患における患者の心理的課題 (大嶋伸雄)
      3) 内部障害における患者心理 (大嶋伸雄)
      4) 地域在宅医療における患者・家族心理と多重問題 (吉浦 輪)
      5) 高齢者における認知的課題と心理的問題 (望月秀樹)
  B. 作業療法のための認知行動療法の応用基礎
    1. 身体障害のクライエントへの認知行動学的介入の意義と意味 (大嶋伸雄)
      1) ライフステージにおける認知行動学的スキーマの方向性
      2) リハビリテーションとスキーマの相互関係
      3) 身体領域作業療法における認知行動学的対応
    2. 認知行動療法を理解する (大嶋伸雄)
      1) 認知行動療法とは何か?
      2) 認知行動療法の歴史的経緯
      3) 様々な認知の概念
      4) 認知行動療法の主要な認知的変数を理解する
      5) 認知療法と認知行動療法
      6) 自己効力感とは何か?
      7) 自己統制感と自己効力感
    3. 作業療法士による認知行動療法 (大嶋伸雄)
      1) 作業療法士によるカウンセリング
      2) 認知行動学的カウンセリングの基本
      3) ソクラテス式質問法
      4) 人間理解のためのCBT“応用基本モデル”
      5) 患者の“自動思考~後ろ向きスキーマ”をキャッチする
    4. 作業療法士として実際にCBTを使う (大嶋伸雄)
      1) カウンセリング技術と作業療法士
      2) カウンセリングを行う作業療法士の原則
      3) セッションの組み立て方
      4) セッションにおける作業活動の用い方
      5) ホームワーク
      6) セルフアセスメントシートの利用
    5. 発展的作業療法と認知行動療法
      1) 作業療法による活動と認知行動療法の用い方 (下岡隆之)
      2) 評価としての人間作業モデルの活用 (下岡隆之)
      3) “気づく”心理変化と認知行動療法 (大嶋伸雄)
      4) セルフヘルプペイシェントを作る作業療法 (大嶋伸雄)
    
第2章 認知行動療法の応用による作業療法の実践報告
  1. CBTと作業療法の併用により障害認識が改善されたCVA患者
     ―一言日記で“逃避”から“目標”へ (大野彰啓)
  2. 明確な障害認識がもたらした好循環の失行事例
     ―「できない」から機能を最大限に利用した「できるかも」へ (小原朋晃)
  3. 回復期リハ病棟に入院する患者へのCBT―患者は何を考えている? (西 乙菜)
  4. 脳卒中発症後に心理的変化から不安を訴えた事例 (小日向 洋)
  5. 集団CBTの活用により行動変容した事例―他者を蹴る行動から
     「この人たちとできて良かった」という発言・行動の変化へ (石原綾乃・熊代有希枝)
  6. CBTによって歩行意欲の向上につながった整形外科的疾患の事例 (並木千裕)
    
索引