脱力系コミックエッセイ 重症筋無力症とほほ日記【改訂版】
電子版あり
定価:1,760円(本体1,600円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-655-5
内容紹介
見えない病気がよく見える !
ある日突然力が入らなくなる“ナンビョウ”になったオイラの日常はまさに脱力系 ! &「とほほ」の連続だった。MG発症から入院・病気の進行・呼吸不全を経て、治療とリハビリを経験し、執筆ができるまでに回復した著者の「とほほ」な日常をありのままに描いたコミックエッセイ。著者が日夜感じている重力の重さとは裏腹に、ライトに読みやすく仕上がっています。
一見しただけでは難病患者に見えない日常生活の不都合、病気や症状に対する患者目線での気づき、入院生活のホンネ…。医療従事者や家族が、患者さんと接するうえでのヒントがもりだくさん! 本書で、見えない病気への理解を深めよう !
案外この本の中に超高齢社会を生きる私たちに共通の課題やヒントがあるかも。
目次
第1章 MGってどんなビョーキ???―その症状と日常生活
日内変動
眼瞼下垂
嚥下障害
喉の構造
構音障害
考察・構音障害
四肢・体幹筋力低下
入浴編
はばかり編
身だしなみ編
外出 & 歩行編
考察・重力とMG
買い物 & 交通編
コラム 「ヘルプマーク」をご存じ ?
料理&台所編
字を書く 絵を描く
描きやすさ比較
宴会は苦手 ?
趣味や娯楽で「とほほ」編
季節変化とMG
風圧と気圧
そもそもなんでMGになるの ?
胸腺腫の摘除手術について
コラム 父の闘病と始まった私のとほほ病
第2章 発病―異変から診断まで
発病前のオイラ
異変
初診
精密検査
病名告知
誤診と治療難民
コラム 難病患者をとりまく現状
第3章 キョーフのクリーゼ―九死に一生を得る
クリーゼの予兆
緊急入院
覚醒
受難
好転
想像図 ICUを上から見たら… ?
急性期の治療 ステロイドパルスと血漿交換
試練と支援
疑似体験
人工呼吸器について
抜管
コラム 「生きていてくれて、よかった !」
入院中の足跡
第4章 リハビリと治療―気長にゆるゆると
リハビリテーション1 歯科
リハビリテーション2 【発語療法】Speech Therapy : ST
リハビリテーション3 【理学療法】Physical Therapy : PT
リハビリテーション4 【作業療法】Occupational Therapy : OT
リハビリテーション番外編 あったらいいなTherapy
治療1 抗コリンエステラーゼ薬
治療2 ステロイド治療 副腎皮質ホルモンの化学合成薬
ステロイドの処方例
ステロイドの主な副作用
イレギュラーな副作用
ステロイド治療と抗体価の推移
治療3 免疫抑制剤
その他の治療法
治療によって回復したら…
日常生活の大切さ
胸腺腫の再発・再々発 !? その後のとほほ話
現在のオイラ とほほでもOK !
コラム めざせ、元気な病人・幸せな難病患者
オイラとMGの年表
日内変動
眼瞼下垂
嚥下障害
喉の構造
構音障害
考察・構音障害
四肢・体幹筋力低下
入浴編
はばかり編
身だしなみ編
外出 & 歩行編
考察・重力とMG
買い物 & 交通編
コラム 「ヘルプマーク」をご存じ ?
料理&台所編
字を書く 絵を描く
描きやすさ比較
宴会は苦手 ?
趣味や娯楽で「とほほ」編
季節変化とMG
風圧と気圧
そもそもなんでMGになるの ?
胸腺腫の摘除手術について
コラム 父の闘病と始まった私のとほほ病
第2章 発病―異変から診断まで
発病前のオイラ
異変
初診
精密検査
病名告知
誤診と治療難民
コラム 難病患者をとりまく現状
第3章 キョーフのクリーゼ―九死に一生を得る
クリーゼの予兆
緊急入院
覚醒
受難
好転
想像図 ICUを上から見たら… ?
急性期の治療 ステロイドパルスと血漿交換
試練と支援
疑似体験
人工呼吸器について
抜管
コラム 「生きていてくれて、よかった !」
入院中の足跡
第4章 リハビリと治療―気長にゆるゆると
リハビリテーション1 歯科
リハビリテーション2 【発語療法】Speech Therapy : ST
リハビリテーション3 【理学療法】Physical Therapy : PT
リハビリテーション4 【作業療法】Occupational Therapy : OT
リハビリテーション番外編 あったらいいなTherapy
治療1 抗コリンエステラーゼ薬
治療2 ステロイド治療 副腎皮質ホルモンの化学合成薬
ステロイドの処方例
ステロイドの主な副作用
イレギュラーな副作用
ステロイド治療と抗体価の推移
治療3 免疫抑制剤
その他の治療法
治療によって回復したら…
日常生活の大切さ
胸腺腫の再発・再々発 !? その後のとほほ話
現在のオイラ とほほでもOK !
コラム めざせ、元気な病人・幸せな難病患者
オイラとMGの年表
書評
評者:杉原素子(国際医療福祉大学大学院,作業療法士)
リハビリテーションサービスに従事する私たちは、障害を有する人々へのサービスのあり様を心身機能偏重から活動・社会参加へ視点を移すよう心がけてきてから、かなりの年月が経つ。しかしながら、「その人らしい生活」、「本人が望む生活」等の言葉はあたり前のように多く語られてはいるが、本人主体の困ったことや望んでいることを把握する私たちのスキルは道半ばにある。このことはリハビリテーションサービスに携わる人材がいまだ若い層が多いことと関係していると思うが、本書は正に当事者の立場から私たちに鋭く問いかけ、そして誰にでも理解できるように答えを出してくれている。
氏は29歳10カ月時に重症筋無力症(myasthenia gravis)を発症した。私はこの本の著者である「わたなべすがこ」氏とは、十数年前に本書の初版が出されたときに日本作業療法士協会広報誌『オペラ』の取材で対談している。そのとき、氏はMGとはわからない外見を気にされていたが、その後11年が過ぎ、さらに症状の再燃、胸線腫の再発、摘除手術等いろいろな“とほほ”な思いを体験し、“オイラ”(わたなべすがこ氏自身)による漫画日記の改訂に至っている。本書は、奇妙な症状や出来事に右往左往し、泣いたり、笑ったり、怒ったり、喜んだりして病気と過ごす氏の様子が実におもしろく描かれている。氏はもともと病気になる前から、日常のさまざまなことを絵や文で表すことをしていたので、指定難病の物語でありながら、本書はコミックのジャンルとして違和感はない。MG特有の「重力」に逆らえない“オイラ”の症状・状態が、思わず吹き出してしまう出来事に発展していく絵と文は秀逸である。
さすがにこの病気に遭遇し、さまざまなリハビリテーションサービスを経験している当事者であると感心させられるのは、日内変動、眼瞼下垂、嚥下障害、構音障害、四肢・体幹筋力低下等の症状がADLやIADLの各活動に与える具体的な影響や、発症前の兆しについての描写は、かなり理解しやすいし、とても役立つ。筋力の衰えが甚だしい後期高齢者である私自身は学ぶことが多い。著者自身も「なんだか急におばあちゃんになった感じ」、「疲れやすくなるとか、呑み込みの力も弱くなってのどにつかえやすくなる」等、「高齢者になった時の予行演習をしているみたい」と語っている。
MGという病と共に生きていかなければならない著者は、大学研究機関でイラストや文字を扱う広報業務に従事する職員として働きはじめ、その間さまざまな人的・物理的配慮を受けながら8年目を迎えている。自分以外の困っている人の「役に立ちたい」との思いが、病気を忘れさせ、病気のある自分でも活かせる気がしていると語る。また、発病前と同じ健康体には戻ることはできないが、本当の意味の「健康」とは何かを探るべく、自身を「元気な病人」、「幸せな難病患者」と想像し、前に進んでいる最中と思われる。
本書は、リハビリテーション専門職が、当事者の叫び、望み、願いを学ぶことのできるテキストとして強く推薦する。
「作業療法ジャーナル」53巻7号(2019年7月号)(三輪書店)より転載
リハビリテーションサービスに従事する私たちは、障害を有する人々へのサービスのあり様を心身機能偏重から活動・社会参加へ視点を移すよう心がけてきてから、かなりの年月が経つ。しかしながら、「その人らしい生活」、「本人が望む生活」等の言葉はあたり前のように多く語られてはいるが、本人主体の困ったことや望んでいることを把握する私たちのスキルは道半ばにある。このことはリハビリテーションサービスに携わる人材がいまだ若い層が多いことと関係していると思うが、本書は正に当事者の立場から私たちに鋭く問いかけ、そして誰にでも理解できるように答えを出してくれている。
氏は29歳10カ月時に重症筋無力症(myasthenia gravis)を発症した。私はこの本の著者である「わたなべすがこ」氏とは、十数年前に本書の初版が出されたときに日本作業療法士協会広報誌『オペラ』の取材で対談している。そのとき、氏はMGとはわからない外見を気にされていたが、その後11年が過ぎ、さらに症状の再燃、胸線腫の再発、摘除手術等いろいろな“とほほ”な思いを体験し、“オイラ”(わたなべすがこ氏自身)による漫画日記の改訂に至っている。本書は、奇妙な症状や出来事に右往左往し、泣いたり、笑ったり、怒ったり、喜んだりして病気と過ごす氏の様子が実におもしろく描かれている。氏はもともと病気になる前から、日常のさまざまなことを絵や文で表すことをしていたので、指定難病の物語でありながら、本書はコミックのジャンルとして違和感はない。MG特有の「重力」に逆らえない“オイラ”の症状・状態が、思わず吹き出してしまう出来事に発展していく絵と文は秀逸である。
さすがにこの病気に遭遇し、さまざまなリハビリテーションサービスを経験している当事者であると感心させられるのは、日内変動、眼瞼下垂、嚥下障害、構音障害、四肢・体幹筋力低下等の症状がADLやIADLの各活動に与える具体的な影響や、発症前の兆しについての描写は、かなり理解しやすいし、とても役立つ。筋力の衰えが甚だしい後期高齢者である私自身は学ぶことが多い。著者自身も「なんだか急におばあちゃんになった感じ」、「疲れやすくなるとか、呑み込みの力も弱くなってのどにつかえやすくなる」等、「高齢者になった時の予行演習をしているみたい」と語っている。
MGという病と共に生きていかなければならない著者は、大学研究機関でイラストや文字を扱う広報業務に従事する職員として働きはじめ、その間さまざまな人的・物理的配慮を受けながら8年目を迎えている。自分以外の困っている人の「役に立ちたい」との思いが、病気を忘れさせ、病気のある自分でも活かせる気がしていると語る。また、発病前と同じ健康体には戻ることはできないが、本当の意味の「健康」とは何かを探るべく、自身を「元気な病人」、「幸せな難病患者」と想像し、前に進んでいる最中と思われる。
本書は、リハビリテーション専門職が、当事者の叫び、望み、願いを学ぶことのできるテキストとして強く推薦する。
「作業療法ジャーナル」53巻7号(2019年7月号)(三輪書店)より転載
【著】わたなべすがこ
※「I’m MG~重症筋無力症とほほ日記~」を改題して一部内容を改訂したものです