覗いてみたい!?先輩OTの頭の中 ― 臨床のリアルに触れる
電子版あり
定価:3,080円(本体2,800円+税)
商品コード: ISBN978-4-89590-794-1
内容紹介
人気シリーズ「覗いてみたい!?先輩OTの頭の中」最新刊
リハビリテーションの難しさを感じたとき、いつの間にか後輩を指導する立場になっていたとき、養成校から実習を受けてほしいと依頼されたとき、逆に教え子を実習先に送り出すとき……。そんな場面でどう考え、どう行動したらいいのか。あの先輩なら、こんなとき、一体どうしただろう。
本書は『作業療法ジャーナル』の人気連載を大幅に加筆して書籍化! 現在の作業療法界をリードする著者が、迷える後輩のために惜しみもなく、その頭の中を披露してくれている。
苦悩しながらも歩んだ先輩作業療法士の実践の軌跡の書。いつも気のおけない友人や職場の仲間と一緒だった著者の“リアル”をお届け!!
目次
はじめに
成長編
第1章 内省 先輩作業療法士は成功し続けてきたのか?
シーン1 腕神経叢麻痺を受傷した女性クライエント(作業療法士1年目)
シーン2 着衣失行のクライエント(作業療法士4年目)
シーン3 クライエントの作業ニード(作業療法士5年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第2章 希望 作業療法の専門性に希望をもとう!
シーン1 PTはOTより頭がいい?(作業療法士4年目)
シーン2 作業療法とは?(作業療法士5年目)
シーン3 誰がための作業療法(作業療法士3年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第3章 研鑽 研鑽を始める、そして継続するモチベーションはどこから?
シーン1 勉強会(作業療法学生3年目)
シーン2 学会参加(作業療法士1年目)
シーン3 技術研鑽(作業療法士3年目 新職場1年目)
シーン4 他病院見学(作業療法士14年目 管理職時代)
シーン5 海外研修(作業療法士17年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で気になるであろう研修
Column1 志を同じくする仲間を創る
第4章 資格 何のために資格取得をするのか?
シーン1 AMPS(作業療法士3年目)
シーン2 そうだ、大学院へ行こう(作業療法士5年目)
シーン3 認定作業療法士(教員2年目 作業療法士9年目)
シーン4 訪問リハビリテーション管理者養成研修会(作業療法士13年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で気になる資格
臨床編
第5章 機能 作業療法における機能回復の捉え方
シーン1 料理人に戻りましょう!
シーン2 作業療法は上肢だけか?
シーン3-1 麻痺手と作業療法
シーン3-2 麻痺手と作業療法(5日後)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第6章 協働 作業療法士不信のクライエントとの壁をなくした寄り添い方
シーン1 作業療法経過報告書
シーン2 作業療法面接1(クライエントの思い)
シーン3 作業療法面接2(作業療法士の提案)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第7章 共創 ものがなければ作ればいい(柔軟な発想こそ作業療法)
シーン1 作業の意味
シーン2 作業遂行分析
シーン3 箸作製のための頭の中1
シーン4 箸作製のための頭の中2
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で紹介したい筆者のOTバッグとたまに寄る店
第8章 自尊 クライエントと家族の尊厳を守る作業療法士
シーン1 担当変更
シーン2 クライエントを知る
シーン3 社会的環境へのアプローチ
シーン4 ただ与える作業ではない
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
教育編
第9章 推論 先輩OTの頭(リーズニング)を共有することで成長を支援する
シーン1 革細工で復職?
シーン2 実際の作業ストーリーに気づく(数日後)
シーン3 作業療法の力
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第10章 充実 実習生が主体的に動き、作業療法を好きになるには?
シーン1 実習初日
シーン2 最強の助手!(実習開始2日目〜数日後)
シーン3 作業療法を好きになろう
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
Column2 現在の浅田さんに、当時のことを聞いてみた
第11章 機会 誰が為の実習(養成校と実習地の両者の視点)
シーン1 教育側の立場
シーン2 実習受け入れ施設の立場
シーン3 学生・臨床教育者・養成校三つ巴の実習
シーン4 丸投げで何がわかる?
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章でお勧めする映画
Column3 職場を選ぶ
第12章 指導 職員の教育のために叱らねばならない視点は?
シーン1 遅刻
シーン2 不正
シーン3 絶対評価
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役に立つかもしれない書籍
管理編
第13章 収益 適正単位数は? 常に付きまとう収益の問題の考え方
シーン1 収益
シーン2 専門職の業務
シーン3 職員あっての組織
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章でお勧めする映画
第14章 未来 管理で支援する産前産後の労働問題
シーン1 男性が育休をとったらダメですか?
シーン2 エンパワメント
シーン3 託児所がないっ!
シーン4 みんなあってのリハビリテーション科!
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ漫画
第15章 連携 医療職の大きな悩みの一つ、他職種連携を促す!
シーン1 看護師のやりがい
シーン2 ソーシャルワーカーの専門性
シーン3 理想と現実
シーン4 他職種から見る作業療法の専門性
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ文献
第16章 改革 よりよい組織にするために皆で走り続ける
シーン1 評価がない??(療養型病床群での場面)
シーン2 インテーク面接(養型病床群での場面)
シーン3 収益確認と書類業務
シーン4 カンファレンス
シーン5 訪問リハビリテーション
シーン6 年功序列
これだけは伝えたいこの章のまとめ
著者がお勧めする作業活動
おわりに
成長編
第1章 内省 先輩作業療法士は成功し続けてきたのか?
シーン1 腕神経叢麻痺を受傷した女性クライエント(作業療法士1年目)
シーン2 着衣失行のクライエント(作業療法士4年目)
シーン3 クライエントの作業ニード(作業療法士5年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第2章 希望 作業療法の専門性に希望をもとう!
シーン1 PTはOTより頭がいい?(作業療法士4年目)
シーン2 作業療法とは?(作業療法士5年目)
シーン3 誰がための作業療法(作業療法士3年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第3章 研鑽 研鑽を始める、そして継続するモチベーションはどこから?
シーン1 勉強会(作業療法学生3年目)
シーン2 学会参加(作業療法士1年目)
シーン3 技術研鑽(作業療法士3年目 新職場1年目)
シーン4 他病院見学(作業療法士14年目 管理職時代)
シーン5 海外研修(作業療法士17年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で気になるであろう研修
Column1 志を同じくする仲間を創る
第4章 資格 何のために資格取得をするのか?
シーン1 AMPS(作業療法士3年目)
シーン2 そうだ、大学院へ行こう(作業療法士5年目)
シーン3 認定作業療法士(教員2年目 作業療法士9年目)
シーン4 訪問リハビリテーション管理者養成研修会(作業療法士13年目)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で気になる資格
臨床編
第5章 機能 作業療法における機能回復の捉え方
シーン1 料理人に戻りましょう!
シーン2 作業療法は上肢だけか?
シーン3-1 麻痺手と作業療法
シーン3-2 麻痺手と作業療法(5日後)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第6章 協働 作業療法士不信のクライエントとの壁をなくした寄り添い方
シーン1 作業療法経過報告書
シーン2 作業療法面接1(クライエントの思い)
シーン3 作業療法面接2(作業療法士の提案)
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第7章 共創 ものがなければ作ればいい(柔軟な発想こそ作業療法)
シーン1 作業の意味
シーン2 作業遂行分析
シーン3 箸作製のための頭の中1
シーン4 箸作製のための頭の中2
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で紹介したい筆者のOTバッグとたまに寄る店
第8章 自尊 クライエントと家族の尊厳を守る作業療法士
シーン1 担当変更
シーン2 クライエントを知る
シーン3 社会的環境へのアプローチ
シーン4 ただ与える作業ではない
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
教育編
第9章 推論 先輩OTの頭(リーズニング)を共有することで成長を支援する
シーン1 革細工で復職?
シーン2 実際の作業ストーリーに気づく(数日後)
シーン3 作業療法の力
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
第10章 充実 実習生が主体的に動き、作業療法を好きになるには?
シーン1 実習初日
シーン2 最強の助手!(実習開始2日目〜数日後)
シーン3 作業療法を好きになろう
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ書籍
Column2 現在の浅田さんに、当時のことを聞いてみた
第11章 機会 誰が為の実習(養成校と実習地の両者の視点)
シーン1 教育側の立場
シーン2 実習受け入れ施設の立場
シーン3 学生・臨床教育者・養成校三つ巴の実習
シーン4 丸投げで何がわかる?
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章でお勧めする映画
Column3 職場を選ぶ
第12章 指導 職員の教育のために叱らねばならない視点は?
シーン1 遅刻
シーン2 不正
シーン3 絶対評価
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役に立つかもしれない書籍
管理編
第13章 収益 適正単位数は? 常に付きまとう収益の問題の考え方
シーン1 収益
シーン2 専門職の業務
シーン3 職員あっての組織
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章でお勧めする映画
第14章 未来 管理で支援する産前産後の労働問題
シーン1 男性が育休をとったらダメですか?
シーン2 エンパワメント
シーン3 託児所がないっ!
シーン4 みんなあってのリハビリテーション科!
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ漫画
第15章 連携 医療職の大きな悩みの一つ、他職種連携を促す!
シーン1 看護師のやりがい
シーン2 ソーシャルワーカーの専門性
シーン3 理想と現実
シーン4 他職種から見る作業療法の専門性
これだけは伝えたいこの章のまとめ
この章で役立つ文献
第16章 改革 よりよい組織にするために皆で走り続ける
シーン1 評価がない??(療養型病床群での場面)
シーン2 インテーク面接(養型病床群での場面)
シーン3 収益確認と書類業務
シーン4 カンファレンス
シーン5 訪問リハビリテーション
シーン6 年功序列
これだけは伝えたいこの章のまとめ
著者がお勧めする作業活動
おわりに
書評
臨床のモヤモヤ解消につながる一冊。 ただしそのポイントは……評者:友利幸之介(東京工科大学,作業療法士)
若手の方から、「読んでおいたほうがよい本ってありますか?」と質問されることがあり、これまでの20 年間は、日本作業療法業界のレジェンドである故鎌倉矩子先生の『作業療法の世界』(三輪書店)を推薦してきた。しかしこれからは本書を推薦したい。というか、『先輩OT のの中』→『作業療法の世界』と順番に読んだほうが、作業療法の本質をスムーズに捉えることができるのかもしれない。いずれにせよ、あの名著に肩を並べるほどの秀作がついに出たな、というのが私が本書を読み終えたあとの感想である。
作業療法という職業は、悩み続けることを宿命づけられた専門職である。私も右も左もわからなかった新人のころ、15 年以上も経験がある上司が「患者さんのことで悩みすぎて夢に出てきた」と言っていたときに覚悟した。この悩みは一生続くのだと。本書は、そんな作業療法にまつわる多くのモヤモヤ、これを解消するきっかけになってくれる。
さっと内容を見てもらえたら、猛烈に共感を覚えるだろう。
― 理学療法士は頭がいいなあって引け目を感じちゃう(9 ページ)
― 初めての学会参加(18 ページ)
― 認定資格を取るべきか?(30ページ)
― 作業療法士不振のクライエントへの寄り添い方(47 ページ)
― 実習生が主体的に動き、作業療法を好きになるには?(82 ページ)
― 管理者として職員を叱るべきかどうか(101 ページ)
― 事務から単位数を上げてくれと言われるのだけど……(110ページ)
等々、作業療法士であれば誰もが一度は経験するモヤモヤ場面が多数取り上げられており、そのモヤモヤ場面の一つひとつに、著者がとった行動とその行動指針が解説されている。もちろん著者の行動や行動指針がすべて「正解」ではない。ただ「基本」ではあると思う。よって初学者は、思い切って著者の行動や行動指針をマネするのがいいと思う。そしてその行動が身についてきたら、自分なりの正解を模索していくのがいいだろう。著者は本書を経験談と謙遜しているが、作業療法は実学の性格が強く、経験を通して学ぶものであるし、また著者の経験もしっかりとした作業療法の理論や研究に裏付けられていることがわかる。
おそらく最もよくないのは、何かと理由をつけて何も行動しないことである。ただ本書を読むだけでは何も行動していないのと同意であり、モヤモヤ解消にはつながらない。本書を読み、ぜひとも臨床現場での行動につなげてほしい。もし私が臨床にいたとするなら、今日のモヤモヤ場面をノートに書き出し、自分がとった行動と本書とを見比べながら、自分なりの考えと明日とるべき行動をノートに書き出す、そんな使い方をするかもしれない。
最後になるが、本書の「おわりに」で、経験が上だから常に優れているわけではない。本当の意味で変わらなければいけないのは「先輩OT」の書籍を手にする若者ではなく、私たち先輩のほうかもしれない。「共学共進」で作業療法の未来を作り上げよう、と締めくくられている。私も付き合いが長いが、何かあっても人のせいにせずに自らが率先して動いて問題解決していくのが著者である。そんな素敵な先輩の頭の中を覗ける良書。お薦めです!
「作業療法ジャーナル」vol.58 no.4(2024年4月号)(三輪書店)より転載
若手の方から、「読んでおいたほうがよい本ってありますか?」と質問されることがあり、これまでの20 年間は、日本作業療法業界のレジェンドである故鎌倉矩子先生の『作業療法の世界』(三輪書店)を推薦してきた。しかしこれからは本書を推薦したい。というか、『先輩OT のの中』→『作業療法の世界』と順番に読んだほうが、作業療法の本質をスムーズに捉えることができるのかもしれない。いずれにせよ、あの名著に肩を並べるほどの秀作がついに出たな、というのが私が本書を読み終えたあとの感想である。
作業療法という職業は、悩み続けることを宿命づけられた専門職である。私も右も左もわからなかった新人のころ、15 年以上も経験がある上司が「患者さんのことで悩みすぎて夢に出てきた」と言っていたときに覚悟した。この悩みは一生続くのだと。本書は、そんな作業療法にまつわる多くのモヤモヤ、これを解消するきっかけになってくれる。
さっと内容を見てもらえたら、猛烈に共感を覚えるだろう。
― 理学療法士は頭がいいなあって引け目を感じちゃう(9 ページ)
― 初めての学会参加(18 ページ)
― 認定資格を取るべきか?(30ページ)
― 作業療法士不振のクライエントへの寄り添い方(47 ページ)
― 実習生が主体的に動き、作業療法を好きになるには?(82 ページ)
― 管理者として職員を叱るべきかどうか(101 ページ)
― 事務から単位数を上げてくれと言われるのだけど……(110ページ)
等々、作業療法士であれば誰もが一度は経験するモヤモヤ場面が多数取り上げられており、そのモヤモヤ場面の一つひとつに、著者がとった行動とその行動指針が解説されている。もちろん著者の行動や行動指針がすべて「正解」ではない。ただ「基本」ではあると思う。よって初学者は、思い切って著者の行動や行動指針をマネするのがいいと思う。そしてその行動が身についてきたら、自分なりの正解を模索していくのがいいだろう。著者は本書を経験談と謙遜しているが、作業療法は実学の性格が強く、経験を通して学ぶものであるし、また著者の経験もしっかりとした作業療法の理論や研究に裏付けられていることがわかる。
おそらく最もよくないのは、何かと理由をつけて何も行動しないことである。ただ本書を読むだけでは何も行動していないのと同意であり、モヤモヤ解消にはつながらない。本書を読み、ぜひとも臨床現場での行動につなげてほしい。もし私が臨床にいたとするなら、今日のモヤモヤ場面をノートに書き出し、自分がとった行動と本書とを見比べながら、自分なりの考えと明日とるべき行動をノートに書き出す、そんな使い方をするかもしれない。
最後になるが、本書の「おわりに」で、経験が上だから常に優れているわけではない。本当の意味で変わらなければいけないのは「先輩OT」の書籍を手にする若者ではなく、私たち先輩のほうかもしれない。「共学共進」で作業療法の未来を作り上げよう、と締めくくられている。私も付き合いが長いが、何かあっても人のせいにせずに自らが率先して動いて問題解決していくのが著者である。そんな素敵な先輩の頭の中を覗ける良書。お薦めです!
「作業療法ジャーナル」vol.58 no.4(2024年4月号)(三輪書店)より転載
【著】澤田辰徳(東京工科大学医療保健学部リハビリテーション学科作業療法学専攻 教授)