動画でイメージ!理学療法はじめての臨床実習
電子版あり
定価:3,630円(本体3,300円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-810-8
内容紹介
リアルな動画で実習を模擬体験!見て!感じて!学ぼう!
学生にとって臨床実習は未知の世界。不安や苦手意識をもつのは当然です。動画を通して現場を知り、状況をイメージして慣れることで、それらの不安を少しでも取り除きたい。そして、実習で存分に力を発揮して欲しい、そんな願いを込めて本書は制作されました。
準備編と実践編の2部構成で、準備編では、知りたくても聞きにくい「電話のかけ方」や「患者とのコミュニケーションスキル」などを紹介。実践編では、実習現場で求められる「リスク管理の仕方」や「検査項目の選定の仕方」などを丁寧に解説しています。動画では、病院・クリニック・介護施設など、さまざまな実習先のリアルな現場や、指導者・患者とのやり取りが、疑似体験をしながら学べます。実習をひかえた学生のバイブルとして最適な一冊です。
また、症例の考え方として、理学療法の代表疾患、理学療法評価などが丁寧に解説されており、「理学療法概論」、「理学療法評価学」等の教科書としてもおすすめです。
目次
★=動画あり
準備編-臨床実習をはじめる前に
第1章 臨床実習の概要
1.臨床実習とは?
1 臨床実習で求められる能力とは
2 臨床実習の到達目標
3 診療参加型実習の導入について
4 学生が実施できる理学療法行為の範囲とその水準
5 臨床実習の構成
6 留意事項
7 実習指導者の立場を理解しておこう
8 社会人基礎力を磨こう
第2章 臨床実習に欠かせない事前準備
1.実習施設の特徴と制度
1 臨床実習を行う施設
2 制度について知っておこう
3 病期区分別の理学療法を理解しておこう
4 「地域包括ケアシステム」と「地域リハビリテーション」について理解しよう
5 理学療法に関する制度について理解しよう ★
2.実習の準備とマナー
1 実習前の電話のかけ方 ★
2 実習に行く際の身だしなみ ★
3 実習に持って行くもの
4 実習中の体調管理
5 実習が終了したら~お礼状の書き方~
実習生の失敗談から学ぼう!
3.コミュニケーションのはかり方
1 実習でも日常でも使える!―コミュニケーションのなかで相手が読み取っている情報とは?
2 実習における患者とのコミュニケーション手法を学ぼう ★
3 コミュニケーション能力を伸ばすために実践してほしいこと
4.実習における情報の集め方
1 多角的な情報収集が大切!
2 医療面接(問診)★
3 医学情報
4 他部門情報
実習生の失敗談から学ぼう! ★
第3章 臨床実習での提出物とは?
1.デイリーノートの書き方・提出物の出し方
1 臨床実習における記録の意味を理解しよう
2 デイリーノートの書き方
3 ウィークリーノートの書き方
4 ノートへの記録手段
5 提出物のとじ方
6 提出物の出し方 ★
2.レポート・レジュメを書く意義とその思考手順 ★
1 症例レポートやレジュメを書く意義とは
2 症例レポートやレジュメの構成
3 症例レポートやレジュメを作成するための思考手順
第4章 評価時の行動の仕方
1.評価前に必要な事前準備について知っておこう
1 理学療法における評価とは
2 どのようなものを準備するか
3 ROM測定とMMTのチェック項目
4 各種評価に用いる評価シートの準備もしよう!
2.実際の検査と学内での実技練習とのギャップを知っておこう
1 検査の最初にすべきこと(視診、触診)★
2 実際の形態測定(大腿周径測定)はこんなにも行いにくい! ★
3 実際のROM測定はこんなにも行いにくい! ★
4 実際のMMTはこんなにも判断に困る! ★
実践編-医療分野の実習
第5章 急性期病院での症例への向き合い方
①大学病院
1.大学病院の特性
1 病院の概要 ★
2 どのような症例を対象とすることが多いか
3 実習における1日のスケジュール
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.大学病院での症例から学ぼう
症例A 急性心不全
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
②総合病院
1.総合病院の特性
1 病院の概要 ★
2 リハビリテーションの概要
3 実習における1日のスケジュール
4 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.総合病院での症例から学ぼう
症例B THA術後
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
PTは症例のココを重視して全体像を捉えている!
第6章 回復期病院での症例への向き合い方
1.回復期病院の特性
1 リハビリテーションの概要 ★
2 実習における1日のスケジュール
3 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.回復期病院での症例から学ぼう
症例C 左被殻出血による右片麻痺、失語症
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
第7章 診療所・クリニックでの症例への向き合い方
1.診療所・クリニックの特性
1 診療所・クリニックの概要
2 リハビリテーションの概要 ★
3 実習における1日のスケジュール
4 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
2.クリニックでの症例から学ぼう
症例D 左距骨離断性骨軟骨炎
1 整形外科クリニックにおいて、実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方 ★
実習生へのアドバイス ★
実践編-介護保険分野の実習
第8章 介護老人保健施設での症例への向き合い方
1.介護老人保健施設の特性
1 介護保険で利用できるリハビリテーションの種類
2 介護老人保健施設の役割
3 リハビリテーションの概要 ★
4 実習における1日のスケジュール
5 実習生が関わることの多い疾患
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.老健での症例から学ぼう
症例E アテローム血栓性脳梗塞による左片麻痺(陳旧例)
1 実習の際に知っておくべきリスク管理
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方 ★
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
第9章 通所リハビリテーションでの症例への向き合い方
1.通所リハビリテーション施設の特性
1 通所リハビリテーションに求められていること
2 通所リハ施設の特徴
3 リハビリテーションの概要 ★
4 実習における1日のスケジュール
5 どのような疾患を対象とすることが多いか
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.通所リハでの症例から学ぼう
症例F 右人工骨頭置換術(THA)
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
第10章 訪問リハビリテーションでの症例への向き合い方
1.訪問リハビリテーションの特性
1 訪問リハの仕組み
2 訪問リハに必要な職種
3 実習における1日のスケジュール
4 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
2.訪問リハでの症例から学ぼう
症例G 在宅で車いす生活を送っている要介護のケース
症例H 在宅で畳の生活を送っている要支援のケース
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
訪問リハにおいて、PTが大切にしていること
実践編-福祉分野の実習
第11章 小児施設での症例への向き合い方
1.小児施設の特性
1 リハビリテーションの概要 ★
2 実習における1日のスケジュール
3 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
2.小児施設での症例から学ぼう
症例I 脳性麻痺(痙直型両麻痺)
1 実習の際に知っておくべきリスク管理
2 見学のポイント
3 症例に適した検査項目の選定の仕方 ★
実習生の失敗談から学ぼう! ★
実習生へのアドバイス
実践編-発展性のある分野の実習
第12章 スポーツ分野での対象者への向き合い方
1.スポーツ分野の施設の特性
1 施設の概要
2 スポーツ医学・研究部の特徴 ★
3 年間のスケジュール
4 アスレティックリハビリテーションに必要な視点
この分野の魅力
実習生へのアドバイス
2.パラアスリートの症例から学ぼう
症例J 右前十字靱帯損傷の全盲アスリート ★
1 知っておくべきリスク管理 ★
2 視覚障害を有するアスリートとのかかわり方 ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
実習生へのアドバイス
第13章 介護予防分野での対象者への向き合い方
1.介護予防分野の特性
1 介護予防分野の対象
2 介護予防を担う「通いの場」と理学療法士の関わり ★
2.理学療法の支援内容
1 「通いの場」における理学療法士の支援内容 ★
2 運動時に知っておくべきリスク管理 ★
3 見学のポイント
4 この分野の将来性
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
この分野の魅力
索引
準備編-臨床実習をはじめる前に
第1章 臨床実習の概要
1.臨床実習とは?
1 臨床実習で求められる能力とは
2 臨床実習の到達目標
3 診療参加型実習の導入について
4 学生が実施できる理学療法行為の範囲とその水準
5 臨床実習の構成
6 留意事項
7 実習指導者の立場を理解しておこう
8 社会人基礎力を磨こう
第2章 臨床実習に欠かせない事前準備
1.実習施設の特徴と制度
1 臨床実習を行う施設
2 制度について知っておこう
3 病期区分別の理学療法を理解しておこう
4 「地域包括ケアシステム」と「地域リハビリテーション」について理解しよう
5 理学療法に関する制度について理解しよう ★
2.実習の準備とマナー
1 実習前の電話のかけ方 ★
2 実習に行く際の身だしなみ ★
3 実習に持って行くもの
4 実習中の体調管理
5 実習が終了したら~お礼状の書き方~
実習生の失敗談から学ぼう!
3.コミュニケーションのはかり方
1 実習でも日常でも使える!―コミュニケーションのなかで相手が読み取っている情報とは?
2 実習における患者とのコミュニケーション手法を学ぼう ★
3 コミュニケーション能力を伸ばすために実践してほしいこと
4.実習における情報の集め方
1 多角的な情報収集が大切!
2 医療面接(問診)★
3 医学情報
4 他部門情報
実習生の失敗談から学ぼう! ★
第3章 臨床実習での提出物とは?
1.デイリーノートの書き方・提出物の出し方
1 臨床実習における記録の意味を理解しよう
2 デイリーノートの書き方
3 ウィークリーノートの書き方
4 ノートへの記録手段
5 提出物のとじ方
6 提出物の出し方 ★
2.レポート・レジュメを書く意義とその思考手順 ★
1 症例レポートやレジュメを書く意義とは
2 症例レポートやレジュメの構成
3 症例レポートやレジュメを作成するための思考手順
第4章 評価時の行動の仕方
1.評価前に必要な事前準備について知っておこう
1 理学療法における評価とは
2 どのようなものを準備するか
3 ROM測定とMMTのチェック項目
4 各種評価に用いる評価シートの準備もしよう!
2.実際の検査と学内での実技練習とのギャップを知っておこう
1 検査の最初にすべきこと(視診、触診)★
2 実際の形態測定(大腿周径測定)はこんなにも行いにくい! ★
3 実際のROM測定はこんなにも行いにくい! ★
4 実際のMMTはこんなにも判断に困る! ★
実践編-医療分野の実習
第5章 急性期病院での症例への向き合い方
①大学病院
1.大学病院の特性
1 病院の概要 ★
2 どのような症例を対象とすることが多いか
3 実習における1日のスケジュール
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.大学病院での症例から学ぼう
症例A 急性心不全
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
②総合病院
1.総合病院の特性
1 病院の概要 ★
2 リハビリテーションの概要
3 実習における1日のスケジュール
4 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.総合病院での症例から学ぼう
症例B THA術後
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
PTは症例のココを重視して全体像を捉えている!
第6章 回復期病院での症例への向き合い方
1.回復期病院の特性
1 リハビリテーションの概要 ★
2 実習における1日のスケジュール
3 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.回復期病院での症例から学ぼう
症例C 左被殻出血による右片麻痺、失語症
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
第7章 診療所・クリニックでの症例への向き合い方
1.診療所・クリニックの特性
1 診療所・クリニックの概要
2 リハビリテーションの概要 ★
3 実習における1日のスケジュール
4 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
2.クリニックでの症例から学ぼう
症例D 左距骨離断性骨軟骨炎
1 整形外科クリニックにおいて、実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方 ★
実習生へのアドバイス ★
実践編-介護保険分野の実習
第8章 介護老人保健施設での症例への向き合い方
1.介護老人保健施設の特性
1 介護保険で利用できるリハビリテーションの種類
2 介護老人保健施設の役割
3 リハビリテーションの概要 ★
4 実習における1日のスケジュール
5 実習生が関わることの多い疾患
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.老健での症例から学ぼう
症例E アテローム血栓性脳梗塞による左片麻痺(陳旧例)
1 実習の際に知っておくべきリスク管理
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方 ★
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
第9章 通所リハビリテーションでの症例への向き合い方
1.通所リハビリテーション施設の特性
1 通所リハビリテーションに求められていること
2 通所リハ施設の特徴
3 リハビリテーションの概要 ★
4 実習における1日のスケジュール
5 どのような疾患を対象とすることが多いか
この分野の魅力
実習生の失敗談から学ぼう!
2.通所リハでの症例から学ぼう
症例F 右人工骨頭置換術(THA)
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
第10章 訪問リハビリテーションでの症例への向き合い方
1.訪問リハビリテーションの特性
1 訪問リハの仕組み
2 訪問リハに必要な職種
3 実習における1日のスケジュール
4 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
2.訪問リハでの症例から学ぼう
症例G 在宅で車いす生活を送っている要介護のケース
症例H 在宅で畳の生活を送っている要支援のケース
1 実習の際に知っておくべきリスク管理 ★
2 見学のポイント ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
訪問リハにおいて、PTが大切にしていること
実践編-福祉分野の実習
第11章 小児施設での症例への向き合い方
1.小児施設の特性
1 リハビリテーションの概要 ★
2 実習における1日のスケジュール
3 どのような症例を対象とすることが多いか
この分野の魅力
2.小児施設での症例から学ぼう
症例I 脳性麻痺(痙直型両麻痺)
1 実習の際に知っておくべきリスク管理
2 見学のポイント
3 症例に適した検査項目の選定の仕方 ★
実習生の失敗談から学ぼう! ★
実習生へのアドバイス
実践編-発展性のある分野の実習
第12章 スポーツ分野での対象者への向き合い方
1.スポーツ分野の施設の特性
1 施設の概要
2 スポーツ医学・研究部の特徴 ★
3 年間のスケジュール
4 アスレティックリハビリテーションに必要な視点
この分野の魅力
実習生へのアドバイス
2.パラアスリートの症例から学ぼう
症例J 右前十字靱帯損傷の全盲アスリート ★
1 知っておくべきリスク管理 ★
2 視覚障害を有するアスリートとのかかわり方 ★
3 症例に適した検査項目の選定の仕方
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
実習生へのアドバイス
第13章 介護予防分野での対象者への向き合い方
1.介護予防分野の特性
1 介護予防分野の対象
2 介護予防を担う「通いの場」と理学療法士の関わり ★
2.理学療法の支援内容
1 「通いの場」における理学療法士の支援内容 ★
2 運動時に知っておくべきリスク管理 ★
3 見学のポイント
4 この分野の将来性
実習生へのメッセージ ~筆者が大切にしていること~
この分野の魅力
索引
書評
早い時期から臨床実習を意識させるための教科書として最適
評者:浦辺幸夫(広島大学大学院医系研究科心身機能生活制御科学講座 スポーツリハビリテーション学)
本書を前にして、私が理学療法を学んだ45年前のこと、教職についてから現在までの社会と理学療法学の変遷を考えました。この期間に、臨床実習に関係する診療参加型やobjective structu red clinical examination(OSCE)などずいぶんと変わったところ、臨床研究の沈滞などあまり変わらないところ、利他主義をベースにして変わってはいけないところ、などが総括できるところでしょうか。
「教科書は大切」、という考えはいつももっています。臨床実習に出て守らないといけないルールを知ることは必須です。臨床現場でのクリニカルリーズニングについての学習書はありますが、臨床実習そのものをテーマにしたものは意外にも少ないので、本書の価値は教科書としても高まると思います。
私はこの教科書の動画配信サイトへ入ってから、身だしなみの動画をまず見ました。「なるほど」、「私たちの指導内容とも一致している」と安心したところです。大学と大学病院にとどまっていると、臨床現場の声はスーパーバイザー会議や実習地でのトラブル対応の際にしか聞こえてきません。本書は初習の学生さん向けでしょうが、私たち教職に就くものへの指針につながるものがあります。次に、問診など、コミュニケーションにかかわる動画を見ました。理学療法士の経験が長くなり、「私の目線はどのあたりに置いているかな」、「こちらの考えを伝えるときには目線を変えるかな」……などと、いちいち自分の姿と比べてしまいました(笑)。
本書は動画がない読み物としても、十分な価値があると思います。ワンポイントの注意など、いちいちうなずけるところです。しかしながら、学生さんは臨床実習を前にするとやることがありすぎて、本書をじっくりひもとく余裕はないだろうと思いました。臨床実習のオリエンテーションではちょっと遅すぎるので、半年くらい前に教材として紹介すれば、自学の成果を高めることに十分役立つでしょう。
さらに効果的なのは、入学後、理学療法学概論とともに、専門基礎科目を行うような早い時期での導入です。将来必ず踏み込む臨床実習に慣れておくには最適な教科書ではないかと感じました。理学療法学の学習過程では、臨床や臨床実習というのは少し遠くにあると考えがちですが、早期から具体的に臨床実習を意識できるのは学生にとっては必ず福音となるでしょう。本書が一学習書ではなく、理学療法学概論の教科書的な位置づけになってくれればよいと願います。
「見て! 感じて! 学ぶ!」が本書のキャッチフレーズです。臨床実習は五感のすべてと第六感も最大限に動員し、「言葉」を通じて患者さんや医療スタッフとコミュニケーションのキャッチボールをしながら進む航海です。編者のお二方は私の研究者仲間です。サイエンス研究をさらに広い視点、基礎的なところから始めることの重要性を伝え、そして企画や動画撮影に協力したたくさんの仲間とともに、私がいつも気にかける利他主義を形にしてくださったこと、世に送り出され評価の目にさらされることに、幸せと期待と感謝を寄せたいと思います。
「理学療法ジャーナル」vol.58 no.7(2024年7月号)(医学書院)より転載
評者:浦辺幸夫(広島大学大学院医系研究科心身機能生活制御科学講座 スポーツリハビリテーション学)
本書を前にして、私が理学療法を学んだ45年前のこと、教職についてから現在までの社会と理学療法学の変遷を考えました。この期間に、臨床実習に関係する診療参加型やobjective structu red clinical examination(OSCE)などずいぶんと変わったところ、臨床研究の沈滞などあまり変わらないところ、利他主義をベースにして変わってはいけないところ、などが総括できるところでしょうか。
「教科書は大切」、という考えはいつももっています。臨床実習に出て守らないといけないルールを知ることは必須です。臨床現場でのクリニカルリーズニングについての学習書はありますが、臨床実習そのものをテーマにしたものは意外にも少ないので、本書の価値は教科書としても高まると思います。
私はこの教科書の動画配信サイトへ入ってから、身だしなみの動画をまず見ました。「なるほど」、「私たちの指導内容とも一致している」と安心したところです。大学と大学病院にとどまっていると、臨床現場の声はスーパーバイザー会議や実習地でのトラブル対応の際にしか聞こえてきません。本書は初習の学生さん向けでしょうが、私たち教職に就くものへの指針につながるものがあります。次に、問診など、コミュニケーションにかかわる動画を見ました。理学療法士の経験が長くなり、「私の目線はどのあたりに置いているかな」、「こちらの考えを伝えるときには目線を変えるかな」……などと、いちいち自分の姿と比べてしまいました(笑)。
本書は動画がない読み物としても、十分な価値があると思います。ワンポイントの注意など、いちいちうなずけるところです。しかしながら、学生さんは臨床実習を前にするとやることがありすぎて、本書をじっくりひもとく余裕はないだろうと思いました。臨床実習のオリエンテーションではちょっと遅すぎるので、半年くらい前に教材として紹介すれば、自学の成果を高めることに十分役立つでしょう。
さらに効果的なのは、入学後、理学療法学概論とともに、専門基礎科目を行うような早い時期での導入です。将来必ず踏み込む臨床実習に慣れておくには最適な教科書ではないかと感じました。理学療法学の学習過程では、臨床や臨床実習というのは少し遠くにあると考えがちですが、早期から具体的に臨床実習を意識できるのは学生にとっては必ず福音となるでしょう。本書が一学習書ではなく、理学療法学概論の教科書的な位置づけになってくれればよいと願います。
「見て! 感じて! 学ぶ!」が本書のキャッチフレーズです。臨床実習は五感のすべてと第六感も最大限に動員し、「言葉」を通じて患者さんや医療スタッフとコミュニケーションのキャッチボールをしながら進む航海です。編者のお二方は私の研究者仲間です。サイエンス研究をさらに広い視点、基礎的なところから始めることの重要性を伝え、そして企画や動画撮影に協力したたくさんの仲間とともに、私がいつも気にかける利他主義を形にしてくださったこと、世に送り出され評価の目にさらされることに、幸せと期待と感謝を寄せたいと思います。
「理学療法ジャーナル」vol.58 no.7(2024年7月号)(医学書院)より転載
【監修】
上杉雅之(神戸国際大学リハビリテーション学部理学療法学科)
【編集】
木下めぐみ(神戸国際大学リハビリテーション学部理学療法学科)
篠原 博(青森県立保健大学健康科学部理学療法学科)
「動画でイメージ!理学療法はじめての臨床実習」サンプル動画(1分59秒)