上肢の理学療法-局所機能と全身運動を結びつけるインタラクティブ・アプローチ
電子版あり
定価:6,160円(本体5,600円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-555-8
内容紹介
身体機能と応用動作をつなぐためのインタラクティブ・アプローチ
中枢神経疾患の上肢の筋緊張を調整したところ歩容が改善した経験はないだろうか?上肢などの局所に対する直接的なアプローチが全身運動を変化させるきっかけになることもあれば、局所以外の部位にアプローチすることで局所機能障害を変化させることがある。
本書では上肢の疾患、症候に対する基本的な知識を整理し、「局所」と「全身運動」をつなぐ双方向のアプローチ(インタラクティブ・アプローチ)に着目して解説。上肢に関する「神経生理」「機能解剖」「徒手検査法」「脳画像の読み方」に加え、臨床で関わる頻度が多い20の疾患(中枢神経疾患、末梢神経疾患、整形外科疾患)について新進気鋭の執筆陣によって基本知識とアプローチを紹介。
機能的な制限の改善から応用的動作への発展を目的としたリハビリテーションをするためのセラピスト必携の一冊。
目次
第1章 神経生理学・・・志村圭太
第1節 脳の可塑性
1.脳の可塑性とは何か
2.脳の可塑性を考慮した神経疾患に対する理学療法
第2節 中枢神経疾患の運動障害
1.運動麻痺
2.運動麻痺の回復機序と予後
3.共同運動パターン
4.連合反応
5.痙縮
6.上肢の運動麻痺に対する具体的なアプローチ
第3節 末梢神経損傷
1.末梢神経の解剖
2.末梢神経の機能
3.末梢神経の分類
4.損傷された末梢神経の修復機序
5.神経再生過程での問題点
6.代表的な治療手段
第2章 上肢の機能解剖学・・・地神裕史
第1節 各関節における機能解剖
1.肩関節複合体
2.肘関節および前腕
3.手関節と手指
第2節 上肢とそのほかの部位をつなぐ機能解剖学
1.運動連鎖
2.筋膜の構造
3.上下肢の運動の土台となるコア
第3章 上肢の徒手検査法・・・中丸宏二, 波戸根行成
第1節 信頼性
第2節 診断特性
1.感度
2.特異度
3.尤度比
4.検査後確立の計算方法
第3節 各徒手検査法の診断学的有用性
1.肩関節不安定性
2.肩関節唇損傷
3.肩峰下インピンジメント・肩峰下滑液包炎
4.回旋筋腱板損傷
5.肩鎖関節損傷
6.上腕二頭筋長頭腱炎
7.胸郭出口症候群
8.上腕骨内・外側上顆炎
9.肘関節不安定性
10.肘部管症候群
11.手根管症候群
12.手根不安定性
13.手関節・手指の腱損傷
14.上肢の神経障害
第4章 上肢機能評価に活かす脳画像の読み方・・・大村優慈
第1節 上肢機能評価における脳画像の意義
1.臨床症状を理解し、残存機能の見落としを防ぐ
2.予後予測の材料とする
第2節 脳画像の基本
1.断層像の基準線
2.脳梗塞、脳出血のCT画像・MRIの特徴
第3節 脳画像における上肢機能障害の責任病巣の同定
1.内包後脚の正確な同定
2.運動麻痺の責任病巣
3.感覚障害の責任病巣
4.小脳失調の責任病巣
5.観念運動失行の責任病巣
第4節 脳梗塞・脳出血における脳画像読影のポイント
1.脳動脈解剖
2.ACA領域梗塞における脳画像読影のポイント
3.MCA領域梗塞における脳画像読影のポイント
4.PCA領域梗塞における脳画像読影のポイント
5.被殻出血における脳画像読影のポイント
6.視床出血における脳画像読影のポイント
第5章 各疾患への理学療法アプローチ
第1節 中枢神経疾患
1.脳卒中片麻痺①低緊張・亜脱臼・・・濱中康治
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲胸郭関節へのアプローチにより脳卒中患者の肩関節亜脱臼が改善した症例
2.脳卒中片麻痺②高緊張・・・藤原祐介
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 脳梗塞後の体幹機能とバランス能力の低下により動作時に上肢の過緊張が生じた症例
3.脳卒中片麻痺③麻痺側肘・手・手指・・・新井明香
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 座位姿勢に対するアプローチにより麻痺側の感覚障害や食事動作能力が改善した症例
4.脳卒中片麻痺④手指・手関節拘縮・・・楠本泰士
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 手関節の腱延長術と全身への理学療法アプローチにより拘縮やADL動作に改善がみられた外傷性クモ膜下出血患者
5.パーキンソン症候群・・・上木祐介
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 上肢の筋力低下,関節可動域制限を有するパーキンソン病患者に対する理学療法アプローチ
第2節 末梢神経疾患
1.腕神経叢麻痺・・・横田裕丈
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 右上腕骨頚部粉砕骨折に対するORIF術後,腕神経叢後神経束の障害が示唆された症例への理学療法アプローチ
2.胸郭出口症候群・・・地神裕史
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 上肢運動時の体幹固定性を高めるエクササイズによりTOSによる症状が改善した競泳選手
3.四辺形間隙症候群・・・横田裕丈
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲骨位置異常の改善によりQLS症状である肩関節後面の疼痛と上肢の鈍重感を改善できた症例
4.ギラン・バレー症候群・・・薄 直宏, 松尾 洋, 宮野明里
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 全身の筋力低下を呈したGBS患者に対する体幹から上肢への理学療法アプローチ
5.中心性頸髄損傷・・・岡田 誠
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 手指異常感覚が残存した中心性頚髄損傷患者への環境的アプローチが動作・歩行の改善につながった症例
第3節 整形外科疾患
1.上腕骨近位部骨折・・・栗原豊明
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 転倒歴のある虚弱高齢女性に対する全身への理学療法アプローチが上肢の機能回復と再転倒の予防につながった症例
2.肩関節周囲炎・・・栗原豊明
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 不良姿勢により座位・立位で肩関節可動域障害と痛みを生じた高齢女性への理学療法アプローチ
3.肩関節脱臼(コンタクトスポーツ)・・・大路駿介
基礎 疾患をみるための知識の整理 252
症例 下肢・体幹への理学療法アプローチにより保存療法での競技復帰が可能となった初回肩関節脱臼ラグビー選手
4.投球障害肩・・・廣幡健二
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 ワインドアップ期における姿勢と踏み込み脚の股関節機能に着目した理学療法アプローチにより投球動作時の肩痛が軽減した投手
5.インピンジメント症候群(水泳肩)・・・三富陽輔
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲帯と体幹への理学療法アプローチによりインピンジメント症候群による疼痛の軽減とパフォーマンスの向上が得られた競泳選手
6.内側上顆炎・・・三富陽輔
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 全身運動の改善により内側上顆炎による痛みが軽減した柔道選手
7.外側上顆炎(テニス肘)・・・相澤純也
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 バックハンドストローク時の肘外側痛を訴える高校テニス男子選手への包括的な理学療法アプローチ
8.野球肘・・・濱中康治
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲胸郭の柔軟性および固定性,股関節機能の改善により投球時の肘内側部痛が軽減された投手
9.肘関節脱臼・・・大見武弘
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 脊椎・肩関節のmuscle imbalanceに伴う不良な倒立姿勢の改善が早期競技復帰につながった器械体操選手
10.手関節尺側部痛・・・関口貴博
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 手関節尺側部痛が生じた体操競技選手への理学療法アプローチ-橈骨遠位骨端部の成長障害によりulnar varianceとなった症例
Columun
三角巾とバストバンドの適応基準・・・清水真弓
上肢が平衡機能に与える影響①・・・淺井 仁
上肢が平衡機能に与える影響②・・・淺井 仁
上肢の運動が脳可塑性に与える影響①・・・榊間春利
上肢の運動が脳可塑性に与える影響②・・・榊間春利
上肢の運動が呼吸循環動態に与える影響―呼吸循環機能を改善させるための上肢の理学療法・・・椿 淳裕
上肢の運動が呼吸循環動態に与える影響―上肢の運動に伴う呼吸循環機能の知見・・・椿 淳裕
アフォーダンス理論とリーチ動作・・・馬場孝浩
関節拘縮の基本的機序・・・山崎俊明
車椅子駆動と上肢機能・・・馬場孝浩
痙直形脳性麻痺患者の上肢機能・・・楠本泰士
筋萎縮の基本的機序・・・山崎俊明
脊椎矯正固定術が上肢機能に与える影響・・・三森由香子
手のスプリントと最新情報・・・白戸力弥
第1節 脳の可塑性
1.脳の可塑性とは何か
2.脳の可塑性を考慮した神経疾患に対する理学療法
第2節 中枢神経疾患の運動障害
1.運動麻痺
2.運動麻痺の回復機序と予後
3.共同運動パターン
4.連合反応
5.痙縮
6.上肢の運動麻痺に対する具体的なアプローチ
第3節 末梢神経損傷
1.末梢神経の解剖
2.末梢神経の機能
3.末梢神経の分類
4.損傷された末梢神経の修復機序
5.神経再生過程での問題点
6.代表的な治療手段
第2章 上肢の機能解剖学・・・地神裕史
第1節 各関節における機能解剖
1.肩関節複合体
2.肘関節および前腕
3.手関節と手指
第2節 上肢とそのほかの部位をつなぐ機能解剖学
1.運動連鎖
2.筋膜の構造
3.上下肢の運動の土台となるコア
第3章 上肢の徒手検査法・・・中丸宏二, 波戸根行成
第1節 信頼性
第2節 診断特性
1.感度
2.特異度
3.尤度比
4.検査後確立の計算方法
第3節 各徒手検査法の診断学的有用性
1.肩関節不安定性
2.肩関節唇損傷
3.肩峰下インピンジメント・肩峰下滑液包炎
4.回旋筋腱板損傷
5.肩鎖関節損傷
6.上腕二頭筋長頭腱炎
7.胸郭出口症候群
8.上腕骨内・外側上顆炎
9.肘関節不安定性
10.肘部管症候群
11.手根管症候群
12.手根不安定性
13.手関節・手指の腱損傷
14.上肢の神経障害
第4章 上肢機能評価に活かす脳画像の読み方・・・大村優慈
第1節 上肢機能評価における脳画像の意義
1.臨床症状を理解し、残存機能の見落としを防ぐ
2.予後予測の材料とする
第2節 脳画像の基本
1.断層像の基準線
2.脳梗塞、脳出血のCT画像・MRIの特徴
第3節 脳画像における上肢機能障害の責任病巣の同定
1.内包後脚の正確な同定
2.運動麻痺の責任病巣
3.感覚障害の責任病巣
4.小脳失調の責任病巣
5.観念運動失行の責任病巣
第4節 脳梗塞・脳出血における脳画像読影のポイント
1.脳動脈解剖
2.ACA領域梗塞における脳画像読影のポイント
3.MCA領域梗塞における脳画像読影のポイント
4.PCA領域梗塞における脳画像読影のポイント
5.被殻出血における脳画像読影のポイント
6.視床出血における脳画像読影のポイント
第5章 各疾患への理学療法アプローチ
第1節 中枢神経疾患
1.脳卒中片麻痺①低緊張・亜脱臼・・・濱中康治
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲胸郭関節へのアプローチにより脳卒中患者の肩関節亜脱臼が改善した症例
2.脳卒中片麻痺②高緊張・・・藤原祐介
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 脳梗塞後の体幹機能とバランス能力の低下により動作時に上肢の過緊張が生じた症例
3.脳卒中片麻痺③麻痺側肘・手・手指・・・新井明香
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 座位姿勢に対するアプローチにより麻痺側の感覚障害や食事動作能力が改善した症例
4.脳卒中片麻痺④手指・手関節拘縮・・・楠本泰士
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 手関節の腱延長術と全身への理学療法アプローチにより拘縮やADL動作に改善がみられた外傷性クモ膜下出血患者
5.パーキンソン症候群・・・上木祐介
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 上肢の筋力低下,関節可動域制限を有するパーキンソン病患者に対する理学療法アプローチ
第2節 末梢神経疾患
1.腕神経叢麻痺・・・横田裕丈
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 右上腕骨頚部粉砕骨折に対するORIF術後,腕神経叢後神経束の障害が示唆された症例への理学療法アプローチ
2.胸郭出口症候群・・・地神裕史
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 上肢運動時の体幹固定性を高めるエクササイズによりTOSによる症状が改善した競泳選手
3.四辺形間隙症候群・・・横田裕丈
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲骨位置異常の改善によりQLS症状である肩関節後面の疼痛と上肢の鈍重感を改善できた症例
4.ギラン・バレー症候群・・・薄 直宏, 松尾 洋, 宮野明里
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 全身の筋力低下を呈したGBS患者に対する体幹から上肢への理学療法アプローチ
5.中心性頸髄損傷・・・岡田 誠
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 手指異常感覚が残存した中心性頚髄損傷患者への環境的アプローチが動作・歩行の改善につながった症例
第3節 整形外科疾患
1.上腕骨近位部骨折・・・栗原豊明
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 転倒歴のある虚弱高齢女性に対する全身への理学療法アプローチが上肢の機能回復と再転倒の予防につながった症例
2.肩関節周囲炎・・・栗原豊明
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 不良姿勢により座位・立位で肩関節可動域障害と痛みを生じた高齢女性への理学療法アプローチ
3.肩関節脱臼(コンタクトスポーツ)・・・大路駿介
基礎 疾患をみるための知識の整理 252
症例 下肢・体幹への理学療法アプローチにより保存療法での競技復帰が可能となった初回肩関節脱臼ラグビー選手
4.投球障害肩・・・廣幡健二
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 ワインドアップ期における姿勢と踏み込み脚の股関節機能に着目した理学療法アプローチにより投球動作時の肩痛が軽減した投手
5.インピンジメント症候群(水泳肩)・・・三富陽輔
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲帯と体幹への理学療法アプローチによりインピンジメント症候群による疼痛の軽減とパフォーマンスの向上が得られた競泳選手
6.内側上顆炎・・・三富陽輔
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 全身運動の改善により内側上顆炎による痛みが軽減した柔道選手
7.外側上顆炎(テニス肘)・・・相澤純也
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 バックハンドストローク時の肘外側痛を訴える高校テニス男子選手への包括的な理学療法アプローチ
8.野球肘・・・濱中康治
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 肩甲胸郭の柔軟性および固定性,股関節機能の改善により投球時の肘内側部痛が軽減された投手
9.肘関節脱臼・・・大見武弘
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 脊椎・肩関節のmuscle imbalanceに伴う不良な倒立姿勢の改善が早期競技復帰につながった器械体操選手
10.手関節尺側部痛・・・関口貴博
基礎 疾患をみるための知識の整理
症例 手関節尺側部痛が生じた体操競技選手への理学療法アプローチ-橈骨遠位骨端部の成長障害によりulnar varianceとなった症例
Columun
三角巾とバストバンドの適応基準・・・清水真弓
上肢が平衡機能に与える影響①・・・淺井 仁
上肢が平衡機能に与える影響②・・・淺井 仁
上肢の運動が脳可塑性に与える影響①・・・榊間春利
上肢の運動が脳可塑性に与える影響②・・・榊間春利
上肢の運動が呼吸循環動態に与える影響―呼吸循環機能を改善させるための上肢の理学療法・・・椿 淳裕
上肢の運動が呼吸循環動態に与える影響―上肢の運動に伴う呼吸循環機能の知見・・・椿 淳裕
アフォーダンス理論とリーチ動作・・・馬場孝浩
関節拘縮の基本的機序・・・山崎俊明
車椅子駆動と上肢機能・・・馬場孝浩
痙直形脳性麻痺患者の上肢機能・・・楠本泰士
筋萎縮の基本的機序・・・山崎俊明
脊椎矯正固定術が上肢機能に与える影響・・・三森由香子
手のスプリントと最新情報・・・白戸力弥
【編集】
地神裕史 (国士舘大学理工学部健康医工学系、理学療法士)
斉藤秀之 (医療法人社団筑波記念会リハビリテーション事業 統括、理学療法士)