治療・援助における二つのコミュニケーション【新版】 作業を用いる療法の質的エビデンスの証明
電子版あり
定価:3,960円(本体3,600円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-648-7
内容紹介
エビデンス・ベイストな時代に合わせて10年ぶりの全面改訂 !
作業療法では、どのような回復機序が背景にあるのだろうか。初版からの構想を引き継ぎ、作業という平凡で豊かな日常性を活かしたかかわりがもつ多義的で豊かな治療機序と治療構造について、治療の対象者自身の「自己と身体、生活、日常とのコミュニケーション」と、治療や援助、支援をよりよい関係で、効果的に成りたたせるための「治療や援助、支援にあたる者と対象者とのコミュケーション」という二つのコミュニケーションプロセスという視点から、作業と身体の関係、身体図式と身体像、作業時の脳内で起きている現象、ワーキングメモリ、社会脳、自己の治療的利用とプラセボ効果といった言葉や事例を交えて紐解くとともに、新版の本書では、臨床で体感されているこの二つのコミュニケーションによる回復機序のエビデンスを、脳機能の客観的な変化を示す最新の脳研究から解説する章を新たに加えた。
目次
新版プロローグ―臨床の知のエビデンスを求めて
序章 1
その一 : うひ山ぶみの
・「いつ帰ってきますか」とNさんは言った
・両親の死で忘れられた時間と人生
・Nさんとの出会い, かかわり, そして別れ
・「帰ってきましたか」「長い出張でしたね」
・治療や援助, 支援における二つのコミュニケーション
・うひ山ぶみの
その二 : おかしいもんやねぇ
・Aさんのエピソード : 一瞬の気のゆるみが奪った匠の人生
・失われた身体との関係性
・生活の回復は身体を通して
・わたし自身の体験
・外傷性脳障害 : 崩れたジグソーパズルのような
・作業療法のアプローチ
・かかわりの糸口
・作業療法の治療機序
・作業の平凡で豊かな日常性の力
・二つのコミュニケーションという視点
その三 : 治療や援助, 支援は中動の中に拡がる世界
・中動態とは
・臨床体験は中動の中に拡がる
Ⅰ章 コミュニケーションとしての身体・作業
1 身体と作業
1・1 身体における意識の違い
1・1・1 身体が意識されるとき
1・1・2 身体が意識されないとき
1・2 身体観の違い
1・2・1 心身二元論の世界
1・2・2 心身の相関
1・2・3 心身一如の世界
1・2・4 身体観の比較
1・2・5 近代日本哲学の身体観
1・3 身体と作業
1・3・1 身体図式と身体像
1・3・2 たとえばリンゴを
1・4 作業という脳内現象
1・4・1 作業開始前の現象
1・4・2 作業途中の現象
1・4・3 作業終了後の現象
2 作業をもちいる療法と身体・作業
2・1 ひとと作業
2・2 病いや障害による関係性の喪失
2・2・1 ひとは何を失うのだろう
2・2・2 関係喪失のプロセス
2・2・3 器質的要因による関係性の喪失
2・2・4 機能的要因による関係性の喪失
2・3 失われた現実を取りもどす―関係性の回復
2・3・1 関係性回復のプロセス
2・3・2 作業―生活機能モデル
2・3・3 身体の取りもどしと作業
2・3・4 生活の立てなおしと身体
2・4 心身の乖離と作業をもちいる療法のアプローチ
2・4・1 麻痺―思うように動かない身体
2・4・2 不随意運動―思いとは異なる動きをする身体
2・4・3 身体失認―実在を無視される身体
2・4・4 半側空間無視―実在するものを無視する身体
2・4・5 ファントム現象―幻の手足をもつ身体
2・4・6 摂食障害―受けいれられない身体
2・4・7 離人症状―実感のない身体
2・4・8 転換症状―こころの声を語る身体
2・4・9 幻覚―実在しないものを見聞きする身体
Ⅱ章 治療や援助,支援関係におけるコミュニケーション
1 コミュニケーションとは
1・1 ひととコミュニケーション
1・1・1 コミュニケーションがはたす機能
1・1・2 コミュニケーションに必要な機能と構造
1・1・3 コミュニケーションとことば(言語)
1・1・4 ことば(言語)の成りたち
1・2 コミュニケーションのしくみ
1・2・1 「伝え」のしくみ
1・2・2 「伝わり」のしくみ
1・2・3 コミュニケーションに必要な条件
1・2・4 たとえば初めて象を見た子どもが
1・3 コミュニケーションの手段・方法
1・3・1 言語メッセージの種類と特性
1・3・2 非言語メッセージの種類と特性
2 治療や援助, 支援関係とコミュニケーション
2・1 治療や援助, 支援における対象関係
2・1・1 一者関係 : 自己との対峙
2・1・2 二者関係 : 個人に対する治療や援助, 支援
2・1・3 三者関係 : 集団における治療や援助, 支援や場の利用
2・2 治療や援助, 支援における対象関係とコミュニケーション
2・2・1 治療や援助,支援の一者関係におけるコミュニケーション
2・2・2 治療や援助,支援の二者関係におけるコミュニケーション
2・2・3 治療や援助,支援の三者関係におけるコミュニケーション
2・3 治療や援助, 支援関係におけるコミュニケーションの障害
2・3・1 共同作業の関係に支障をきたすコミュニケーションの障害の原因
2・3・2 転移, 逆転移の影響
3 治療や援助, 支援におけるコミュニケーションのコツ
3・1 治療や援助, 支援におけるコミュニケーションとは
3・2 整える
3・2・1 心理的態勢(意識, 注意, 関心, 意欲)
3・2・2 物理的態勢(距離, 向き, 位置)
3・2・3 身体的態勢(機能, 構造, 体調)
3・3 まなざす―気持ちの伝え
3・4 共にある
3・5 待つ―関係の成りたち
3・5・1 観せて待つ, 観られて待つ
3・5・2 整いを待つ
3・6 知る―評価の原点
3・6・1 聴く
3・6・2 観る
3・6・3 集める
3・6・4 問う
3・6・5 読む
3・7 伝える―非言語メッセージ
3・7・1 声―ことばの表情
3・7・2 身体―からだの表情
3・7・3 物―拡張した自我
3・8 話す―言語メッセージ
3・8・1 ことばを物として手渡す
3・8・2 訓読み(大和言葉)を活かす
3・8・3 ことばを活かす作業
3・8・4 作業を活かすことば
3・8・5 ことばが活きるタイミング
Ⅲ章 臨床で体感されていることのエビデンスを示す試み
1 作業をもちいる療法の治療機序
1・1 学習性不使用と脳の可塑性
1・2 どのような環境でAさんの作業療法はおこなわれたのか
1・3 運動のイメージ(内部モデル)の再構築
1・4 運動をイメージする課題の特性 : なじみの課題
1・5 運動イメージとワーキングメモリ
1・6 強化学習 : 適切な報酬
1・7 作業の没我性とフロー体験
1・7・1 Fmθ(frontal midline theta rhythm)
1・7・2 脳内のネットワーク
1・7・3 ワーキングメモリネットワークとFmθ
1・7・4 ワーキングメモリと社会脳
1・7・5 作業活動におけるFmθ出現時の自律神経活動
1・8 Aさんの治療機序のまとめ
2 作業をもちいる療法の治療関係の構築
2・1 自己の治療的利用(therapeutic use of self)
2・1・1 自己の治療的利用とはプラセボ効果の積極的利用である
2・1・2 むすび
日々の章 出会いとコミュニケーション
1 出会い, かかわり, そして展開
事例1 : お腹に金魚飼ってます―統合失調症(慢性)
事例2 : おニャン子クラブ知ってますか ? ―反応のない少年(不明)
事例3 : かまわないでください―合併症にともなううつ状態
事例4 : 歩けないの何もできないの―転換性障害
事例5 : どうして話さないの ? ―緘黙症
事例6 : 人形を抱いて過ごす―アルツハイマー型認知症
事例7 : 枯れ枝のような身体―神経性無食欲症
事例8 : モモちゃんを治して―知的障害をともなう統合失調症
事例9 : 止まらない悪言―トゥレット障害
事例10 : 見えてるのに, さわってもわからへん―高次脳機能障害
2 何がコミュニケーションのきっかけだったのか ?
2・1 コミュニケーションのきっかけ
2・2 コミュニケーションの共通事項
終章
付表 ICFに基づいたカンファレンスシート
新版エピローグ―二つのコミュニケーションという視点
序章 1
その一 : うひ山ぶみの
・「いつ帰ってきますか」とNさんは言った
・両親の死で忘れられた時間と人生
・Nさんとの出会い, かかわり, そして別れ
・「帰ってきましたか」「長い出張でしたね」
・治療や援助, 支援における二つのコミュニケーション
・うひ山ぶみの
その二 : おかしいもんやねぇ
・Aさんのエピソード : 一瞬の気のゆるみが奪った匠の人生
・失われた身体との関係性
・生活の回復は身体を通して
・わたし自身の体験
・外傷性脳障害 : 崩れたジグソーパズルのような
・作業療法のアプローチ
・かかわりの糸口
・作業療法の治療機序
・作業の平凡で豊かな日常性の力
・二つのコミュニケーションという視点
その三 : 治療や援助, 支援は中動の中に拡がる世界
・中動態とは
・臨床体験は中動の中に拡がる
Ⅰ章 コミュニケーションとしての身体・作業
1 身体と作業
1・1 身体における意識の違い
1・1・1 身体が意識されるとき
1・1・2 身体が意識されないとき
1・2 身体観の違い
1・2・1 心身二元論の世界
1・2・2 心身の相関
1・2・3 心身一如の世界
1・2・4 身体観の比較
1・2・5 近代日本哲学の身体観
1・3 身体と作業
1・3・1 身体図式と身体像
1・3・2 たとえばリンゴを
1・4 作業という脳内現象
1・4・1 作業開始前の現象
1・4・2 作業途中の現象
1・4・3 作業終了後の現象
2 作業をもちいる療法と身体・作業
2・1 ひとと作業
2・2 病いや障害による関係性の喪失
2・2・1 ひとは何を失うのだろう
2・2・2 関係喪失のプロセス
2・2・3 器質的要因による関係性の喪失
2・2・4 機能的要因による関係性の喪失
2・3 失われた現実を取りもどす―関係性の回復
2・3・1 関係性回復のプロセス
2・3・2 作業―生活機能モデル
2・3・3 身体の取りもどしと作業
2・3・4 生活の立てなおしと身体
2・4 心身の乖離と作業をもちいる療法のアプローチ
2・4・1 麻痺―思うように動かない身体
2・4・2 不随意運動―思いとは異なる動きをする身体
2・4・3 身体失認―実在を無視される身体
2・4・4 半側空間無視―実在するものを無視する身体
2・4・5 ファントム現象―幻の手足をもつ身体
2・4・6 摂食障害―受けいれられない身体
2・4・7 離人症状―実感のない身体
2・4・8 転換症状―こころの声を語る身体
2・4・9 幻覚―実在しないものを見聞きする身体
Ⅱ章 治療や援助,支援関係におけるコミュニケーション
1 コミュニケーションとは
1・1 ひととコミュニケーション
1・1・1 コミュニケーションがはたす機能
1・1・2 コミュニケーションに必要な機能と構造
1・1・3 コミュニケーションとことば(言語)
1・1・4 ことば(言語)の成りたち
1・2 コミュニケーションのしくみ
1・2・1 「伝え」のしくみ
1・2・2 「伝わり」のしくみ
1・2・3 コミュニケーションに必要な条件
1・2・4 たとえば初めて象を見た子どもが
1・3 コミュニケーションの手段・方法
1・3・1 言語メッセージの種類と特性
1・3・2 非言語メッセージの種類と特性
2 治療や援助, 支援関係とコミュニケーション
2・1 治療や援助, 支援における対象関係
2・1・1 一者関係 : 自己との対峙
2・1・2 二者関係 : 個人に対する治療や援助, 支援
2・1・3 三者関係 : 集団における治療や援助, 支援や場の利用
2・2 治療や援助, 支援における対象関係とコミュニケーション
2・2・1 治療や援助,支援の一者関係におけるコミュニケーション
2・2・2 治療や援助,支援の二者関係におけるコミュニケーション
2・2・3 治療や援助,支援の三者関係におけるコミュニケーション
2・3 治療や援助, 支援関係におけるコミュニケーションの障害
2・3・1 共同作業の関係に支障をきたすコミュニケーションの障害の原因
2・3・2 転移, 逆転移の影響
3 治療や援助, 支援におけるコミュニケーションのコツ
3・1 治療や援助, 支援におけるコミュニケーションとは
3・2 整える
3・2・1 心理的態勢(意識, 注意, 関心, 意欲)
3・2・2 物理的態勢(距離, 向き, 位置)
3・2・3 身体的態勢(機能, 構造, 体調)
3・3 まなざす―気持ちの伝え
3・4 共にある
3・5 待つ―関係の成りたち
3・5・1 観せて待つ, 観られて待つ
3・5・2 整いを待つ
3・6 知る―評価の原点
3・6・1 聴く
3・6・2 観る
3・6・3 集める
3・6・4 問う
3・6・5 読む
3・7 伝える―非言語メッセージ
3・7・1 声―ことばの表情
3・7・2 身体―からだの表情
3・7・3 物―拡張した自我
3・8 話す―言語メッセージ
3・8・1 ことばを物として手渡す
3・8・2 訓読み(大和言葉)を活かす
3・8・3 ことばを活かす作業
3・8・4 作業を活かすことば
3・8・5 ことばが活きるタイミング
Ⅲ章 臨床で体感されていることのエビデンスを示す試み
1 作業をもちいる療法の治療機序
1・1 学習性不使用と脳の可塑性
1・2 どのような環境でAさんの作業療法はおこなわれたのか
1・3 運動のイメージ(内部モデル)の再構築
1・4 運動をイメージする課題の特性 : なじみの課題
1・5 運動イメージとワーキングメモリ
1・6 強化学習 : 適切な報酬
1・7 作業の没我性とフロー体験
1・7・1 Fmθ(frontal midline theta rhythm)
1・7・2 脳内のネットワーク
1・7・3 ワーキングメモリネットワークとFmθ
1・7・4 ワーキングメモリと社会脳
1・7・5 作業活動におけるFmθ出現時の自律神経活動
1・8 Aさんの治療機序のまとめ
2 作業をもちいる療法の治療関係の構築
2・1 自己の治療的利用(therapeutic use of self)
2・1・1 自己の治療的利用とはプラセボ効果の積極的利用である
2・1・2 むすび
日々の章 出会いとコミュニケーション
1 出会い, かかわり, そして展開
事例1 : お腹に金魚飼ってます―統合失調症(慢性)
事例2 : おニャン子クラブ知ってますか ? ―反応のない少年(不明)
事例3 : かまわないでください―合併症にともなううつ状態
事例4 : 歩けないの何もできないの―転換性障害
事例5 : どうして話さないの ? ―緘黙症
事例6 : 人形を抱いて過ごす―アルツハイマー型認知症
事例7 : 枯れ枝のような身体―神経性無食欲症
事例8 : モモちゃんを治して―知的障害をともなう統合失調症
事例9 : 止まらない悪言―トゥレット障害
事例10 : 見えてるのに, さわってもわからへん―高次脳機能障害
2 何がコミュニケーションのきっかけだったのか ?
2・1 コミュニケーションのきっかけ
2・2 コミュニケーションの共通事項
終章
付表 ICFに基づいたカンファレンスシート
新版エピローグ―二つのコミュニケーションという視点
【著】
山根 寛(「ひとと作業・生活」研究会)
白岩圭悟(特定医療法人栄仁会宇治おうばく病院)