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第19回勇気ある経営大賞

脳卒中のリハビリテーション 生活機能に基づくアプローチ【原著第3版】

定価:8,800円(本体8,000円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-499-5

B5 / 856頁 / 2015年
【編著】
Glen Gillen
【監訳】
清水 一 (広島大学名誉教授、井野口病院リハビリテーション科)
宮口英樹 (広島大学大学院医歯薬保健学研究院 作業行動探索科学研究室)
松原麻子 (広島市立リハビリテーション病院)

内容紹介

名著 “Stroke Rehabilitation”待望の翻訳版
これ1冊で脳卒中の作業療法がマスターできる

リハビリテーション専門職が最も多くかかわる疾患の一つである脳卒中。

本書は、その病態・疾病学などの医学的知識をはじめ、作業療法の基礎、クリニカルリーズニング、ADLへのアプローチなど、リハビリテーションを提供するために必要な知識を網羅。

さらにはケーススタディや脳卒中患者の視点からみたリハビリテーションのプロセスを紹介し、患者の子育て、性、自動車運転などの支援にも触れるなど、読者の作業療法の奥行きを深め、幅を広げる構成となっている。

また、包括的かつ根拠に基づく実践のため、リハビリテーションの効果判定を行う研究がレビューされたり、脳卒中のリハビリテーションに関する成書として初めて「Árnadóttir OT-ADL神経行動学的評価法(A-ONE)」を体系的に紹介し、 ADLと神経科学の融合が試みられたりする点なども読みどころ。

【本書の特徴】

1.作業療法士の視点として、対象者のFunction(=生活機能)とFunctional(=実用的な)課題や活動を治療的に用いることの重要性が述べられ、患者にとって治療的に有効な活動を用いる課題指向型アプローチが推奨されている。

2.機能と機能障害のメカニズムについて解説され、障害に応じたアプローチの具体的な方法について述べられている。対象者の「できないこと」に対して、なぜできないのかを、対象者の状況(疾病特性、機能障害)と作業に必要なこと、環境について分析し、アプローチを考えるうえで必要な解剖学、生理学、病理学などの基礎知識が得られる。

3.リハビリテーションの効果判定を行う研究がレビューされ、根拠に関する検証が行われている。また、本書の内容だけではなく、過去の成果についての情報も得ることができる。

4.各章に目標や復習問題が設定されている。また章末に提示されているケーススタディを読むことで、それまでの内容の理解をより深めることができる。

目次

第1章 脳卒中患者の病態生理,医学的管理と急性期リハビリテーション(梁 楠)
 第1部:脳卒中の病態生理と治療について
 ・脳卒中の罹患率と影響
 ・脳卒中の疫学
 ・脳卒中の発生機序と病理
 ・脳卒中の診断
 ・脳卒中の検査
 ・脳卒中の医学的管理
 ・脳卒中再発の予防
 ・合併症と後遺症の予防
 ・脳卒中の医学的管理の将来動向
 第2部:脳卒中の急性期リハビリテーションについて
 ・早期介入の重要性
 ・チームアプローチ
 ・ICU/急性期における脳卒中患者のモニタリング
 ・脳卒中の急性期リハビリテーションの評価
 ・脳卒中の急性期リハビリテーションの介入
 ・浮腫の治療
 ・肩関節への介入
 ・環境設定による空間アウェアネスの向上
 ・早期の認知的介入
 ・皮膚の保護と損傷の予防
 ・コミュニケーション
 ・嚥下障害のスクリーニング
 ・セルフケアの練習
 ・家族指導
 ・急性期治療における目標設定
 ・退院計画
付録-脳卒中の治療に一般的に用いられる薬剤と共存症
第2章 脳卒中リハビリテーションの心理的側面(梁 楠)
 ・脳卒中を予測できる心理的要因
 ・回復およびリハビリテーションの予測ができる発症前の心理的要因
 ・脳卒中に対する情動反応
 ・脳卒中による人格の変化
 ・抑うつ
 ・不安障害
 ・その他の心理,情動的状態
 ・生物学的治療介入
 ・病気へのコーピング,回復とリハビリテーション
 ・回 復
 ・作業療法実践
第3章 作業を介した参加と生活の質の改善(清水 一)
 ・参加を実現させることについての中心的概念
 ・作 業
 ・クライエント本位の治療
 ・生活の質
 ・参加の評価
 ・生活の質の評価
 ・参加と生活の質に対する障害
 ・治療過程全体を通じて参加を育む方法
 ・急性期治療
 ・入院患者のリハビリテーション
 ・在宅医療
 ・外来治療
 ・地域への再統合
第4章 脳卒中リハビリテーションの課題指向型アプローチ(清水 一)
 ・作業療法の課題を指向するアプローチの基礎をなす理論的な仮定とモデル
 ・運動発達のシステム観
 ・運動学習についての最新の見解
 ・運動行動のシステムモデル
 ・課題指向型の作業療法アプローチを使った評価枠組み
 ・作業療法で課題指向型アプローチを使用するときの治療原理
第5章 脳卒中のリハビリテーションにおける活動に基づく介入(山根伸吾)
 ・背景となる概念と根拠
 ・脳の可塑性に関する神経科学研究
 ・CI療法
 ・練習と学習
 ・効果的な練習機会の提供のため活動が求めることを構造化する
第6章 運動制御障害に対するアプローチ:根拠に基づくレビュー(山根伸吾)
 ・根拠に基づく実践を理解すること
 ・研究文献を評価するための基準
 ・脳卒中リハビリテーションにおけるパラダイム・シフト
第7章 体幹制御:機能的自立を支援する(岸下裕志)
 ・日常機能を妨げる可能性がある一般的な体幹機能障害の概要
 ・機能的体幹解剖学
 ・運動制御の考察
 ・体幹の評価と治療の一般的な考察
 ・評価過程
 ・課題遂行中の体幹制御を強化するための治療技術
第8章 バランス障害の概要:実用的意味(橋本貴正)
 ・理 論
 ・感覚の組織化
 ・姿勢制御
 ・中枢神経系構造
 ・包括的評価
 ・目標の立案と治療計画
 ・非対称的重量配分の治療
 ・バランス方略の再教育
 ・治療計画に影響するほかの要因
 ・文書記録
第9章 前庭のリハビリテーションと脳卒中(岸下裕志)
 ・前庭系の概要
 ・脳卒中症候群
 ・前庭のリハビリテーション
第10章 上肢機能と管理(澤田辰徳)
 ・作業療法の展望(考え方)の概要
 ・定義と分類
 ・選択した上肢課題の活動分析
 ・評価手段の選択
 ・課題遂行を支援するための麻痺側上肢の使用:介入のための提案
 ・生活機能を促進するための目標,課題の選択および介入
 ・課題指向型アプローチで用いられる選択的補助介入
 ・評価と介入の際に考慮する機能障害
 ・肩手症候群/複合性局所疼痛症候群Ⅰ型
 ・一般的治療原則
第11章 脳卒中後の上肢回復を促進させるリハビリテーション科学技術(澤田辰徳)
 ・開発のための理論的根拠
 ・科学技術の開発を導く理論
 ・ロボットに介助させる治療法(ロボット介在療法)
 ・手ロボット
 ・両側上肢訓練
 ・機能的電気刺激
 ・Myomo
 ・Handmaster
 ・その他の反復課題練習装置
 ・リハビリテーション科学技術の臨床利用
第12章 浮腫のコントロール(松原麻子)
 ・脳卒中後の手の浮腫の病因
 ・浮腫の評価方法
 ・脳卒中後の手の浮腫に対する今日の治療法
第13章 スプリントの適用(松原麻子)
 ・歴史展望
 ・背側 対 掌側のスプリンティング
 ・脳卒中後の患者に一般的に用いられるスプリントの概説
 ・脳卒中後の上肢遠位に対するスプリントの処方と設計における考慮点
 ・意思決定の過程
 ・一般的なスプリント装着ガイドライン
 ・一般的なスプリント製作ガイドライン
 ・特異的なスプリント製作ガイドライン
第14章 起居移乗動作(松原麻子)
 ・用 語
 ・文献の概要
 ・起居移乗動作と移動:活動と参加との関係
 ・文脈的要因の起居移乗動作への影響
 ・起居移乗動作:多様な過程の成果
 ・心身機能と身体構造および技能の障害
 ・起居移乗動作課題
 ・仰臥位での活動
 ・座位での活動
 ・立位での活動
 ・技能獲得を促すための補助技術
 ・評価方法
 ・環境変化を予測する
第15章 歩行のアウェアネス(松原麻子)
 ・用 語
 ・信頼性のある歩行パラメータ
 ・歩行の逸脱の原因
 ・骨粗鬆症
 ・治療介入
 ・その他の異常歩行パターン
 ・歩行補助具
 ・歩行パターン
 ・保護する技術
第16章 最大限に生活機能を引き出す視覚障害および視空間障害への対処(松原麻子)
 ・実用的な活動における視覚情報処理
 ・視覚スクリーニング検査
 ・視力障害への対処
 ・半盲に主眼を置いた視野障害への対処
 ・複視への対応
 ・視空間と空間関係の障害
第17章 セラピストはどのように考えるか:脳卒中後の認知と知覚に障害のある患者にかかわるときのセラピストのリーズニングの探究(松原麻子)
 ・クリニカルリーズニングとは何か
 ・脳卒中後の認知と知覚に障害がある患者のクリニカルリーズニング
 ・ケーススタディ:SallyとSam
 ・クリニカルリーズニングの種類を説明する言語
 ・クリニカルリーズニングと専門知識
第18章 神経行動学的障害が日常生活活動に及ぼす影響(松原麻子)
 ・日常生活活動
 ・神経行動学:作業と神経活動とを結びつける過程
 ・活動遂行における神経行動学的障害の影響の発見
 ・課題遂行中の処理過程
 ・脳卒中による日常生活活動領域の作業の障害
 ・脳卒中から引き起こされる機能障害のパターン
 ・A-ONEの使用に関連するクリニカルリーズニング
 ・評価方法
第19章 認知-知覚障害の治療:生活機能に基づいたアプローチ(松原麻子)
 ・神経行動学
 ・治療アプローチ
 ・評価決定
 ・治療上の注意
 ・脳卒中患者における神経行動学的障害
 ・介入方略
 ・特異的神経行動学的障害に対する治療アプローチ
 ・目 標
第20章 脳卒中後の発話障害と言語障害への対処(柏田孝志)
 ・コミュニケーションの範囲
 ・脳卒中によるコミュニケーション障害の影響
 ・コミュニケーション障害の発生率と有病率
 ・脳卒中によるコミュニケーション障害のタイプ
 ・一連の治療における言語聴覚士の役割
 ・コミュニケーション障害の管理
 ・脳卒中に関連した言語障害
 ・認知コミュニケーション障害
第21章 日常生活活動の遂行を高める(青山信一,松原麻子)
 ・老年期デイリハビリテーション:支援施設で暮らすクライエント
 ・老年期デイリハビリテーション:自宅で暮らすクライエント
 ・作業療法介入プロセスモデルの開始
第22章 脳卒中後の子育て(中本裕美)
 ・親子の協同に関する研究
 ・育児の補助具に関する研究
 ・視覚的状況提示
 ・育児の適応を導くための作業療法評価
 ・介入モデル
 ・育児における社会的障害
第23章 手段的日常生活活動としての自動車運転と地域における移動手段(松原麻子)
 ・自動車運転と地域における移動手段は日常生活技能の重要な活動である
 ・リハビリテーションチームの責任
 ・脳卒中患者を担当する作業療法士の役割の変化
 ・臨床評価と路上運転評価の組み合わせの重要性
 ・路上運転評価への準備の判定
 ・自動車運転の専門家としての作業療法士あるいは自動車運転リハビリテーションセラピスト
 ・教習指導員と運転教育者の利用
 ・車両と機器の評価
 ・路上での自動車運転評価
 ・移動のための補助具や補助装置の処方
 ・フォローアップの提言
 ・法的責任に関する考慮
第24章 嚥下障害の管理(柏田孝志)
 ・嚥下メカニズムの正常解剖および生理
 ・脳卒中に関連した嚥下障害の徴候
 ・脳卒中による嚥下障害に伴う医学的合併症
 ・嚥下チームの役割
 ・嚥下の評価
 ・成果尺度
 ・評価の印象と提言
 ・代替栄養手段
 ・脳卒中における嚥下障害への介入
第25章 性機能と愛情行為(松原麻子)
 ・健常な人間の性反応
 ・セクシャリティと神経学的機能
 ・脳卒中の性機能への影響
 ・社会的態度
 ・作業療法士の役割
 ・チームアプローチ
 ・承認,制限された情報,個別的な提案,そして集中的治療
 ・コンピテンシーの発展
 ・治療に対する個別的な提案
 ・プログラムの発展
 ・文書記録と支払い
第26章 シーティングと車いす移動の処方(松原麻子)
 ・障害のある人の社会的態度と期待
 ・リハビリテーションサービス
 ・耐久性のある医療機器の工場製品
 ・医療保険制度
 ・システムと政策の変化:支援技術サービスを管理するための基準と組織の発展
 ・座位の生体力学
 ・非対称的な骨盤肢位と留意点,共通の原因
 ・車いすとシーティングシステムの評価
 ・クライエントの機能と機器の適合:シーティングシステムの原理
 ・脳卒中患者のための一般的なシーティングシステムの原則
 ・クライエントの機能のための装置の適合:シーティングシステム
 ・機能的状況に基づいた適合
 ・移動ベースの注意点
第27章 家屋評価と住宅改修(矢田かおり)
 ・基本ガイドラインと車いす情報
 ・家屋評価
 ・家屋評価様式
 ・改 修
 ・転倒予防
第28章 日常生活活動の適応:片手技術で行うための環境管理(矢田かおり)
 ・基本的な環境的考慮
 ・機能評価
 ・基本的日常生活活動
 ・手段的日常生活活動
 ・地域での活動
第29章 脳卒中後の余暇参加(河本敦史)
 ・余暇の定義
 ・余暇,脳卒中,そして作業療法
 ・余暇の遂行に影響する要因
 ・作業療法中の余暇活動
 ・脳卒中患者のための余暇への介入:根拠に基づいた実践
 ・余暇課題の適応
第30章 苦難をのりこえた者の視点Ⅰ(澤田辰徳)
 ・発 症
 ・治 療
 ・帰 宅
 ・おわりに
第31章 苦難をのりこえた者の視点Ⅱ:脳卒中(松原麻子)

索 引