Critical Thinking 脊椎外科【第2版】
定価:9,680円(本体8,800円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-733-0
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内容紹介
常識を疑うことで見えてきた到達点!
本書は、教科書やマニュアルなどには記載されていない「一体何が重要なのか」「何がわかっていないのか」について、じっくりと考える材料を提供でき、面白くスッキリと理解していただける記述・構成になっている。脊椎脊髄外科をもう少し深く知りたい方の究極のサブテキストである。
第2版では、新規に追加した「第14章 スクリュー固定の功罪―新たな課題を自ら作ってしまうジレンマ」だけでなく、各章に「長経路徴候」「脊髄のホムンクルス」「ロコモ25」「原発性鎖骨下静脈血栓塞栓症(Paget-Schtoetter症候群)」「見捨てられた症例」「脊髄炎を疑うときの検査項目」「overshunting associated myelopathy」「馬尾弛緩(redundant nerve roots)の正体」「椎骨動脈損傷―決定的瞬間の公開」「肺損傷」「後方経路腰椎椎体間固定術(PLIF)後に判明する髄液漏と馬尾嵌頓」などの見出しの内容を追加した。さらに、各章の本文中でも、追加主張したいこと、課題・疑問がその後にどうなったかなどを補足し、時代にそぐわなくなった部分の訂正や削除などの改訂を行った。
目次
第1章 診断学のなぞ
1. デルマトームはどうやって作られたのか?
2. デルマトーム策定の経緯
3. 脊髄症の高位診断
4. 筋髄節
5. scapulohumeral reflex (Shimizu)
6. 頚髄症の神経学的高位診断の精度
7. 頚部神経根症の診断
8. 反射をどの程度知っていますか?
9. 長経路徴候
10. 知っておくと得するはずの徴候
11. 脊髄のホムンクルス
第2章 頚椎症性脊髄症
1. 頚髄症とは何か?
2. なぜ発症するのか?
3. 頚椎症性脊髄症診療ガイドライン
4. いつ手術すれば良いか?
第3章 知っておきたいアウトカム評価
1. アウトカム評価に対する日本人の甘さ
2. 腰痛評価
3. 新JOA score策定過程
4. ロコモ25
第4章 頚椎症以外の頚椎疾患
1 頚椎椎間板ヘルニアとは?
1. 病態
2. 診断上の問題点
3. 治療上の問題点
4. 原発性鎖骨下静脈血栓塞栓症 (Paget-Schtoetter症候群)
2 関節リウマチの頚椎病変
1. RAの診断基準
2. RAの病型分類
3. 頚椎病変の重症度分類
4. 上位頚椎の解剖
5. 画像診断
6. 自然経過
7. 手術のタイミングに関する考察
8. 周術期の注意, 薬物の使い方
9. 手術中の苦闘
10. 見捨てられた症例
3 歯突起後方偽腫瘍
4 後頭骨環椎癒合症
5 環軸椎回旋位固定の不思議
6 Down症候群に伴う環軸椎亜脱臼
7 脳性麻痺に合併する頚椎病変
1. 診断上の問題
2. 脳性麻痺に合併する頚椎病変のパターン
3. 治療
8 透析患者の頚椎病変
9 急性頚髄損傷の扱い
1. 頚椎損傷の分類
2. ステロイド大量療法
3. 呼吸器合併症と手術のタイミング
10 石灰沈着性頚長筋炎
第5章 整形外科に紛れ込んでくる神経内科的疾患―これだけ知っておけば専門外来をやれる
1. 筋萎縮性側索硬化症 (amyotrophic lateral sclerosis;ALS)
2. 脱髄疾患
3. 脊髄サルコイドーシス (spinal cord sarcoidosis)
4. パーキンソン病 (Parkinson disease;PD)
5. HAM (HTLV-1 associated myelopathy)
6. リウマチ性多発筋痛症 (polymyalgia rheumatica;PMR)
7. 甲状腺疾患に伴う神経筋疾患
8. 亜急性連合性脊髄変性症
9. 自己免疫疾患に合併する脊髄症
10. 脊髄炎を疑うときの血液検査項目
11. overshunting associated myelopathy
第6章 脊柱靱帯骨化症
1 後縦靱帯骨化症
1. 後縦靱帯の解剖
2. 疾患史
3. 分類
4. 自然経過
5. 頚椎OPLLの治療
6. 胸椎OPLLの治療―最大の壁
2 頚椎前縦靱帯骨化症
第7章 脊髄腫瘍さまざま
1. 砂時計腫
2. 髄膜腫の難しさ
3. 上衣腫
4. 血管系腫瘍
5. 嚢腫性病変
6. 転移性髄内腫瘍
7. 神経線維腫症の脊椎脊髄病変
第8章 脊椎腫瘍
1. 転移性脊椎腫瘍の診断
2. 転移性脊椎腫瘍患者の予後
3. やってられない脊索腫
4. 巨細胞腫
5. 脊椎血管腫
第9章 胸腰椎損傷をどう理解するか?
1. Denis分類
2. 金田分類
3. 旧AO分類
4. The Spine Trauma Study Groupの分類
5. 胸腰椎の屈曲・伸延損傷の分類
6. 破裂骨折再考
第10章 脊椎脊髄の疾患à la carte
1 特発性胸髄ヘルニアの扱い
2 脊髄空洞症
3 脊髄動静脈奇形
4 SAPHO症候群
第11章 骨系統疾患に合併する脊椎疾患
1. 軟骨無形成症
2. 先天性脊椎・骨端異形成症
3. Larsen症候群
4. ムコ多糖症 (mucopolysaccharidosis;MPS) 4 型
5. 低リン血症性くる病
6. Marfan症候群
7. 脳性巨人症
第12章 腰部脊柱管狭窄症をめぐる混乱
1. 疾患概念をめぐる混乱
2. QOL評価
3. 術式の問題点
4. 馬尾弛緩 (redundant nerve roots) の正体
第13章 手術療法シークレット
1 止血が決め手
1. アプローチの際の止血
2. 出血しやすい場所
2 椎弓形成術をめぐる諸問題
1. 術式の概要
2. 片開き式か, 正中縦割式か?
3. 意図せぬ椎弓切除
4. 側溝の位置
5. 硬膜損傷
6. 術後悪化例
7. skip laminectomyと選択的椎弓切除術
8. 術後のC5麻痺
9. 術後の軸性疼痛
10. 棘突起縦割法頚椎椎弓形成術
3 頚椎前方除圧固定術
4 頚椎椎間孔拡大術
5 頭頚移行部へのアプローチ
1. 後方アプローチ
2. 経口的前方アプローチ
3. 側方アプローチ
6 脊椎のナビゲーション手術
1. 脊椎コンピュータ支援手術の現状
2. ナビゲーション手術の実際
3. ポータブルCT
7 リウマチ性頚椎病変の術式
1. Brooks法
2. Magerl法
3. 環椎外側塊スクリュー・軸椎椎弓根スクリューによる環軸椎固定
4. 後頭骨軸椎間固定術
5. 多椎間固定
6. 固定範囲延長
8 神経鞘腫の手術
1. 硬膜内神経鞘腫
2. 頚椎部砂時計腫
3. 胸椎部砂時計腫
4. 腰椎部砂時計腫
9 椎骨動脈の扱い
1. 中下位頚椎
2. スクリュー刺入での損傷
3. 頭頚移行部
4. 椎骨動脈損傷―決定的瞬間の公開
10 胸骨切開進入
1. 皮膚切開
2. アプローチ
11 胸椎前側方法
1. 上位胸椎へのアプローチ
2. 中位胸椎へのアプローチ
3. 胸腰椎移行部
12 胸椎後縦靱帯骨化症
13 胸椎部前方手術での合併症の扱い
1. 無気肺
2. 膿胸
3. 髄液漏
4. 乳び胸
5. 肺損傷
14 胸椎黄色靱帯骨化症
15 上位腰椎椎間板ヘルニアの前方手術
16 転移性脊椎腫瘍の手術
17 腰部神経根糸・馬尾の術後嵌頓
1. 神経根での馬尾嵌頓
2. 後方経路腰椎椎体間固定術 (PLIF) 後に判明する髄液漏と馬尾嵌頓
18 低位脊髄
第14章 スクリュー固定の功罪―新たな課題を自ら作ってしまうジレンマ
1. S2 alar-iliacスクリュー (S2AIスクリュー)
2. CBTスクリュー
3. 固定部境界部の問題
第15章 脊髄モニタリング
1. 脊髄刺激-脊髄誘発電位 (spinal cord evoked potential after spinal cord stimulation;Sp-SCEP)
2. 経頭蓋刺激-筋誘発電位 (muscle evoked potential after brain stimulation;Br-MsEP)
3. 脊髄刺激-筋誘発電位 (muscle evoked potential after spinal cord stimulation;Sp-MsEP)
第16章 術中超音波診断
1. 頚椎椎弓形成術
2. 脊髄腫瘍
3. 脊椎前方手術
4. 胸椎OPLLの後方手術
5. 腰部脊柱管狭窄症の術中所見
第17章 知っておきたい脊髄の解剖学的知識
1. 全体像
2. 脊髄の血行
3. 髄節
4. 灰白質の細胞構築学的区分
5. 脊髄伝導路
6. 後根に入る求心性線維
7. 臓性神経系
8. 脊髄内の細胞
9. 神経幹細胞
10. 脊髄の可塑性
11. 脊髄の老化
12. 解剖学的な計測値
第18章 脊椎脊髄手術アトラス15選!
第19章 インフォームド・コンセント
第20章 脊椎脊髄外科医にとって必要な統計学―用語, 統計手法の基礎知識
1. パラメトリック検定法
2. ノンパラメトリック検定法
3. 箱ひげ図の見方
4. カイ二乗検定 (χ2検定)
5. p値よりも95%信頼区間
6. 感度, 特異度と尤度
7. ROC曲線 (受動者動作特性曲線:receiver operating characteristic curve)
8. 多変量解析
9. 生存曲線
第21章 英文投稿への道
欧文索引
和文索引
あとがき
【著】星地亜都司(社会福祉法人 三井記念病院 副院長)