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第19回勇気ある経営大賞

レクリエーション【第3版】活動と参加を促すレクリエーション

電子版あり

定価:4,290円(本体3,900円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-709-5

B5 / 412頁 / 2021年
【監修】
寺山久美子(大阪河﨑リハビリテーション大学)
中村春基(日本作業療法士協会 会長)
【編集】
近藤 敏(京都橘大学)
村井千賀(石川県立高松病院)
酒井康年(うめだ・あけぼの学園)
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内容紹介

豊富なレクリエーション種目を疾患別・障害別・施設別に紹介!
「楽しむ」ことを通じて,心身の回復や生活行為の向上につなげる

第3版では時代の変化に合わせて種目の入れ替えや新規種目を多数追加した。介護予防・障害予防・認知症・生活期リハビリテーション・地域リハビリテーション・地域包括ケアシステムなどを取り上げ、さらにはロボット・AIによる最先端のレクリエーションにも触れている。
疾患・障害別、施設別のレクリエーションプログラムに加え、地域や家族を巻き込むレクリエーションや事例集を掲載した。
単に「歌って踊って楽しむ」イメージのレクリエーションから「専門職が評価・プログラム立案・介入の明確化・再評価・効果判定までを含む行為を行なう治療的行為」を強調し構成した。

目次

序・・・寺山久美子
はじめに・・・近藤 敏

第1章 レクリエーションの基本理念
 1.レクリエーションの範囲と種類・・・藤原 茂
 2.人の発達段階とレクリエーション・・・上田礼子(礼子)
 3.レクリエーションと作業療法・・・近藤 敏
 4.生活行為向上マネジメントとレクリエーション・・・村井千賀

第2章 作業療法におけるレクリエーションの技法
 1.集団の意義・・・平尾一幸
 2.レクリエーションプログラムの立案方法・・・村井千賀
 3.レクリエーションの実施と活用・・・外里冨佐江

第3章 健康状態・疾患・障害の特徴に配慮したレクリエーション活動
 1.デュシェンヌ型筋ジストロフィー・・・田中栄一
 2.肢体不自由・・・若林秀昭
 3.知的障害・・・高畑脩平
 4.発達障害・・・森本誠司
 5.重症心身障害児・者・・・泉谷憲正
 6.脳血管障害(成人)・・・川﨑一平
 7.高次脳機能障害・・・太田皓文・米澤一郎
 8.筋萎縮性側索硬化症・・・植田友貴・原 圭祐
 9.パーキンソン病・・・中島雪彦・森部由夏・岡本 綾
 10.脊髄損傷・・・細谷 実
 11.関節リウマチ・・・林 正春
 12.呼吸器・循環器系疾患・・・髙島千敬
 13.統合失調症・・・渡部貴史
 14.双極性感情障害・・・大西真澄美
 15.視覚障害・・・田中徹二
 16.聴覚障害(高齢者を中心に)・・・相樂多恵子
 17.高齢者・廃用症候群・・・安本勝博
 18.認知症・・・小川敬之
 19.終末期・・・目良幸子・森本かえで

第4章 施設別にみたレクリエーション活動
 1.地域包括ケア病棟・・・合歓垣紗耶香
 2.放課後等デイサービス・・・伊知地ゆめ
 3.児童発達支援センター・・・酒井康年
 4.療養型病院・・・木村 達
 5.回復期リハビリテーション病棟・・・柴田八衣子
 6.精神科病院・・・村井千賀
 7.認知症治療病棟・・・川辺郁代
 8.介護老人保健施設・・・上田章弘
 9.介護老人福祉施設・・・渡邉茉莉子
 10.通所リハビリテーション(デイケア)・・・毛利雅英
 11.通所介護施設・・・藤田講志
 12.精神科デイケア・・・朝倉起己・藤松昌子
 13.就労継続支援・・・宮崎宏興
 14.肢体不自由児施設・・・黒澤淳二
 15.重症心身障害児(者)施設・・・竹中佳子・村上志保・吉田梓美
 16.障害者支援施設(旧:身体障害者療護施設)・・・平譯麻理・今寺忠造
 17.身体障害者更生援護施設・・・津田明子・折出 優
 18.長期療養におけるOTプログラム・・・渡司隆寛・河村祐孝
 19.介護予防におけるレクリエーションの役割・・・出田めぐみ

第5章 地域コミュニティにおけるレクリエーション活動
 1.介護予防におけるレクリエーション活動―市町村・・・田中千亜紀
 2.被災地におけるレクリエーション活動・・・内田正剛
 3.介護予防体操・・・安本勝博
 4.地域(ご家族)を巻き込んだレクリエーション・・・牛尾容子
 5.まちづくりにつなぐ「まちレク」―後輩を見て心ときめくOTの未来・・・石山満夫
 6.伝統的な活動―地域づくりカルタ・・・潮 泰典

第6章 種目別にみたレクリエーション活動
a 遊戯・ゲーム
  代返ゲーム・・・黒渕永寿・児矢野直美
  記憶力ゲーム
  しりとり絵描きリレー
  新聞ゴルフ
  バケツとボール
  もの送りゲーム(サイコロでキッス)・・・村上重紀
  ジェスチャーゲーム
  あき缶ボウリング(ふれあいボール)
  競馬ゲーム(リハビリすごろく)
  バラバラ殺人事件「私を見つけて」・・・藤原 茂
  この一球に魂をこめろ
  ジャンケンで人間になろう
  運命の出会い 早くワタシを見つけて!!
  ねらってナンボ! 入れてナンボ!!
  いろはな玉手箱
  以心伝心―うまく描いてね
  かくれんぼ・・・須貝京子
  まちがい探し・・・須郷尋美
  昔の行事と関連する遊び・・・谷川良博
  感覚統合系の遊び・・・高畑脩平
  一致団結フライングキャッチ・・・今寺忠造
  万歩計ゲーム
  フロアーゴルフ・・・今寺忠造・宮澤真奈美
  身体障害者用生活体力測定・・・今寺忠造
  格闘押しくらまんじゅう
b スポーツ
  屋内ペタンク・・・吉田尚弘・今寺忠造
  指体操・・・守口恭子・田口美鈴
  棒体操
  椅子体操
  リボン体操
  うた体操
  チェアダンス・・・山崎郁子
  風船バレー・・・村上重紀
  エアロビクス・・・辻 薫
  ゴロ卓球・・・柴田八衣子
  グラウンドゴルフ
  ボッチャ
  ペットボトルボウリング
  輪投げ
  ティーボール(障害者野球)・・・宮崎明美
c 音楽
  コーラス(合唱/斉唱)・・・植月 静
  カラオケ・・・山崎郁子
  歌リレー
  チャイムバーアンサンブル
  和太鼓・・・森 祐子
d 舞踊
  小道具を用いたダンス・・・山崎郁子
e 美術工芸・手芸工作
  絵手紙・・・福満まり子
  写経・・・近藤珠代
  パッチワーク
  コミュニティを作る手段としての活動
  ―ペットボトルで作る花風車・・・小川敬之・坂本幸子
  園芸・・・岡野 裕
  ピカソがいっぱい・・・藤原 茂
  針金ハンガーと毛糸を使用した「モップ」と「子犬」づくり・・・白山真由子・川上直子
  松ぼっくりアート
  おはな紙アート・・・川上直子
  ネット手芸での作品づくりと姿勢保持補助具カバー・・・宮田真由美・川上直子
f 季節行事・イベント行事
  季節行事・・・緒方博子
  オリエンテーリング・・・柴田八衣子
  買い物
  プラスチック製キーホルダー・・・進藤浩美
  旅行・・・益滿美寿
  写真撮影・・・高木雅之

第7章 レクリエーション関連情報
 1.レクリエーション関連機器・・・久保宏記
 2.リハビリテーション職の卒前教育と卒後教育・・・中柗俊介

おわりに・・・中村春基

索引

書評

レクリエーションと共に歩む作業療法
評者:長尾哲男

 レクリエーションはOTが選択・企画しやすい有効な活動であるが,汎用の言葉・活動であるがために,外からみてOTが関与する意義が理解されづらいものでもある.本書の初版刊行は四半世紀前であり,OTの数が増え,治療訓練の場と幅が広がりつつあった時期で,治療訓練の根拠を忘れて使われはじめたころかもしれない.
 デイケア制度ができて間もない頃に,支援の依頼を受け,もともとのレク苦手意識から対応に困った記憶がある.OTとしてかかわらせてもらうのならと,20名ほどの参加者に,ともかく身体のほぐしと,笑いとドキドキ感を週一回提供しようと覚悟を決めて参画した.
かかわった数年間,室内レクリエーションのときには,ともかく同じことは二度とやらないという原則を貫いた.参加者の希望を聞きつつ,時には即興も組み込みながらも,「今日は何をやる?」というドキドキ感だけは提供し続けたと自負している.支援メンバーには予定がみえない不安感もあったようだが,そのうち,よそ者の私に長崎固有のペーロンやおくんちの雰囲気を感じさせる飾りや音楽を加える提案をしてくれるようにもなった.
 初版の発行時期は,本書で編集の近藤氏が入職時のことを書いているような,半世紀前の懸念・疑念・驚きのざわめきがほぼ収まって,何かするはずという期待が出はじめたころであろう.
 第2版と第3版の目次を見比べ,変化を概観してみた.第2版では例記が「種目別」,「疾患・障害別」,「施設別」に分類されていたものが,第3版では「健康状態・疾患・障害の特徴」 ,「施設別」,「地域コミュニティ」,「種目別」 と構成の変化や追加がみられる.
 タイトルは同じレクリエーションだが,第2版は「社会参加を促す治療的」であり,第3版である本書は「活動と参加を促す」と切り口が変化している.初版・第2版は,作業を指導しているに過ぎない「手芸屋」さんとOTが揶揄された時代があったことへの切り返しとして,治療面に視点を置き,根拠ある活動選択の姿勢をみせようとしたものといえよう.第2版の「序」に広義の「治療」観を初版がもっていたと記載されている点からもその時代がみえる.
 第2版はICFの認知が進んでいることへの対応を念頭に置いているものの,誘導してでもレクリエーションへ引っ張り出す気持ちがまだ透けてみえるが,第3版では主体的参加へと立ち位置を変えたといえよう.レクリエーションにおける作業療法が,治療介入のスタンスからグループ活動の企画支援により当事者が自律的に変化する支援へ向けて,その軸足を変えようとした姿勢が読み取れる.
 疾患・障害別の分類の中では,障害の特性,レクリエーションの目的等を押さえつつ,種目の紹介・利用の指針等へと展開して記載されている.
 第4章「施設別にみたレクリエーション活動」では,組織の特性や企画できる範囲,イベントとしての意味等についての記載が試みられている.執筆者の所属施設での,具体的で詳細な記載になっているので,わかりやすい一方で,記述された例が一つのジャンルを代表してしまうため,施設の固有の状況による企画実践から一歩踏み込んで普遍化する試みがもう少し強くあってもよかったのではないかとも思う.経験豊富な者は一事例から汎化して応用利用が可能であるが,その分野での経験が少なく汎化してみることが難しい読者の存在も考えられる.個々の執筆者への負担は大きいが,そこまで読みこなすことを新人に求めるのは,最近まで長く学生たちをみてきた者として,酷な,もしくは無理な気もする.マニュアル文化と作業療法は,相容れないほどの乖離が現実にはあるようである.
 1953年(昭和28年)北九州大水害の被災者として,今とほぼ同じ構成の2Kの仮設住宅(当時は「水害応急住宅」)に暮らした者として,同じ長崎の地で学びを共にした内田正剛氏が被災地におけるレクリエーション活動について執筆していることは感慨深いものでもあった.

「作業療法ジャーナル」vol.55 no.6(2021年6月号)(三輪書店)より転載