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第19回勇気ある経営大賞

Cortical Bone Trajectory(CBT)法―理想の軌道がここにある

電子版あり

定価:7,480円(本体6,800円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-551-0

B5 / 140頁 / 2016年
【編集】
谷戸祥之 (国立病院機構村山医療センター・統括診療部長/手術部長)
松川啓太朗 (防衛医科大学校整形外科)
【著】(執筆順)
松川啓太朗 (防衛医科大学校整形外科)
谷戸祥之 (国立病院機構村山医療センター・統括診療部長/手術部長)
加藤貴志 (国立病院機構村山医療センター整形外科)
海渡貴司 (大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学[整形外科]・助教/学内講師)
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内容紹介

皮質骨軌道で患者を救おう!

Cortical bone trajectory(CBT、皮質骨軌道)とは、2009年にHynes先生らによって報告された脊椎後方固定術における新しい椎弓根スクリューの刺入軌道である。解剖学的椎弓根軸に沿った従来軌道とは異なり、椎弓根に対して内側から外側へ、尾側から頭側へ向かう軌道であり、硬い皮質骨との接触面積を最大限に得られるのが特長である。従来法スクリューは海綿骨用であり、椎骨の主に海綿骨に挿入される。しかし、CBT法は皮質骨用スクリューを使用し、主に皮質骨を利用して固定される。刺入点を椎弓根の内側、やや尾側の椎弓とし、そこから頭外側に向けて椎弓の皮質骨、椎弓根を貫き、椎体外縁上方部に先端が留置される。硬い皮質骨にスクリューがしっかりと把持されるため、従来法の問題であったスクリューの弛みや脱転予防に有用である。骨粗鬆症の患者でも皮質骨は比較的温存されるため、高齢者の脊椎固定術においても効果を発揮する。

CBT法のもう一つの特長は低侵襲性である。従来法スクリューが椎間関節の外側から挿入されるのに対し、CBT法では内側から挿入されるため、椎間関節まで展開する必要がない。そのため、従来法のように広範囲な後方筋群の展開を必要とせず、筋肉の剥離は極めて限定的であり、筋肉、脊髄神経後枝内側枝の温存に寄与する。また、長期的な椎間関節干渉の軽減により、隣接椎間障害を明らかに軽減する。さらに、筆者らの施設では、経皮的椎弓根スクリュー法と比較すると、X線透視の積算時間が短い(10~20秒)。さらに、放射線被曝量の低減に向けてウェアラブルディスプレイの活用を行っている。

CBT法が日本に紹介されて6年目になる。低侵襲性、固定力の強固さから急速に広まった術式であるが、本術式の解釈は混沌としているのが現状である。低侵襲性のみに着目する脊椎脊髄外科医はあまり軌道にこだわることなく実施している。しかし、CBT法スクリューは、挿入方法を誤ると固定性が落ち、インストゥルメントとしての価値が消失する。一方、しっかりとした軌道をとることで、下記のように、さまざまな適応が広がる。

(1)骨質の低下した症例への固定術の適応が広がる(強固な固定力)。
(2)高齢者などの体力的に劣る症例への固定術の適応が広がる(低侵襲性)。
(3)筋肉量の多い若年者への固定術の適応が広がる(狭い展開)。
(4)術後悪化例へのサルベージ手術の適応が広がる(異なる軌道、cross trajectoryとの併用)。
(5)骨粗鬆症性椎体骨折例や偽関節例に適応が広がる(椎体形成術、従来法との併用)。
(6)脊椎変形例に適応が広がる(バックアウトに対する高い予防効果)。
 
 本書は、CBT法の基礎、臨床、応用へと、一つ一つの謎を紐解いていった軌跡から構成されている。まだまだ解明すべき点があるが、 CBT法がスタンダードな手術手技として確立し、治療戦略の一つとして次世代に受け継がれていくことを切に願う。そして、本書が、その一助になればこの上ない幸せである。

目次

1章 CBT法の基礎
 1.CBTの形態学的検討―そこに軌道はあるのか?
 2.CBT法の固定性の検討―本当に固定性は良いのか?
  1)キャダバーにおけるCBT法スクリューの固定性
  2)生体内におけるCBT法スクリューの固定性
  3)良好な固定性を得るための至適軌道とは?
 3.有限要素解析によるCBT法の固定性の検討
  1)刺入軌道による椎弓根スクリューの引き抜き強度の比較
  2)従来法とCBT法の固定性の比較

2章 CBT法(腰椎)の臨床
 1.実際の手術法とpitfall
  1)術前準備から体位
  2)展開から刺入点の策定
  3)スクリュー挿入時の注意点
 2.臨床成績
  1)術後症例の評価―骨癒合・弛み
  2)上位隣接椎間関節干渉の頻度

3章 CBT法の応用
 1.仙椎CBT法(PES法)
 2.胸椎CBT法
  1)胸椎CBT法の基礎
  2)胸椎CBT法の実際
 3.多椎間固定・外傷への応用
  1)脊椎変性側弯への応用
  2)症例提示
 4.Salvage procedure
  1)キャダバーにおけるsalvage procedureの固定性の検討
  2)Salvage procedureの実際
 5.Cross trajectory法
  1)Cross trajectory法の基礎
  2)Cross trajectory法の応用

Viewpoint
・論文による固定性の相違
・椎体コンストラクトとしての長期固定性
・CBT法スクリューの椎体間へのcompression force
・椎体外側を穿破すべきか?
・CBTに適したスクリューの形状とは?
・十分な固定性なくして低侵襲性なし
・固定下位椎のスクリュー刺入軌道
・CBT法スクリューの至適サイズは?
・分離椎体に対するCBT法の適応の可否
・ウェアラブルディスプレイを用いた情報供給―放射線被曝の低減
・感染椎体に対する使用の可能性
・スクリューの逸脱率
・1椎間CBT法PLIF例の画像解析―術後骨嚢胞形成の危険因子は?
・CBT法における上位隣接椎間関節干渉の意義
・スクリューヘッドを浮かせる理由
・PES法が生まれるまで
・胸椎CBT法のタップサイズは?
・シンプルなことは重要?!
・困ったときのCBT法
・Cross trajectory法の適応高位

執筆者一覧 (執筆順)

松川啓太朗 (防衛医科大学校整形外科) 1章,2章2-2,3章1,2-1,4-1,5-1,Viewpoint担当
谷戸祥之 (国立病院機構村山医療センター・統括診療部長/手術部長) 2章1-1,3章2-2,3-1,3-2,4-2,5-2,Viewpoint担当
加藤貴志 (国立病院機構村山医療センター整形外科) 2章1-2,1-3担当
海渡貴司 (大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学[整形外科]・助教/学内講師) 2章2-1担当