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第19回勇気ある経営大賞

はじめよう ! おうちでできる 子どものリハビリテーション&やさしいケア 小さく生まれた子どもや重い障がいのある子どもの在宅支援のために

電子版あり

定価:5,280円(本体4,800円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-667-8

B5 / 320頁 / 2019年
【監修】
田村正徳(埼玉医科大学総合医療センター)
前田浩利(医療法人財団はるたか会)
【編集】
日本小児在宅医療支援研究会
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内容紹介

はじめてでも大丈夫 !
子どもの在宅支援にかかわるすべての方へ

この一冊で小児在宅支援の幅広い知識が身につきます。
医療やリハの基礎知識に加えて、教育(療育)から、関連する法律・制度までを網羅 !
子どものリハ&ケアの現場で著者たちが考え、工夫し、実践してきたコツやアイデアが満載 !
どんなに重い障がいがあっても、一人ひとりの子どもが大切にされ、生きやすく、暮らしやすい社会にしていくために、私たちにできることは ?
本書は在宅リハの考え方や技術によって、子どもの生活や人生を包括的に支える手助けができるように、はじめて小児在宅支援にかかわるリハ専門職だけでなく、看護師、介護職、そしてご家族の皆様にも読んでいただきたい、実践的ですぐに役立つ入門書です。

[本書の特徴]
・本書で対象としているのは、小さく生まれた子どもや重い障がいをもった子どもたちです
・本書の著者は、医師・看護師・リハ専門職を中心に教員や支援員など多彩な職種で構成されています
・各項目の最初に示されたサマリーで、これから学ぶことの要点がわかります
・医療職以外の人のためにもできるだけやさしく書かれ、たくさんのかわいいイラストでビジュアル的にもわかりやすく解説されています
・リハ専門職からのアドバイス「ココは押さえておこう ! 」や、医師や看護師からの「訪問スタッフにみてほしいポイント」など、現場で役立つ豆知識が盛りだくさんです

さあ、はじめましょう ! 子どものリハビリテーション&やさしいケアを !

目次

第1章 小児在宅医療とリハビリテーション

1 小児在宅医療とリハ
小児在宅医療と多職種連携の意義
 ①小児在宅医療の現状
 ②小児在宅医療における多職種連携の意義
 ③小児在宅医療に必要な構造
 訪問スタッフにみてほしいポイント
小児在宅リハの現状と課題
 ①小児在宅リハのミッションと支援者の役割
 ②小児在宅リハの現状と課題―全国調査の結果から
 ③小児在宅リハと多職種連携のコツ
 ココは押さえておこう !

2 子どもと家族
子どものケア
 ①はじめに
 ②成長とその評価
 ③発達とその評価
 ④発達理論
 ⑤子どもの権利
 訪問スタッフにみてほしいポイント
家族のケア
 《基礎編》
 ①家族を客観視する
 ②家族レジリエンスを支え, 育てる
 《実践編》
 ①生活する中での家族の課題
 ②きょうだいのケア
 ココは押さえておこう !


第2章 小さく生まれた子どものリハビリテーション

1 低出生体重児の特徴
低出生体重児の特徴
 ①NICUについて
 ②入院時の特徴 (低出生体重児, 合併症・治療)
 ③退院後の課題
 訪問スタッフにみてほしいポイント

2 小さく生まれた子どものリハ
小さく生まれた子どものリハ
 《NICU編》
 ①小さく生まれた子どものリハ
 ②NICUのリハ : ポジショニング
 ③NICUのリハ : 哺乳支援
 ④NICUのリハ : 発達支援
 ⑤NICUのリハ : 退院支援
 ココは押さえておこう !
 《在宅リハ編》
 ①退院後の赤ちゃんと家族の生活
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③小さく生まれた子どもの在宅リハのポイント
発達評価
 ①発達をみるポイント「キーエイジ」
 ②日本における乳幼児の発達を評価する制度と体制
 ③発達支援の注意点
 ココは押さえておこう !
発達促進 : 粗大運動発達と促進方法
 《4カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《7カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《10カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《12カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
発達促進 : 巧緻運動発達と促進方法
 《4カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもの特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《7カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもの特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《10カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもの特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《12カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもの特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
発達促進:精神言語発達と促進方法
 《4カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《7カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《10カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《12カ月》
 ①発達の目安
 ②小さく生まれた子どもによくみられる特徴
 ③発達促進のためのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !


第3章 重い障がいのある子どものリハビリテーション

1 重症心身障害児の特徴
重症心身障害児の特徴
 ①はじめに
 ②変化する子どもの病態 : 歩ける話せる気管切開, 人工呼吸器装着児
 ③医療技術の進歩によって変化する子どもの病態
 ④在宅医療が必要な子どもの病態と特徴
 ⑤NICUからの退院支援
 ⑥急増する医療依存度の高い若年成人
 ⑦重症心身障害児に対する在宅医療の実際
 訪問スタッフにみてほしいポイント

2 重い障がいのある子どものリハ
重い障がいのある子どものリハ
 ①重い障がいのある子どものリハとは
 ②重い障がいのある子どもの在宅リハのポイント
育ちと暮らし
 ①重い障がいのある子どもの生活 (総論)
 ②出生~初めての在宅生活
 ③幼児期
 ④学齢期
 ⑤成人期
 訪問スタッフにみてほしいポイント
子どもの評価と目標設定
 ①はじめに
 ②「10個の問い」
 ③事例紹介
 ④ニーズを知る
 ⑤全体像を把握する
 ⑥生活の課題の重要度とエビデンスに基づいた個別性のあるケアの展開
 ⑦暮らしを知る
 ⑧モニタリングシートの活用
 ⑨子どもの成長や未来の生活をイメージする
 ⑩立体的かつ包括的な目標設定を行う
 ⑪実際に関わる
 ⑫未来と過去の健康と暮らしを知る
column 子どものリハに役立つ道具


第4章 子どものリハビリテーション&やさしいケア
A 「かけがえのない生命を守る」

1 体調を安定させる
体調管理と急変時の対応
 ①はじめに
 ②体調管理
 ③急変時の対応
 訪問スタッフにみてほしいポイント
よく使用される薬剤
 ①子どもの薬物療法の基礎知識
 ②よく使用される薬剤
 訪問スタッフにみてほしいポイント
体調ケアとリハ
 《基礎編》
 ①はじめに
 ②子どもの体調を把握する
 ③フィジカルアセスメントのポイント
 ④バイタルサイン測定のポイント
 ⑤バイタルサインのアセスメント
 ⑥子どもによくみられる病状と対応
 訪問スタッフにみてほしいポイント
 《実践編》
 ①子どもの体調ケアの必要性
 ②「生命の安全」とリハ
 ③「健康の維持」とリハ
 ココは押さえておこう !

2 呼吸を整える
呼吸管理とケア
 《基礎編》
 ①呼吸器官の解剖生理
 ②呼吸障害の概要とみかた
 ③気管切開, 気管カニューレ, スピーチカニューレ, スピーチバルブ
 訪問スタッフにみてほしいポイント
 《実践編》
 ①小児在宅医療における呼吸管理
 ②気管切開の管理とケア
 ③在宅人工呼吸器の管理とケア
 ④排痰補助装置の導入
 訪問スタッフにみてほしいポイント
医療機器とモニタリングポイント
 ①在宅酸素供給装置
 ②吸引装置
 ③人工呼吸器
 ④排痰補助装置
 訪問スタッフにみてほしいポイント
呼吸ケアとリハ
 ①子どもの呼吸障害と支援の必要性
 ②在宅リハの視点と思考プロセス
 ③重い障がいのある子どもの呼吸リハ (病態と対応)
 ④陽圧換気療法
 ⑤事例から学ぶ小児在宅リハのピットフォール
 ⑥多職種連携のコツとポイント
 ココは押さえておこう !

3 循環を整える
循環管理とケア
 ①はじめに
 ②心臓の働き
 ③心拍出量を決める4要素
 ④心機能が落ちると
 ⑤抗心不全治療
 ⑥主な小児心疾患
 ⑦日常生活上の留意点
 訪問スタッフにみてほしいポイント
循環ケアとリハ
 ①子どもの循環障害の兆候や観察ポイント
 ②チアノーゼや心不全が疑われる際の対応と全身状態の管理
 ③モニタリング表
 ④モニタリングとアセスメントのポイント
 ⑤リスク管理とリハのポイント
 ココは押さえておこう !

4 てんかんをコントロールする
てんかん管理とケア
 ①てんかんとは
 ②てんかんの診断
 ③てんかんの治療
 ④重い障がいのある子どものてんかん治療の特徴
 ⑤てんかん発作時の対応
 訪問スタッフにみてほしいポイント
てんかんケアとリハ
 ①てんかんの観察ポイント
 ②モニタリング表
 ③モニタリングのポイント
 ココは押さえておこう !
column 押さえておこう ! 「子どもの医療的ケア」


第4章 子どものリハビリテーション&やさしいケア
B 「健康の維持・増進をサポートする」

1 心地よい睡眠を促す
睡眠管理とケア
 ①はじめに : 寝る子は育つ
 ②睡眠覚醒リズムの生理
 ③重い障がいのある子どもの睡眠の問題点
 ④非薬物療法と薬物療法を効果的に組み合わせる : 薬は応援団
 訪問スタッフにみてほしいポイント
睡眠ケアとリハ
 ①子どもの睡眠覚醒リズムを整える重要性と生活との関連
 ②モニタリング表
 ③モニタリングとアセスメントのポイント
 ココは押さえておこう !

2 食べる楽しみを支える
栄養管理とケア (基礎編)
 ①重い障がいのある子どもの栄養の考え方
 ②栄養摂取法
 ③経腸栄養剤の選択
 訪問スタッフにみてほしいポイント
栄養管理とケア (実践編) : 経管栄養の子どもの食事支援
 ①栄養と成長発達
 ②「食べる文化」と「育てる医療」
 ③経管栄養の子どもの栄養ケア, 食事支援の実際
 訪問スタッフにみてほしいポイント
摂食・嚥下ケアとリハ
 ①子どもの摂食機能の発達
 ②むせる子どもとむせない子どもたちのリスク管理
 ③在宅での摂食嚥下機能の評価
 ④食物を使わない間接訓練
 ⑤食物を使った直接訓練
 ⑥在宅での支援と連携
 ココは押さえておこう !
消化・排泄ケアとリハ
 ①子どもの消化・排泄の観察ポイント
 ②モニタリング表
 ③モニタリングとアセスメントのポイント
 ココは押さえておこう !

3 動きやすい身体をつくる
身体管理とケア
 ①成長とそれに伴う病態変化
 ②複雑な病態へのアプローチ
 ③「治療」としての姿勢管理やリハビリテーション
 ④重症心身障害児の身体の特徴
 訪問スタッフにみてほしいポイント
身体ケアとリハ (基礎編)
 《子どもとの関わり方》
 ①はじめに
 ②声の掛け方
 ③触れ方
 ④動かし方
 ⑤緊張を緩和するコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
身体ケアとリハ (実践編)
 《姿勢とポジショニング》
 ①はじめに
 ②仰臥位
 ③仰臥位 (側弯+下肢の変形拘縮がある場合)
 ④側臥位
 ⑤腹臥位
 ⑥緊張が高い子ども
 ⑦緊張が低い子ども
 ⑧ポジショニングのコツとアイデア
 ココは押さえておこう !
 《座位と抱っこ》
 ①重い障がいのある子どもと座位
 ②座位 (抱っこ) のポイント
 ③移動・移乗のポイント
 ココは押さえておこう !
子どもの健康と生活を支える道具 : 日常生活を支援する
 ①日常生活用具の定義と導入の留意点
 ②ベッド
 ③マットレス・姿勢保持クッション
 ④入浴補助具 : バスチェア
 ⑤カーシート
 ⑥吸引器・吸入器・パルスオキシメータ
 ココは押さえておこう !
子どもの健康と生活を支える道具 : 運動や活動を支援する
 ①在宅における装具とは
 ②下肢装具の分類
 ③短下肢装具の各部の名称, 主な役割
 ④装具の装着方法
 ⑤適合チェックポイントと作り替えのポイント (プラスチック型短下肢装具の場合)
 ⑥体幹装具 (プレーリーくん®)
 ココは押さえておこう !
子どもの健康と生活を支える道具:姿勢保持を支援する
 ①はじめに
 ②座位保持装置と車いす
 ③座位のチェックポイント
 ④こんなときどうする ? : さまざまなケースと対応例
 ⑤腹臥位保持具
 ココは押さえておこう !
column 制度の活用とモニタリングのポイント


第4章 子どものリハビリテーション&やさしいケア
C 「社会生活を共に創造する」

1 出会いを広げる
コミュニケーション支援 : 人との出会い
 ①コミュニケーションの発達段階を把握する
 ②理解力を育てる
 ③コミュニケーション手段を育てる
 ④在宅でのコミュニケーションの環境整備
 ココは押さえておこう !
あそびの支援:楽しさとの出会い
 《基礎知識と在宅支援のポイント》
 ①小さく生まれた子ども, 重い障がいのある子どもは
 ②感覚統合の理論を学ぼう
 ③感覚統合障害の分類
 ④感覚の役割
 ⑤重い障がいのある子どもの感覚
 ⑥あそびの発達
 ココは押さえておこう !
 《ITの活用》
 ①スイッチ操作に使えるところを探そう !
 ②スイッチは手で押すもの ? 他にはどんなものがあるの ?
 ③ワンスイッチでも工夫次第で楽しめる !
 ココは押さえておこう !
おでかけの支援 : 外の世界との出会い
 ①おでかけの意義
 ②おでかけの現状
 ③おでかけ支援の実際
 ココは押さえておこう !

2 子どもと社会生活
子どもと社会生活
 ①はじめに
 ②命を救う場面から暮らしにつなげる
 ③ニーズをどのようにつなぎ生かすか
 ④小児在宅医療から小児地域医療へ
 ⑤その子に合った社会資源利用
 訪問スタッフにみてほしいポイント
医療・福祉サービス : 制度の概要
 ①はじめに
 ②子どもの地域生活を支えるサービス
 ③障害福祉サービスの概要
 ④障害者総合支援法の障害福祉サービス
 ⑤児童福祉法の障害福祉サービス
 ⑥子どもの成長発達と支援制度
 訪問スタッフにみてほしいポイント
医療・福祉サービス : 相談支援と制度活用
 ①子どもと相談支援 (総論)
 ②制度活用のポイント
 ③実際の支援の中でみえてくること
 訪問スタッフにみてほしいポイント
子どもと療育
 ①療育とは
 ②障害児施設・事業
 ③外出が困難な障害児に対する支援
 訪問スタッフにみてほしいポイント
子どもと教育
 ①特別支援教育
 ②自立活動とは
 ③医療的ケアとは
 ④特別支援教育と地域連携
 訪問スタッフにみてほしいポイント
column 災害に備えて

さくいん

書評

評者 : 小沢 浩 (島田療育センターはちおうじ, 医師)


 少子化が問題になっている現代の日本において、体重2,500g未満の低出生体重児の割合は約10%となり、医療的ケア児は10年前に比べ2倍の約2万人、人工呼吸器を必要とする子どもたちは10年前の約10倍の約4,000人と増加の一途をたどっている。その多くの子どもたちは在宅で生活を送る。だが、その増加に社会は戸惑い、子どもたちと家族を取り巻く環境はあまりにぜい弱である。
 本書は、そんな子どもたちと家族に幸せをもたらそうと日々奮闘するフロンティアたちが結集して作り上げた本である。本をひもとくと、多くのイラストや写真があり、やさしい文字と色使いが彩を添えている。執筆者も医療・福祉・教育と、多職種連携がなされている。多職種連携は、子どもと家族を支援するだけでなく、新たな社会システムを創っていくうえで欠かせないものであり、そのことも本書は体現している。
 内容も多岐にわたる。発達、呼吸、循環、睡眠、摂食、姿勢、装具、社会制度、災害対策などを「はじめよう ! おうちでできる子どものリハビリテーション & やさしいケア」の題のごとく、やさしくわかりやすく解説している。この本の「やさしい」には2つの意味が込められている。1つは、子どもにかかわる人にとって、わかりやすく実践しやすい「易しい」である。もう1つは子どもにとって、安心、安全、安楽な「優しい」である。
 本書では、「在宅リハでは、子どもとかかわる“楽しさ”を両親が感じられるように支援していかなければいけない」と説いている。特筆すべきは、第2章「小さく生まれた子どものリハビリテーション」である。早産児・低出生体重児について、入院中の摂食・遊び・ポジショニング・退院支援のポイントをイラストでわかりやすく解説している。そして、次に発達表・おもちゃの発達表・玩具一覧表・コミュニケーションの促進方法などが示されていて、家族が“楽しさ”を感じられる情報が満載である。他の章の、医療・福祉サービス・法律などすべての分野の情報とともに、不安いっぱいの家族を安心感で包み込む。おもちゃの発達表など私は今までみたこともなかった。まさしく、支援者も“楽しさ”を感じられる本である。
 本書は、おわりに「小さく生まれた子ども、重い障がいのある子どもの支援者の皆さまへ」というメッセージが込められている。成人しか経験のなかったPTの著者が、初めて小児を担当することになり、療育のPTを見学に行ったときのこと。抱っこの仕方を教わろうとお願いしたとき、「PTだったら触ればどうやって抱っこをするかわかるでしょ ? 」とにべもなく言われ、そのひと言が筆者の心に火をつけたと書いている。しかし、筆者のようにそのひと言を糧にする者はほんの一握りであろう。似たような経験から、小児の在宅を去っていった支援者もいることだろう。
 家族も支援者も、誰もが初心者だった。わからないことを教え、教えられ、職種を超え、互いに理解しあい、“楽しい”“やさしい”を広げていく。
 本書は、表紙から裏表紙まで、その思いが貫かれている。
“楽しい”を共有できる本である。
“易しい”を共有できる本である。
“優しい”を共有できる本である。
この本を読まずして、小児在宅は語れない。

「地域リハビリテーション」第14巻5号 (2019年11月号)(三輪書店)より転載

書評

評者 : 横山美佐子(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)


 私は本書を、小児の在宅医療やリハビリテーションにかかわる医療関係者や家族だけでなく、すべてのリハビリテーションにかかわる医療関係者にお薦めしたいと思っています。
 日本において、総出生数は減少していますが、体重2,500g未満の低出生体重児は右肩上がりに増加している現状です。また、医学の進歩とともに、低出生体重児や医療的ケア児、重症心身障害児は、長く生きることができる時代となりました。そして、子どもたちは、あっという間に大人になります。
 このような背景のもと、2018年に「成育医療等基本法」が成立しました。この法律は、出生に始まり、新生児期、乳児期、学童期および思春期の各段階を経て、成人になるまでの間に生ずる心身の問題等に対し、当事者・保護者・妊産婦に対して、医療・保険・教育・福祉等の成育医療等で切れ目なく提供するための施策です。そのなかで、医療関係者の責務として、「成育医療等を必要とする者の置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な成育医療を提供するよう努めなければならない」と明記されています。
 本書は、子どもの人生を見据えた新生児医療の第一人者である田村正徳医師と小児在宅医療の始まりを構築された前田浩利医師が監修され、小児医療に携わるスペシャリストたちが書き下ろした書です。
 小さく生まれた子どもと医療的ケアを受ける子ども、重い障害のある子どもやその保護者が、在宅で活き活きとした生活ができるように、その支援をするリハビリテーション専門職や看護師、福祉職の方などに必要な成育医療の知識(呼吸・循環・発達・姿勢・補装具・摂食・栄養・睡眠・社会制度や災害対策など)が、やさしい色味のイラストや表でわかりやすく整理されています。
 このような内容のうえ、リハビリテーションやケアの目的や手順などが詳しく記載されているので、今まで子どもとどのようにかかわったらよいかと悩んでいたセラピストなどにとっては、すぐに実践できる内容になっています。また、小児専門の医療関係者などが、どのように考え、どのように支援しているかもわかります。家族にとっては、発達表や発達ごとのおもちゃの情報、子どもとのコミュニケーションの取り方などが詳細に書かれていますので、インターネットやママ友からの情報ではなく、専門家の情報がつまった育児書として活用できそうです。もちろん、不安な箇所があったらこの本をもとに、主治医に聞いたり、他の小児医療等の専門家に質問もできるのではないでしょうか。
 最後に私事ではありますが、わが子2人も小さく生まれ、人工呼吸器や保育器がなければ生きられませんでした。2人は成人しましたが、そのライフステージごとに、医療・福祉・教育関係者の支えがあって、彼ららしく生活ができ、私も親として育てていただきました。私たち親子を支えてくださった方々に感謝しつつ、本書を活用して、子どもたちを支える専門家のそれぞれの立ち位置から、親子の自立を支えてほしいと願っています。

「理学療法ジャーナル」第53巻第12号(2019年12月号)(医学書院)より転載

書評

評者 : 伊藤直子 (森ノ宮医療大学, 作業療法士)

 子どものリハビリテーションは、新しい時代を迎えている。子どもたちの暮らす街で、OTが直接自宅や学校にうかがい、生活環境を構築しながら子どもと家族の健康を守り、活動参加支援ができる。継続的な支援体制によって子どもたちの自立や社会とのかかわりを手伝うこともできる。新しい場所で作業療法を展開するために、OTに必要な知識や技術も再編成する時期にきている。本書は、地域で子どもの支援チームを組むために必読の内容となっている。
 私が訪問看護ステーションに転職するとき、この本があったらよかったと思う。病院から出て地域で働くために、自分なりにいくつかの準備を行った。1人で子どもの生活場面に入るなら、病院のようにすぐ医師や看護師に助けを求めることはできない。子どもの命を守るために必要な救急の対応や、呼吸や摂食嚥下の管理はもちろん、医療職として重い障害のある子どもたちの日々の健康を守るために自立しなければならないと気負っていた。しかし、それは小さく生まれたり重い障害のある子どもを育てる親御さんたちと同じ立ち位置になることでもある。地域で実施している子育て支援「ファミリーサポート」の研修を受けながら、親になる覚悟で地域に出ればいいんだと思えるようになった。
 子どもの健康と安寧を守るOTは、日々の検温やバイタルを評価し、その日のコンディションを確認し、注意深く新しい作業に取り組むチャンスを狙う。わずかな判断ミスでも重大な命の危険を招くことがある。気候や天候の変化に合わせて、空調や湿度、衣服を調整し、小さな咳や呼吸音等、わずかな変調のサインも見逃さない注意深い観察力が鍛えられる。実際に、生活環境の評価を十分に行いながらの地域でのチームアプローチは、病院でのリハとは違い、情報量も多く、助けてくれる仲間も増える。OTは、子どもたちが日々の作業を積み重ねながらどのように発達していくのか、時間経過を軸に置いてその現場で評価できる。環境を含めた評価を行えることで、子どもたちの可能性と未来の姿を現実的・具体的に想定することもでき、個人と環境に働きかけることで、OTの果たすべき役割もより明確になる。地域の専門職の役割は、子どもたちや家族の普通の生活を守り、家族の営みを支えていくことである。この本はその象徴であるといえる。
 子どもと家族が大切にしているものは何かを理解するために、時間と空間を共有しながら家族の中に溶け込んで評価を深める。かかわる人の健康も見逃せない。家族や支援者に無理が重なると子どもの環境が破綻する。お父さんの過労、お母さんの腰痛、兄弟のストレス、祖父母の不安。一人ひとりの健康が子どもに影響する。タイミングを見計らいながら適切な社会資源を紹介することが必要である。この本ではさまざまな専門職との協業を学ぶことができる。かかりつけ医、看護師、相談支援員、専門医、教員、栄養士、時には近所の人々等、いま必要な人を探し、新しい関係を築くこともまた、専門職の役割といえる。地域でチームを創ることは一人ではできないが、誰かが声をかけなければ始まらない。
 家族の生活の中の「大切な作業」、たとえば、旅行、家族写真、妹の運動会、お母さんの仕事。それらの作業を大切に守るお手伝いをしながら、OTは「作業的存在」である子どもを、家族と共に育てることができる。周産期医療にかかわる医師から始まった地域での支援体制は、大きな広がりとして社会を変革し、OTも市民として参画できるようになってきた。この本は、みんなで子どもと家族を守ろうとするための入門書として、子どもの支援にあたる専門職に勇気を与えてくれる。

「作業療法ジャーナル」第54巻1号 (2020年1月号)(三輪書店)より転載