これが私の手術法 脊椎脊髄手術―基本的手術手技からオリジナル手術まで
定価:16,500円(本体15,000円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-281-6
内容紹介
著者の釧路労災病院20年の軌跡から,脊椎脊髄手術の極意を学べ!!
「患者さんにとって侵襲の少ない手術法とは何なのか」という思いから、著者井須豊彦の患者さん本位の手術の追求が始まった。北海道大学から釧路労災病院に赴任した翌年には、どこよりも早く脊椎手術に、手術椎間レベルの上下より採取した椎体を移植骨として利用するWilliams-Isu法を採用した。この手術法は、腸骨採取に伴う痛みや合併症を避けることができる画期的な手術法で、多くの患者さんに術後の満足感を与えている。その後、硬膜外層のみの切除によるFMD、生体内分解吸収性スクリューの採用など、低侵襲手術法の開発を常に行ってきている。
本書の特筆すべき点は、術前の体位、皮切、筋肉や筋膜の剥離法などが椎体レベル別に合併症を起こさない工夫が詳細に記載されていることである。経験の浅い医師にとっては、“見取り稽古”で済ますところを丁寧にかつ親切に教授してくれる。また、わかりやすく、美しい手術シェーマ160点、カラー写真161 点、白黒写真278点、付録の50分に及ぶDVDは、脊椎脊髄手術手技をより深く理解するうえで非常に役立つものとなっている。
脊椎脊髄外科を志す若い医師には、本書の底流となっている患者さんを良くする手術の本質を読み取ってほしい、著者20年の脊椎脊髄手術の集大成である。
目次
I 私が経験した手術症例数ならびに疾患の内訳 / 井須豊彦
II 手術器械の使い方 / 井須豊彦
[1] 高速回転のdrill:HILAN High Speed Motor System®(ビー・ブラウンエースクラップ(株))
[2] 超音波骨メス:SONOPET®((株)ミワテック)
[3] 高周波メス:EMF system®((株)日本エム・ディ・エム)
III 私が使用している生体材料
[1] 椎体ならびに椎間スペーサー:アパセラム®(ペンタックス(株)) / 井須豊彦
[2] 生体内分解吸収性スクリュー:フィクソーブ®・スーパーフィクソーブ®スリュー(タキロン(株)) / 金 景成・井須豊彦
[3] チタン製ケージ:m-cage SR®(アムテック(株)) /井須豊彦
[4] 椎間スペーサー:Pyramesh®(Titanium Mesh)(メドトロニックソファモアダネック(株)) / 井須豊彦
[5] 生理的組織接着剤:ベリプラスト P®(CSLベーリング(株)) / 金 景成・井須豊彦
[6] 吸収性局所止血剤:アビテン®(ゼリア新薬工業(株)) / 金 景成・井須豊彦
[7] 人工硬膜:ゴアテックス®(ジャパンゴアテックス(株)) / 金 景成・井須豊彦
IV 脊髄硬膜縫合術 / 磯部正則・井須豊彦
[1] 硬膜内腫瘍手術時の硬膜閉鎖
[2] 硬膜損傷・術中髄液漏
脊椎脊髄疾患における脊髄造影およびCT脊髄造影の必要性に関する検討 / 金 景成・井須豊彦
術前・術後の管理の注意点ならびに対策 / 菅原 淳・金 景成・井須豊彦
釧路労災病院との連携―鍼治療について / 佐藤雅美
脊髄・神経根疾患と紛らわしい末梢神経障害 / 橘 滋國
各論
I 脊椎変性疾患
1. 頸椎変性疾患 / 井須豊彦
[1] 頸椎前方到達法:中・下位頸椎椎体前面までのアプローチ
[2] 頸椎前方アプローチの各種手術法
a)Williams-Isu法
b)頸椎椎間板還納術
c)経椎体アプローチ法
d)頸椎後縦靭帯骨化症に対する前方除圧固定術―骨化浮上術
[3] 頸椎後方除圧術
[4] 手術法の選択
[5] 術後管理ならびに合併症対策
[6] 患者アンケートからみた頸椎変性疾患の長期手術成績
頸椎固定術後頸椎alignmentの変化に関する検討 / 金 景成・井須豊彦
Williams-Isu法について―導入理由、手術法の利点ならびに問題点、今後の展望について / 井上 亨
アパセラム®プレートを挟む自家椎体移植骨を使用したWilliams-Isu法 / 鈴木晋介・中島武彦
包括医療時代の低侵襲前方固定術―Williams-Isu法の再評価 / 高安正和
2. 腰椎変性疾患 / 井須豊彦
[1] 各種手術法
a)後方支持組織を極力温存した棘突起経由による腰椎後方除圧術
b)手術用顕微鏡を用いた腰椎椎間板ヘルニア摘出術
[2] 腰椎変性すべり症を含む腰部脊柱管狭窄症に対する手術法の選択
[3] 再手術の原因
[4] 術後管理ならびに合併症対策
後方支持組織を温存する手術法における術前後の CPK 値、筋肉萎縮について / 金 景成・井須豊彦
腰部脊柱管狭窄症に対する再手術例の検討 / 金 景成・井須豊彦
II 先天奇形
1. Chiari 奇形、脊髄空洞症 / 井須豊彦
[1] 各種手術法
a)大後頭孔部減圧術
b)空洞-くも膜下腔交通術
[2] 手術法の選択
[3] 術後合併症
[4] 再手術の原因
[5] 術後管理
[6] 手術適応
2. 脂肪腫を伴った潜在性二分脊椎症、開放性二分脊椎症 / 小柳 泉
[1] 脂肪腫を伴った潜在性二分脊椎症
[2] 開放性二分脊椎症
III 脊髄腫瘍
1. 硬膜内髄外腫瘍 / 井須豊彦・磯部正則
[1] 手術法ならびに手術法選択
[2] 術後合併症
2. 腰部椎間孔部の腫瘍―傍脊柱筋アプローチ / 金 景成・井須豊彦
IV 症例提示
1. 稀な症例
[1] 骨棘による椎骨動脈狭窄にて脳梗塞を生じた 1 症例 / 川口 務
[2] 胸椎硬膜外くも膜嚢腫の 1 症例 / 松本亮司・宮本倫行・井須豊彦
[3] 腰椎黄色靭帯出血の 1 症例 / 金 景成・井須豊彦
[4] far-out syndrome(FOS)の 1 症例 / 金 景成・井須豊彦
[5] 腰椎椎間孔狭窄症の 1 症例 / 菅原 淳・井須豊彦
2. 治療に難渋した症例
[1] 腰部脊柱管狭窄症に合併した梨状筋症候群の 1 症例 / 金 景成・井須豊彦
3. 当科で治療困難であった症例
[1] 腰椎手術後の腰下肢痛に対して脊髄硬膜外電気刺激療法が奏効した 1 症例 / 呉屋朝和・宇野武司
4. 手術法ならびに手術選択を変えた症例 / 井須豊彦
[1] 大後頭孔部減圧術後に髄膜炎を併発したChiari奇形合併の脊髄空洞症の 1 症例
[2] 後屈位CT脊髄造影により診断が可能であった神経根症の 1 症例
[3] 後方除圧術のみにて腰痛が消失した腰部脊柱管狭窄症の 1 症例
[4] 黄色靭帯骨化巣のみの摘出により、症状が著明に改善した頸椎後縦靭帯骨化症の 1 症例
V 手術治療に対する私の考え方 / 井須豊彦
付録DVD目次
①Air drillの使用法
②超音波骨メスの使用法
2.術中硬膜損傷ならびに硬膜形成術~腰椎後方除圧例における経験~
①Air drillによる硬膜損傷例
②腰椎穿刺針による硬膜損傷例
③広範囲に硬膜損傷を認めた症例の硬膜形成術
④腰椎再手術例における硬膜損傷例
3.頚椎前方除圧手術
①Williams-Isu法
②対側アプローチが有効であった頚椎症例
③分節型の頚椎後縦靭帯骨化症に対するWilliams-Isu法
④連続型の頚椎後縦靭帯骨化症に対する骨化浮上術
⑤アパセラムを用いた経椎体アプローチ法
4.腰椎椎間板ヘルニアの手術
①後外側型の腰椎椎間板ヘルニア例
②バミューダ三角へ脱出した腰椎椎間板ヘルニア例
③外側陥凹部へ脱出した腰椎椎間板ヘルニア例
5.腰部脊柱管狭窄症に対する棘突起経由の後方除圧術
6.大後頭孔部減圧術
①硬膜外層のみの切除による大後頭孔部減圧術
②ネオペールを用いて硬膜形成を行った大後頭孔部減圧術
7.空洞くも膜下腔交通術
8.脊髄腫瘍
①胸髄髄膜腫
②高周波メスが有効であった胸髄神経鞘腫
【編著】 井須豊彦(釧路労災病院脳神経外科部長)