内科医にできる摂食障害の診断と治療
定価:2,750円(本体2,500円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-146-8
内容紹介
今や社会病理となっている摂食障害は、心療内科など数が限られる診療科で専門的治療が行われているが、十分対応しきれていないのが現状である。初診のほとんどは内科であり、生命の危機を伴う重症の患者を含めて内科での対応が迫られている。敬遠されがちな摂食障害の治療を的確に行うための治療指針を丁寧に解説した一冊。
目次
I章 神経性食欲不振症の患者を診る
-内科医が行うプライマリーケア-
1 内科外来にあふれる患者
(1)患者の70%はまず一般内科を受診
(2)外来にこんな患者が訪れたら
症例
(3)身体的に危険な時期は内科的治療が主役
2 診断に必要なこと
(1)何かあれば神経性食欲不振症と診断できるのか
(2)神経性過食症状とどう違う
(3)こんな身体症状があれば要注意
(4)やせに隠れた本当の意図
1.やせを選ぶ理由
2.患者の本当のこころ
3.患者の中にいる二人の自分
(5)やせから起こる精神症状と行動異常
1.餓鬼の及ぼす影響
2.過食のメカニズム-餓鬼の反動としての過食
3.ゆれ動く気分-認識のずれと行動
4.やせを維持するための過活動
5.深まる孤立感のなかで
3 検査における異常値のみかた
(1)一般検査での注意点
(2)1つではない高アミラーゼ血症の原因
1.過食や嘔吐に伴う唾液腺由来のもの
2.口径摂取量の急激な増加や過食による再栄養補給性膵臓炎
3.上腸間膜動脈症候群に併発した急性膵炎
4.やせに伴う高アミラーゼ血症
(3)内分泌学的検査でみられる異常
1.成長ホルモン系の異常
2.TSH系の異常
3.プロラクチン系の異常
4.ACTH系の異常
5.ゴナドトロビン系の異常
6.内分泌機能の回復にはずれがある
(4)神経性食欲不振症に合併した骨粗鬆症
(5)その他の異常
(6)緊急治療を必要とした合併症例
症例
4 診断と判定のポイント
(1)識別診断を要する疾患
1.クローン病
症例
2.視床下部腫瘍
症例
3.甲状腺機能亢進症
症例
(2)重症度の判定の目安はまず体重
(3)早期入院治療の必要性の有無-危機介入すべきとき
(4)初診時に精神科への紹介が必要な症例
II章 発病の背景を理解する
1 発病の要因ときっかけ
(1)重なり合う要因(準備因子)
1.遺伝的な素因
2.特徴的な素因
3.文化と学業の影響
(1)17世紀に早くも記録
(2)欧米では1970年代から
(3)ボディイメージの先行する現代社会
(4)学業からくるストレス
4.家庭と家族のありよう
(1)心身症家族という素地
(2)最近の家庭事情
(2)ダイエットは原因ではない
1.ダイエットは初発症状
2.発病のきっかけはささいで思いがけないこと
3.発病が女性に多いのはなぜ?
2 精神病理
-得るものを得、乗り越えるべきものを乗り越えられない
1.思春期後期から青春期のテーマをクリアできない
2.発達の未熟さが問題をする替える
3.十分甘えられず、うまく自立できない
4.身についていないコーピング・スキル
5.認知に大きな偏りがある
III章 内科医が行う治療
1 治療のストラテジー
1.治したい気持ちをもたせる
2.当面の患者のストレスを除去する
3.安心して療養できる環境をつくる
4.コーピング・スキルを向上させる
2 心理的なサポートのしかた
(1)治療者と患者の基本的関係
1.治療者はあくまでも援助者である
2.サポートには限界があることを伝える
3.時に味方するが、あくまで公平
4.治療の目標を絞りこむ
5.対応は体重に合わせて行う
6.体重の増減だけにとらわれない
7.容易で安全な方法を選ぶ
症例
8.言ってはいけないことと責めないこと
(2)一般心理療法
3 外来における治療
(1)まず信頼関係をつくる努力から
(2)治したい動機を引き出す
-医学情報からやせの弊害を理解させる
1.標準体重を設ける意味
2.低体重は健康体のミニチュアではない
3.体の成り立ち
4.餓鬼症候群はやせのもたらしたもの
5.症状は悪循環する
6.嘔吐、下剤・利尿剤乱用で行きつく先はまた過食
7.あなたは成功しているタレントやモデルではない
8.たくさんの恐い後遺症が待っている
(3)治療は段階的、かつ具体的に進める
(4)治療を拒否する患者に対応する
1.自分で治すことを主張する場合
2.再受診が望めない場合
3.心身症という概念を理解しない場合
4.何も心配しておらず、困ってないと言う場合
4 身体的治療の進め方
(1)目標体重を設定し栄養指導を行う
1.栄養の基礎知識
2.神経性食欲不振症患者の身体維持に必要なカロリーと栄養
3.患者の食の好みを容認する
4.食べることを指示・強制しない
5.より現実的な栄養指導の工夫をする
6.経腸栄養剤や補助食品を利用する
(2)薬による補助的治療
1.食欲や消化を助ける薬を嫌がる患者
2.問題の多い頑固な便秘
3.逆流性食道炎や低カリウム血症には胃酸分泌抑制薬を
4.低栄養で増悪する不眠には睡眠薬が奏効しないことも
5.食事に対する不安には抗不安薬を
6.回復期の一過性の過食は生理的な反動
7.骨粗鬆症にたいする処方
(3)過食、嘔吐、下剤乱用、アルコール・タバコ依存への対策
1.過食期は回復の有力な手段になる
2.神経性食欲不振症から過食症への移行
3.アルコール・タバコへの依存
4.下剤の乱用
(4)無月経に対する治療
5 望ましい栄養環境つくり
(1)親に努力してほしいこと
1.まず患者を休ませる
2.やせや食事について患者を叱らない
3.食事と体重には口を出さず、食事量などの押し問答をしない
4.家庭で本人をホッとさせる
5.子供帰りした言動を許す
6.母親に干渉してくるのを許す
7.高額な金品をねだられたら、家計の許す範囲で与える
8.患者のペースで生活させる
9.急激に自立を促さない
10.「こんなに食べた」は「こんなに頑張った」と翻訳する
11.体重が回復しているのを手放しで喜ばない
12.アルバイトは様子をみてからやらせてみるし、すぐにやめてもよい
13.ペットは飼ってもよい
14.お正月・お盆は患者の気持ちをくんで無理に人に会わせない
15.家族、特に母親は体も心も健康であることを心がける
16.干渉してくる親類、知人にも来院してもらう
17.恋愛、結婚で治るとはいえない
18.父親は母親を犯人扱いしないで、できるかぎり手助けする
(2)学校に関わる問題を解決する
1.発病のきっかけを取り除く
2.安心できる療養環境を確保する
3.休学、留年、退学の判断
4.学校行事への参加
(3)職場への対応
6 入院による治療段目
(1)入院前後に行うこと
1.「とりあえず入院」はしない
2.計画入院の必要なわけ
(1)安心して過ごせる場の提供
(2)栄養状態の改善を効率良く行う
(3)食習慣や生活習慣を改善する
(4)嘔吐や下剤乱用の習慣を改善する
(5)医療スタッフが専門的アドバイスをし、励ます
(6)休むことによって環境の調整をする
3.患者への対応で大切なこと
(1)患者の中の「二人の自分」を認める
(2)入院はコーピング・スキル向上のチャンスととらえる
4.入院生活上の留意点
(1)体重測定は毎日でもOK
(2)面会は原則制限なし
(3)安静は必要な場合のみ
(4)他患者との接触上の注意点
5.看護婦が変わる時の注意点
(1)基本的姿勢
(2)食事について
(3)体重について
(4)話し相手を依頼されたら
(5)問題行動があったら
(2)栄養療法を実施する
1.食べられる物から始める
2.経腸栄養を行う場合もある
3.経静脈性高カロリー栄養法(IVH)を導入する
(1)IVHの適応
(2)IVHの進め方
(3)IVHの効果
症例
(4)IVHのスケジュール
(5)IVHの留意点
IV章 専門科、専門施設で行われている精神療法
1.行動療法
2.認知行動療法
3.集団精神療法
4.箱庭療法
5.芸術療法
6.システム家族療法
V章 どのように回復するか
(1)予後調査から
(2)一様ではない回復過程-完治した症例の経過
症例
(3)完治した患者へのインタビューから
-内科医が行うプライマリーケア-
1 内科外来にあふれる患者
(1)患者の70%はまず一般内科を受診
(2)外来にこんな患者が訪れたら
症例
(3)身体的に危険な時期は内科的治療が主役
2 診断に必要なこと
(1)何かあれば神経性食欲不振症と診断できるのか
(2)神経性過食症状とどう違う
(3)こんな身体症状があれば要注意
(4)やせに隠れた本当の意図
1.やせを選ぶ理由
2.患者の本当のこころ
3.患者の中にいる二人の自分
(5)やせから起こる精神症状と行動異常
1.餓鬼の及ぼす影響
2.過食のメカニズム-餓鬼の反動としての過食
3.ゆれ動く気分-認識のずれと行動
4.やせを維持するための過活動
5.深まる孤立感のなかで
3 検査における異常値のみかた
(1)一般検査での注意点
(2)1つではない高アミラーゼ血症の原因
1.過食や嘔吐に伴う唾液腺由来のもの
2.口径摂取量の急激な増加や過食による再栄養補給性膵臓炎
3.上腸間膜動脈症候群に併発した急性膵炎
4.やせに伴う高アミラーゼ血症
(3)内分泌学的検査でみられる異常
1.成長ホルモン系の異常
2.TSH系の異常
3.プロラクチン系の異常
4.ACTH系の異常
5.ゴナドトロビン系の異常
6.内分泌機能の回復にはずれがある
(4)神経性食欲不振症に合併した骨粗鬆症
(5)その他の異常
(6)緊急治療を必要とした合併症例
症例
4 診断と判定のポイント
(1)識別診断を要する疾患
1.クローン病
症例
2.視床下部腫瘍
症例
3.甲状腺機能亢進症
症例
(2)重症度の判定の目安はまず体重
(3)早期入院治療の必要性の有無-危機介入すべきとき
(4)初診時に精神科への紹介が必要な症例
II章 発病の背景を理解する
1 発病の要因ときっかけ
(1)重なり合う要因(準備因子)
1.遺伝的な素因
2.特徴的な素因
3.文化と学業の影響
(1)17世紀に早くも記録
(2)欧米では1970年代から
(3)ボディイメージの先行する現代社会
(4)学業からくるストレス
4.家庭と家族のありよう
(1)心身症家族という素地
(2)最近の家庭事情
(2)ダイエットは原因ではない
1.ダイエットは初発症状
2.発病のきっかけはささいで思いがけないこと
3.発病が女性に多いのはなぜ?
2 精神病理
-得るものを得、乗り越えるべきものを乗り越えられない
1.思春期後期から青春期のテーマをクリアできない
2.発達の未熟さが問題をする替える
3.十分甘えられず、うまく自立できない
4.身についていないコーピング・スキル
5.認知に大きな偏りがある
III章 内科医が行う治療
1 治療のストラテジー
1.治したい気持ちをもたせる
2.当面の患者のストレスを除去する
3.安心して療養できる環境をつくる
4.コーピング・スキルを向上させる
2 心理的なサポートのしかた
(1)治療者と患者の基本的関係
1.治療者はあくまでも援助者である
2.サポートには限界があることを伝える
3.時に味方するが、あくまで公平
4.治療の目標を絞りこむ
5.対応は体重に合わせて行う
6.体重の増減だけにとらわれない
7.容易で安全な方法を選ぶ
症例
8.言ってはいけないことと責めないこと
(2)一般心理療法
3 外来における治療
(1)まず信頼関係をつくる努力から
(2)治したい動機を引き出す
-医学情報からやせの弊害を理解させる
1.標準体重を設ける意味
2.低体重は健康体のミニチュアではない
3.体の成り立ち
4.餓鬼症候群はやせのもたらしたもの
5.症状は悪循環する
6.嘔吐、下剤・利尿剤乱用で行きつく先はまた過食
7.あなたは成功しているタレントやモデルではない
8.たくさんの恐い後遺症が待っている
(3)治療は段階的、かつ具体的に進める
(4)治療を拒否する患者に対応する
1.自分で治すことを主張する場合
2.再受診が望めない場合
3.心身症という概念を理解しない場合
4.何も心配しておらず、困ってないと言う場合
4 身体的治療の進め方
(1)目標体重を設定し栄養指導を行う
1.栄養の基礎知識
2.神経性食欲不振症患者の身体維持に必要なカロリーと栄養
3.患者の食の好みを容認する
4.食べることを指示・強制しない
5.より現実的な栄養指導の工夫をする
6.経腸栄養剤や補助食品を利用する
(2)薬による補助的治療
1.食欲や消化を助ける薬を嫌がる患者
2.問題の多い頑固な便秘
3.逆流性食道炎や低カリウム血症には胃酸分泌抑制薬を
4.低栄養で増悪する不眠には睡眠薬が奏効しないことも
5.食事に対する不安には抗不安薬を
6.回復期の一過性の過食は生理的な反動
7.骨粗鬆症にたいする処方
(3)過食、嘔吐、下剤乱用、アルコール・タバコ依存への対策
1.過食期は回復の有力な手段になる
2.神経性食欲不振症から過食症への移行
3.アルコール・タバコへの依存
4.下剤の乱用
(4)無月経に対する治療
5 望ましい栄養環境つくり
(1)親に努力してほしいこと
1.まず患者を休ませる
2.やせや食事について患者を叱らない
3.食事と体重には口を出さず、食事量などの押し問答をしない
4.家庭で本人をホッとさせる
5.子供帰りした言動を許す
6.母親に干渉してくるのを許す
7.高額な金品をねだられたら、家計の許す範囲で与える
8.患者のペースで生活させる
9.急激に自立を促さない
10.「こんなに食べた」は「こんなに頑張った」と翻訳する
11.体重が回復しているのを手放しで喜ばない
12.アルバイトは様子をみてからやらせてみるし、すぐにやめてもよい
13.ペットは飼ってもよい
14.お正月・お盆は患者の気持ちをくんで無理に人に会わせない
15.家族、特に母親は体も心も健康であることを心がける
16.干渉してくる親類、知人にも来院してもらう
17.恋愛、結婚で治るとはいえない
18.父親は母親を犯人扱いしないで、できるかぎり手助けする
(2)学校に関わる問題を解決する
1.発病のきっかけを取り除く
2.安心できる療養環境を確保する
3.休学、留年、退学の判断
4.学校行事への参加
(3)職場への対応
6 入院による治療段目
(1)入院前後に行うこと
1.「とりあえず入院」はしない
2.計画入院の必要なわけ
(1)安心して過ごせる場の提供
(2)栄養状態の改善を効率良く行う
(3)食習慣や生活習慣を改善する
(4)嘔吐や下剤乱用の習慣を改善する
(5)医療スタッフが専門的アドバイスをし、励ます
(6)休むことによって環境の調整をする
3.患者への対応で大切なこと
(1)患者の中の「二人の自分」を認める
(2)入院はコーピング・スキル向上のチャンスととらえる
4.入院生活上の留意点
(1)体重測定は毎日でもOK
(2)面会は原則制限なし
(3)安静は必要な場合のみ
(4)他患者との接触上の注意点
5.看護婦が変わる時の注意点
(1)基本的姿勢
(2)食事について
(3)体重について
(4)話し相手を依頼されたら
(5)問題行動があったら
(2)栄養療法を実施する
1.食べられる物から始める
2.経腸栄養を行う場合もある
3.経静脈性高カロリー栄養法(IVH)を導入する
(1)IVHの適応
(2)IVHの進め方
(3)IVHの効果
症例
(4)IVHのスケジュール
(5)IVHの留意点
IV章 専門科、専門施設で行われている精神療法
1.行動療法
2.認知行動療法
3.集団精神療法
4.箱庭療法
5.芸術療法
6.システム家族療法
V章 どのように回復するか
(1)予後調査から
(2)一様ではない回復過程-完治した症例の経過
症例
(3)完治した患者へのインタビューから
【監修】 日野原重明
【著】 堀田眞理