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第19回勇気ある経営大賞

プライム脳神経外科 1 脳動脈瘤

正誤表 電子版あり

定価:17,600円(本体16,000円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-587-9

A4 / 352頁 / 2017年
【監修】
木内博之(山梨大学大学院医学工学総合研究部 脳神経外科 教授)
斉藤延人(東京大学大学院医学研究科 脳神経外科学 教授)
【編集】
木内博之(山梨大学大学院医学工学総合研究部 脳神経外科 教授)

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内容紹介

新シリーズ創刊――外科治療の最前線 ! 第一級の技と叡智を結集したエキスパート直伝のテクニカルノート [全6巻]

脳神経外科の最高の手術書を目指して、新シリーズ『プライム脳神経外科』創刊 ! !

代表的疾患グループである脳動脈瘤、脳梗塞(虚血)、脳(脊髄)動静脈奇形、グリオーマ、頭蓋底腫瘍、機能外科的疾患を取り上げ、それらの治療に必要な最新の戦略・アプローチ・手術手技を実際の臨床の場でイメージできるよう、実践的に解説。
必要に応じてページを開けば、すぐに欲しい情報にアクセス可能です。

シリーズ第1巻「脳動脈瘤」は、外科治療と血管内治療の双方の視点から、現在実際に治療を担当されているエキスパートを執筆陣にお招きし、本邦における最高レベルの脳動脈瘤治療の実際を紹介。
外科治療と血管内治療による脳動脈瘤攻略の戦略、方法、そして筆者が特に後輩に伝授したいテクニックまで、脳動脈瘤の治療のすべてをコンパクトながらぎっしりと収めています !

本シリーズの特色
・エキスパートの技と叡智を結集した最上級の治療・手術テクニック集
・著者は脳神経外科治療の最前線に立つ次世代のリーダーたち
・徹底した明解さにこだわった本文構成
・すぐに必要な情報にアクセスできるポイントを押さえた箇条書きの記述
・コツ、工夫、強調したいポイント、ピットフォール、トラブルシューティング等をまとめた各BOXを機能的に配置
・的確でわかりやすく、クオリティにこだわったイラストで理解が深まる
・疾患別にまとめた全6巻のコンパクトなシリーズ

目次

第Ⅰ章 脳動脈瘤の病態と診断
1 未破裂と破裂脳動脈瘤の本邦における疫学・・・清水立矢, 好本裕平
2 脳動脈瘤の発生と破裂の分子生物学的メカニズム・・・青木友浩, 野崎和彦
3 脳動脈瘤の発生と破裂の血行力学的メカニズム:CFD 解析・・・鈴木倫明, 村山雄一
4 脳動脈瘤の治療指針・・・石原秀行, 鈴木倫保

第Ⅱ章 クリッピング術におけるモニタリングと基本手技
1 術中神経モニタリング:MEP,VEP,SEP など(麻酔法を含む基本手技と注意点)・・・本山 靖, 中瀬裕之
2 術中蛍光脳血管撮影・・・鈴木恭一, 市川 剛, 渡部洋一
3 内視鏡:クリッピングにおける内視鏡の有用性・・・若井卓馬, 吉岡秀幸, 木内博之
4 クリップの選択と基本手技・・・堀内哲吉

第Ⅲ章 血管内治療
1 周術期抗血栓療法・・・金丸和也, 木内博之
2 各種器具の特性と使用法・・・秋山恭彦
3 各種コイルの特性・・・伊藤 靖
4 各種アシストテクニック・・・石井 暁
5 フローダイバーター・・・今村博敏, 坂井信幸
6 母血管試験閉塞と母血管閉塞術・・・石原秀行, 鈴木倫保
7 トラブルシューティング・・・吉村紳一

第Ⅳ章 脳動脈瘤クリッピングのアプローチ
1 前床突起の削除:傍前床突起部動脈瘤のクリッピングを目的とする前床突起の削除・・・田中雄一郎
2 Transsylvian approach( Pterional approach)・・・藤井幸彦, 大石 誠
3 Supraorbital approach・・・森 健太郎
4 Bifrontalおよび unifrontal interhemispheric approach・・・藤村 幹, 冨永悌二
5 Anterior temporal approach・・・石川達哉
6 Subtemporal approach・・・幸治孝裕, 久保慶高, 小笠原邦昭
7 Lateral suboccipital approach・・・横上聖貴, 竹島秀雄

第Ⅴ章 脳動脈瘤クリッピング
1 内頚動脈傍前床突起部動脈瘤・・・八木伸一, 仙北谷伸朗, 清水庸夫, 木内博之
2 内頚動脈瘤(後交通動脈瘤・前脈絡叢動脈瘤)・・・西山義久, 木内博之
3 中大脳動脈瘤・・・勝野 亮, 松野 彰
4 前交通動脈瘤:Interhemispheric approach によるクリッピング・・・小久保安昭, 園田順彦
5 前交通動脈瘤:Pterional approachによるクリッピング・・・井川房夫
6 遠位部前大脳動脈瘤・・・大熊洋揮
7 脳底動脈先端部動脈瘤のクリッピング術・・・波出石 弘
8 脳底動脈先端部動脈瘤:Anterior temporal approach・・・中山若樹
9 脳底動脈先端部動脈瘤:Subtemporal approach・・・吉岡秀幸, 木内博之
10 椎骨動脈後下小脳動脈分岐部動脈瘤・・・宇野昌明

第Ⅵ章 脳動脈瘤コイル塞栓術
1 内頚動脈瘤(海綿静脈洞部・傍床突起部)・・・吉岡正太郎, 里見淳一郎
2 内頚動脈瘤(後交通動脈瘤・前脈絡叢動脈瘤)・・・長島 久
3 中大脳動脈瘤・・・江面正幸
4 前交通動脈瘤・前大脳動脈瘤・・・田中美千裕
5 脳底動脈先端部動脈瘤の血管内治療・・・宮地 茂
6 脳底動脈本幹部・椎骨動脈の動脈瘤に対するコイル塞栓術・・・松丸祐司

第Ⅶ章 難易度の高い動脈瘤の治療
1 巨大内頚動脈瘤のクリッピング:Suction decompression 法の併用とクリップの選択・・・伊達 勲
2 内頚動脈瘤の橈骨動脈グラフトを用いた治療・・・太田仲郎, 谷川緑野
3 内頚動脈瘤の静脈グラフトを用いた治療・・・清水宏明, 國分康平
4 硬膜内大型・巨大内頚動脈瘤に対する血管内治療・・・大石英則
5 STA─MCA anastomosisを用いた中大脳動脈瘤の治療・・・安部 洋, 井上 亨
6 血栓化大型・巨大脳底動脈先端部瘤の外科治療:Flow alteration・・・髙木康志
7 大型・巨大脳底動脈瘤の血管内治療・・・佐藤健一, 松本康史
8 ハイフローバイパスによる脳底動脈瘤の治療:V3─RA─PCA・・・中冨浩文
9 OA─PICA anastomosis による椎骨動脈瘤の治療・・・三上 毅, 鰐渕昌彦, 三國信啓
10 再発動脈瘤に対する外科治療・・・森田健一, 飯原弘二

第Ⅷ章 特殊な動脈瘤
1 内頚動脈血豆状動脈瘤のラップクリップ・・・橋本幸治, 吉岡秀幸, 木内博之
2 椎骨脳底動脈解離性動脈瘤の外科治療:腹臥位によるmid lateral suboccipital approach・・・水谷 徹
3 椎骨脳底動脈解離性動脈瘤の血管内治療・・・近藤竜史, 松本康史
4 部分血栓化巨大脳動脈瘤の外科治療・・・岩間 亨
5 血栓化巨大脳動脈瘤の血管内治療・・・杉生憲志

索引

シリーズ[全6巻]

第1巻 脳動脈瘤  編集: 木内博之(山梨大学)
第2巻 脳虚血  編集: 斉藤延人(東京大学)
第3巻 脳・脊髄動静脈奇形と頭蓋内・脊髄硬膜動静脈瘻  編集: 中瀬裕之(奈良県立医科大学)
第4巻 グリオーマ  編集: 隈部俊宏(北里大学)
第5巻 頭蓋底腫瘍  編集: 河野道宏(東京医科大学)
第6巻 機能外科的疾患  編集: 三國信啓(札幌医科大学)

書評

脳動脈瘤の患者さんを目の前にした脳神経外科医に要求されるすべてを網羅した教科書
評者:嘉山孝正(国立がん研究センター名誉総長・山形大学医学部先進がん医学講座特任教授) 

 プライム脳神経外科「第1巻 脳動脈瘤」が出版されました.読んでみて,最初に感じたのは監修者,編集者の教育への情熱です.その情熱の結果か従来の教科書と比較して大変プラグマティック(実用的)な教科書になっています.現代の多忙な脳神経外科医にとってはプラグマティックな教科書が待たれていました.しかし,本書はプラグマティックなだけではなく,原理,原則をも包含している待ちに待った教科書と言えます.
 医学の進歩は従来から日進月歩ですが,最近はその速度が加速度的に増量化しており,新たに生まれる医学,医療に関する情報は膨大です.したがって,日常業務に多忙な脳神経外科医にとっては,時間の無駄なく適切な医学,医療の情報を整理整頓し頭に入れることが,重要な能力の1つになっています.
 一方,読者にコンセプト(原理原則)を理解させないでプラグマティック過ぎる教科書からは,応用が効かない脳神経外科医が育つような欠点があります.本書は監修者,編集者が欲張りすぎるほど,コンセプトとプラグマティック知識の両方が配分よく記載されています.
 本書は原理原則と実用的な内容の両方が記載されているので,本教科書を読んだ脳神経外科医は最新の知識,技術が習得でき,さらに応用が利くようになると言えます.さらに加えるならば,最先端の概念的な知識だけではなく治療技術に関する情報も具体性をもって習得できるような教科書です.従来の教科書の多くは,テーマに絞った記述内容で占められていました.本書の題名が脳動脈瘤であれば,手術手技に関する記載に偏っていたり,周術期のことだけが記載されていたりした教科書が多かったのです.本書では,「破裂脳動脈瘤の患者さんを目の前にした時に知識として知っておかねばならない事物が,外来で診た時から治療終了まで」ほぼ時系列に則り記載されています.
 各章を順番に追ってみてみましょう.第1章では,人生でどの年齢でどのような確率で本疾患に罹患するか等の「本邦における破裂脳動脈瘤の疫学」から始まります.さらに本章では,最新の知識が,医師が患者さんにお話する時に必要な内容として記載されています.例えば,「圧力損失係数」の原理や「遺伝子学的因果関係」等が挙げられます.第2章では手術術式の前に,術中に必須の各種モニタリングが記載されています.手術ができるようになる前に理解しなければならない手技です.この内容が手術術式より前に記載されていることが読者にとっては勉強するにあたり大変便利で親切です.第3章では,血管内治療が記載されていますが,本書の大きな特徴は医療機器に関する最先端の情報が入っていることです.各社の製品の機能や使用方法の記載が,加えて最新の研究結果:論文を十分理解可能な記載の仕方で掲載されていることも本書の特徴の1つです.血管内治療では手技が大切ですが,本書ではその点でも現場でトラブルが起きた時の対処法が記載されております.現場感が満載と言えます.
 第4章,第5章は,脳動脈瘤手術の所謂開頭法と動脈瘤の処置の仕方がアプローチ別:脳動脈瘤の部位別に大変多くのイラストと写真を使用し説明しています.大変わかりやすくできていると言えます.先輩たちが営々と積み上げてきた「技術の伝承」もなされております.さらに,技術論の中で秀でていることは,失敗を検証し,その対策まで記載してある教科書は希少です.
 第6章は,脳動脈瘤における血管内治療の解説が部位別に記載されておりますが,脳動脈瘤の部位別に,手技のコツをも含んで方法が説明されております.エキスパートが自身の経験のすべてを記載している感があり,大変勉強になります.
 第7章,第8章は,工夫を要する脳動脈瘤の治療法に関する考え方とその方法が書かれています.若い脳神経外科医のみではなく中堅の先生方にも大変勉強になる内容です.
 本書の特徴を纏めてみます.昨今,専門医制度が議論されておりますが,専門医とはある疾患の患者さんを目の前にした時に,その患者さんに適切な医療ができると定義できます.あるいは,その患者さんにその疾患で起きうることがすべて理解されていて,初めて専門医と言えます.本書は,監修者が強調しているように現場で実際に治療し,現場で起きる事象をすべて網羅的に解説できる著者を選んでいます.本書の内容は,専門医が要求されるすべてを網羅していると言えます.ぜひとも,ベテランは最新の知識を得るために,若い脳神経外科医は専門医のレベルの知識,技術に関する理解を深めるために読むことを推薦いたします.

「NEUROLOGICAL SURGERY 脳神経外科」Vol.45 No.9(2017年9月号) (医学書院)より転載

書評

治療の流れすべての「シミュレーション」が可能となり,「クオリティ高い手術」を提供できるツールとなる一冊
評者:小川 彰(岩手医科大学理事長・学長) 

 このたび,三輪書店より「プライム脳神経外科」が山梨大学木内博之教授,東京大学斉藤延人教授の監修により全6 巻シリーズとして「脳神経外科の最高の手術書」を目指して刊行が開始されました.6 巻のテーマは,「脳動脈瘤」,「脳虚血」,「脳・脊髄動静脈奇形と頭蓋内・脊髄硬膜動静脈瘻」,「グリオーマ」,「頭蓋底腫瘍」,「機能外科的疾患」であり,今後約1 年半で順次発刊されていく予定とされています.
 第1 巻の「脳動脈瘤」の責任編集は山梨大学木内博之教授です.ご本人の執筆はもとより,日本の脳神経外科をリードしつつある比較的若い新進気鋭の先生方を執筆陣に迎えています.
 各章の構成は「病態と診断」,「モニタリングの基本手技」,「血管内治療」,「クリッピングのアプローチ」,「クリッピング」,「コイル塞栓術」,「難易度の高い動脈瘤の治療」,「特殊な動脈瘤」の8 章立てとなっており,日常診療で経験する動脈瘤の治療に必要な情報が網羅されています.
 本書の特徴として特筆すべきは,イラストの美しさと的確性です.各部位の手術に必要な術野の展開法,さまざまなクリッピングのテクニックのポイントが一目瞭然で理解できるよう工夫されています.また,「コツ」,「工夫」,「トラブルシューティング」,「ピットフォール」を理解しイメージでき,実際の手術に際しどのような手順で進めればよいか,何に気をかければよいか,どんな落とし穴が潜んでいるか,トラブルが生じたときの対処法などについて「クオリティ高いイラスト」が手助けしています.
また,重要なポイントについては,あちこちにBOX が配置され,箇条書きで簡潔明瞭にまとめられており,「クオリティ高いイラスト」と相まって理解を深めてくれるようになっています.
 本書は,通読し勉強することによって,日本脳神経外科学会専門医試験のバイブルとして活用できると思います.それ以上に,主治医を担当した診療の現場で本書の力が発揮されるものと思います.すなわち,症例の関連ページだけを参照すれば,治療法決定のポイント,また,手術(開頭,血管内)に際してはどのようなモニタリングを準備すべきか? アプローチの選択と注意点,動脈瘤の部位,向きなどによってどのような術野展開をし,どのようなクリッピングをするか? を,術前症例検討会その他の場で,後日実施される手術治療のセッティングから手術終了まで治療の流れすべての「シミュレーション」が可能となるのです.本書の監修者,編集者,執筆者の目論見はまさにここにあったものと思います.診療に忙殺されきわめて忙しい脳神経外科医が「クオリティ高い手術」を提供できるツールとして,本書を利用していただきたいと考えて監修したに違いありません.本書を利用し,世界に冠たる質の高い脳神経外科医療を提供し国民の負託に答えていただき,読者の皆様が将来の新たなエキスパートとして活躍していただきたいと思います.

「脊椎脊髄ジャーナル」Vol.30 No.7(2017年7月号) (三輪書店)より転載