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第19回勇気ある経営大賞

インソールマニュアル【第2版】―姿勢と歩行を快適にする運動連鎖アプローチ―

電子版あり

定価:4,620円(本体4,200円+税)

商品コード: ISBN978-4-89590-725-5

B5 / 184頁 / 2022年
【編】安倍浩之、中川法一

※本書は『簡単! 効率的につくれる新型インソール』(ISBN 978-4-89590-401-8)のタイトルを改題し、内容を改訂したものです。
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内容紹介

歩行・姿勢への運動連鎖アプローチを詳述
インソール(足底板)の評価・処方の決定版!

近年、インソール(足底板、足底挿板)は、足の操作を通じて、ヒトの動作を効率的に遂行できる「動的な姿勢制御」を行うツールとして注目されている。
なかでも、熱可塑性インソールは、局所加圧や全体加圧によって軟部組織の除圧や微調整が可能であり、誰でも簡単に、対象者にとって理想的な足構造を複製できる。
また、インソールを使用することで得られる足の安定性や機能向上は、運動連鎖によって、足関節から、膝関節や股関節、そして体幹の機能維持にもつながる。そのため、関節等の隣接する部位の連動した動きから捉える“運動連鎖アプローチ”は、インソールの評価・処方に欠くことができない視点である。
この“運動連鎖アプローチ”の考え方、その理論のすべてを詳述し、個別性の高い、より適切なインソールの作製方法について、わかりやすく丁寧に記した実用書。

本邦初のインソール作製マニュアルが待望の改訂。

目次

第Ⅰ章 インソールとは
 インソールの定義と歴史
 インソールの種類
 インソールの役割と効果,問題点
 熱可塑性インソールとは

第Ⅱ章 インソールに必要な解剖学・運動学の基礎知識
 下肢の骨
 足部アーチ
 運動連鎖
 歩行
 走行

第Ⅲ章 インソールの適応と文献レビュー
 インソールの2大効果
 運動器疾患に対するインソールの効果

第Ⅳ章 インソール事例紹介
 症例①:左変形性膝関節症による疼痛に対してインソールを作製した一例
 症例②:右踵部の荷重時痛に対してインソールを作製した一例
 研究報告

第Ⅴ章 インソール作製のための評価
 評価
 評価の実際

第Ⅵ章 熱可塑性インソールの成型方法とその論拠
 理学療法科学的論拠に基づいた熱可塑性インソールの成型方法(メディゲイト式)
 筆者らが用いる成型方法の優位性

第Ⅶ章 熱可塑性インソール作製のための技術
 熱可塑性インソールの作製方法①:メディゲイト式成型方法
 熱可塑性インソールの作製方法②:アドオンソール(支持材)の貼付と研磨
 熱可塑性インソールの作製方法③:フィッティング
 インソール効果を発揮するための方法
 インソール作製後のモニタリング

第Ⅷ章 シリコン製足趾サポーター
 シリコン製足趾サポーターの概要
 シリコン製足趾サポーターの作製
 シリコン製足趾サポーターの種類
 筆者らが応用するシリコン製足趾サポーター

第Ⅸ章 ピンポイントインソール
 ピンポイントインソールの目的・意義
 疾患別ピンポイントインソール
 靴を選べない場合の対処法

第Ⅹ章 トレーニング
 筋ストレッチング
 関節モビライゼーション
 筋トレーニング
 バランストレーニング
 ノルディックウォーキング

索 引

書評

インソール作製の必読書として本書を推薦する
評者:鈴木重行(名古屋大学名誉教授)

 2012年に初版が発刊されて以来,約10年の歳月を経て,待望の第2版が発刊されることになった.この間,著者らは数多くの人々に本書に紹介されているインソールを作製し,その効果を実感するとともに,多くの論文からエビデンスを注入し,改良を加えながら経験を重ねてきている.これらの集大成が本書にまとめられており,インソールをスポーツ選手や患者様に提供する機会のある医師,セラピスト,義肢装具士にとって必読の書となっている.
 本書では,インソール作製ならびにインソール作製のための評価には解剖学,運動学の基礎のなかでも,特に足部の異常から波及する運動連鎖を静的,動的の両面から理解することが非常に重要であると論述している.殊に,距骨下関節の過度の回内が足部のみならず,膝・股関節,骨盤,脊柱など全身のアライメントに影響することを強調している.
 インソールの緩衝作用・負荷の分散効果とバランス・姿勢制御の向上効果,さらには各種運動器疾患に対するインソールの効果について,詳細な文献レビューがされており,著者らのエビデンスに対する意識の高さがうかがえる.
 インソール作製のための評価は,情報収集から始まり,7つの項目に細分化され,インソール独自の用語も登場するが,それぞれ丁寧に評価の実際について,多くの図あるいは評価表とともに記述されており,理解しやすい.
 本書の中心的な内容の1つである熱可塑性インソールの成型方法においては,ウィンドラス式に対する著者らの方法(メディゲイト式)の優位性をまず論拠したのち,扁平足に対する熱可塑性インソールの効果について,歩行時足底圧に着目しデータ紹介している.さらに,成型時の座位と立位の肢位比較では,足底圧分布や歩行時の足圧中心軌跡のデータ分析から,座位成型法の優位性を示しており,エビデンス構築にも積極的な姿勢がうかがえる.
 熱可塑性インソールの作製方法は,多くのページにわたって,作製時の写真を供覧しながら丁寧に説明されている.これほどの作製方法の説明をしていることから,インソールは業者に作製依頼をするだけでなく,競技選手や種々の疾患を有する患者様の状態をよく理解しているセラピスト自身もインソールを作製すべきではないかということを発信しているように感じる.さらに,インソールをセラピスト自身が作製できるようになれば,利用者サービスの面からだけでなく,セラピストの職域拡大にも寄与できるという著者らの熱い思いが伝わってくる.
 インソール作製の必読書として本書を推薦し,今後のインソール領域の発展を期待したい.

「理学療法ジャーナル」vol.56 no.5(2022年5月号) (医学書院)より転載