ポケット版 OT臨床ハンドブック 【第2版】
電子版あり
定価:5,280円(本体4,800円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-707-1
内容紹介
作業療法士必携書 待望の大改訂!
1999年に初版、2007年に増補版が発行された「OT臨床ハンドブック」が10年余の時を経てリニューアル。
本書は、臨床で経験することが多い疾患の病態、診断基準、重症度分類などから、リハビリテーションの流れやポイント、他職種との連携などの基礎知識を押さえ、評価やアプローチを正しく実施するための具体的なノウハウへと導く系統立った構成になっている。
OT臨床の目の付け所・勘所が身に付く、新人教育や臨床実習の手引きにも最適の一冊。
臨床現場で日々奮闘する皆様の力強いパートナーとして、本書を常に携帯して役立てていただきたい。ポケットから溢れるほどの情報量が詰まったポケット版!
日常臨床の生き生きとした場面を切り取ったコラムも必読!
第2版では各疾患に関する医学情報のアップデートはもちろん、これまで1つの項目としては扱ってこなかったリスク管理や大腿骨頸部骨折、認知症などを新たに加えた。また、いくつかの疾患を統合するなど構成を見直し、幅広く、細かなニーズにもしっかりと応えられるものとした。
目次
1 リスク管理
循環器疾患
呼吸器疾患
糖尿病
腎不全
2 脳卒中(頭部外傷,脳腫瘍を含む)
3 パーキンソン病
4 脊髄小脳変性症(SCD)
5 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
6 脱髄疾患
多発性硬化症
ギラン・バレー症候群
7 脊髄損傷(SCI)
8 頸髄疾患
9 末梢神経損傷
10 腱損傷
11 骨折・脱臼
12 大腿骨頸部/転子部骨折
13 切断
14 関節リウマチ(RA)
15 膠原病
16 熱傷
17 がん
18 発達障害/神経発達症
19 認知症
20 スプリント・アームスリング・自助具
索引
循環器疾患
呼吸器疾患
糖尿病
腎不全
2 脳卒中(頭部外傷,脳腫瘍を含む)
3 パーキンソン病
4 脊髄小脳変性症(SCD)
5 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
6 脱髄疾患
多発性硬化症
ギラン・バレー症候群
7 脊髄損傷(SCI)
8 頸髄疾患
9 末梢神経損傷
10 腱損傷
11 骨折・脱臼
12 大腿骨頸部/転子部骨折
13 切断
14 関節リウマチ(RA)
15 膠原病
16 熱傷
17 がん
18 発達障害/神経発達症
19 認知症
20 スプリント・アームスリング・自助具
索引
書評
いま一度「医学モデル」の視点を理解し,「生活モデル」にシフトするのに役立つ一冊
評者:麦井直樹(金沢大学附属病院,作業療法士)
この書は,ジェネラリストの要素が必要とされるOTの臨床で役立つ知識が凝縮された1冊である.持ち運びやすいコンパクトなポケット版は第1版から受け継がれている.第1版は,著者の多くを占める聖マリアンナ医科大学病院のOTの生きた知識がわかりやすくまとめられていた.第2版はリスク管理について,1つの項目として作成されていることが特徴の1つである.われわれOTが高頻度に関わる循環器疾患,糖尿病,腎不全について,わかりやすく解説されている.また整形外科疾患や中枢神経系疾患等,主要な疾患以外にも内部障害やがん等,18疾患(群)と自助具,また作業療法が処方されるさまざまな疾患の解説とOTに必要な評価,そして治療について丁寧にまとめられている.
私も30年以上大学附属病院に勤務しているが,大学附属病院では,実に多様な疾患に作業療法が処方される.処方される患者は初めて疾患について診断される前後であり,発症または受傷し,リハ医療を初めて経験する患者が多い.したがって対象患者自身もその疾患や障害を初めて経験するわけである.担当するOTは,患者にわかりやすくリハ治療の方向性を示すことが要求される.OTの知識は,患者とのコミュニケーションをつなぐ大切な道具である.患者から信頼を得るためにも,学び(疾患や作業療法技術の更新)は,OTを辞める日まで継続する必要がある.この書には,実践を知るOTの知見と日々の思考過程が描写されている印象をもつ.巻頭で編者は初学者向けにまとめたハンドブックということを述べてはいるが,若手から中堅まで,活用の幅は広く感じる.さらには,これから実習に向かう学生にも手にしてほしい1冊である.
各項目には,作業療法がよく処方される疾患について,「情報収集の前に」,「評価・アプローチに取り組む前に」の2つの項目で解説されている.そのうえで作業療法に必要な評価,治療について,エビデンスと実践が,わかりやすい写真,図・表をふんだんに使ってまとめられている.われわれ医療従事者であるOTが必要とする専門知識が詰まっている.
編者は本書を活用する意義を序文で示している.OTは,回復期,維持期においては特に「生活モデル」にシフトした働きかけが多くなるが,急性期は,「医学モデル」の視点が重要である.しかしながら回復期,維持期においても,「医学モデル」の視点を理解したうえで「生活モデル」にシフトすることが,医療従事者であるOTには大切である.逆の目線からいうと,「医学モデル」の視点を理解していないOTは,回復期,維持期(施設や在宅等)で患者・利用者,他職種に必要とされるのか.ぜひ,「医学モデル」の視点を理解してほしい.
近年ますます,急性期,回復期,維持期と,どのフェーズにおいても多職種でのカンファレンスが重要視されている.そのような場では,医療従事者であるOTの専門性を大いに発揮して,患者・利用者の社会生活,家庭生活における自立支援を支えていただきたい.すなわちOTならば,いま一度「医学モデル」を理解し,活躍していくことを願う.そのために,きっとこの書は役立つ1冊となるであろう.
「作業療法ジャーナル」vol.55 no.5(2021年5月号)(三輪書店)より転載
評者:麦井直樹(金沢大学附属病院,作業療法士)
この書は,ジェネラリストの要素が必要とされるOTの臨床で役立つ知識が凝縮された1冊である.持ち運びやすいコンパクトなポケット版は第1版から受け継がれている.第1版は,著者の多くを占める聖マリアンナ医科大学病院のOTの生きた知識がわかりやすくまとめられていた.第2版はリスク管理について,1つの項目として作成されていることが特徴の1つである.われわれOTが高頻度に関わる循環器疾患,糖尿病,腎不全について,わかりやすく解説されている.また整形外科疾患や中枢神経系疾患等,主要な疾患以外にも内部障害やがん等,18疾患(群)と自助具,また作業療法が処方されるさまざまな疾患の解説とOTに必要な評価,そして治療について丁寧にまとめられている.
私も30年以上大学附属病院に勤務しているが,大学附属病院では,実に多様な疾患に作業療法が処方される.処方される患者は初めて疾患について診断される前後であり,発症または受傷し,リハ医療を初めて経験する患者が多い.したがって対象患者自身もその疾患や障害を初めて経験するわけである.担当するOTは,患者にわかりやすくリハ治療の方向性を示すことが要求される.OTの知識は,患者とのコミュニケーションをつなぐ大切な道具である.患者から信頼を得るためにも,学び(疾患や作業療法技術の更新)は,OTを辞める日まで継続する必要がある.この書には,実践を知るOTの知見と日々の思考過程が描写されている印象をもつ.巻頭で編者は初学者向けにまとめたハンドブックということを述べてはいるが,若手から中堅まで,活用の幅は広く感じる.さらには,これから実習に向かう学生にも手にしてほしい1冊である.
各項目には,作業療法がよく処方される疾患について,「情報収集の前に」,「評価・アプローチに取り組む前に」の2つの項目で解説されている.そのうえで作業療法に必要な評価,治療について,エビデンスと実践が,わかりやすい写真,図・表をふんだんに使ってまとめられている.われわれ医療従事者であるOTが必要とする専門知識が詰まっている.
編者は本書を活用する意義を序文で示している.OTは,回復期,維持期においては特に「生活モデル」にシフトした働きかけが多くなるが,急性期は,「医学モデル」の視点が重要である.しかしながら回復期,維持期においても,「医学モデル」の視点を理解したうえで「生活モデル」にシフトすることが,医療従事者であるOTには大切である.逆の目線からいうと,「医学モデル」の視点を理解していないOTは,回復期,維持期(施設や在宅等)で患者・利用者,他職種に必要とされるのか.ぜひ,「医学モデル」の視点を理解してほしい.
近年ますます,急性期,回復期,維持期と,どのフェーズにおいても多職種でのカンファレンスが重要視されている.そのような場では,医療従事者であるOTの専門性を大いに発揮して,患者・利用者の社会生活,家庭生活における自立支援を支えていただきたい.すなわちOTならば,いま一度「医学モデル」を理解し,活躍していくことを願う.そのために,きっとこの書は役立つ1冊となるであろう.
「作業療法ジャーナル」vol.55 no.5(2021年5月号)(三輪書店)より転載
【編集】大森みかよ・能登真一