発達障害をもつ子どもと成人、家族のためのADL 作業療法士のための技術の絵本
内容紹介
子どもと家族の笑顔を引き出すOT技術書
小児領域の作業療法士として30年以上の臨床経験をもつ著者が、その情熱と温かい心をもって、作業療法技術と知識の理解と活用の仕方を、次の世代に伝えたい、そして明日の発展への提案をしたい、との思いから本書は執筆されました。
本書では、主にスタンダードな技術の根拠を、発達障害をもつ子どもの特性と基本的ADLの制限から解説しています。さらに、子どもと養育者の生活のいとなみの評価と解釈から、子育て支援とADL支援のための作業療法計画を具体的に示してあります。このような子どもと活動、養育者、作業療法士の交互作用(transaction)の様子をイラストで綴ることで、絵本を読んでいる感覚で作業療法の感動をお伝えします。
若いOTは、子どもたちの生活の活動のなかで、“出来たと、楽と、能力の輝き、笑顔を引き出していくとき”に、本当の作業療法の技術を習得したことに気づくはずです。本書はその手助けとなるADLの専門書です。
若いOTのみならず、保育士、教員、福祉施設職員、OT・PT学生、そして発達障害をもつお子さまのご家族の皆様にも読んでいただきたい一冊です。
目次
第1章 子どもと家族の生活とADL
1.発達とADL
[1]生活のいとなみのなかにADLの発達の根拠をみる
[2]生活場面にADL技術の根拠をみる
[3]発達領域におけるADL
1)基本的日常生活活動(基本的ADL)
2)コミュニケーション日常生活活動(CADL)
3)手段的日常生活活動(手段的ADL)・地域生活活動
[4]基本的ADLの基盤
1)感覚統合機能の発達
2)発達の指標と感覚統合の発達
3)コミュニケーションの発達とADL
(1)微笑の共有
(2)目と目の絆(eye contact)
(3)視線(テーマ)の共有
2.子どもと家族の発達と作業療法
[1]子育て支援に必要な作業療法技術の背景
1)子育て機能の変化
2)ライフステージにおける家庭と社会の役割
(1)乳児期(0~1歳)
(2)幼児期(1~6歳)
(3)学童期(6~12歳)
(4)青年期(12~24、5歳)
[2]養育者の発達
1)子どもの誕生に伴う生活の変化
2)養育者の知覚=評価システム
3)発達障害をもつ子どもの養育者の発達と作業療法士の基本的態度
3.家族の生活とADL
[1]乳児期(0~1歳半)
[2]幼児期(1歳半~6歳)
1)1歳半~3歳
2)4~6歳
4.基本的ADLの発達の根拠
5.生活のいとなみのなかにADL技術の根拠をみる
[1]「食事」と「更衣」
[2]ADL技術の根拠
6.子育て支援とADL支援
[1]子育て支援と作業療法士の役割
[2]ADL支援と作業療法士の役割
第2章 発達障害をもつ子どもの特性と基本的ADL
1.脳性麻痺をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害の特性
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)移動と機能的座位姿勢の発達
2)移動と機能的座位姿勢の制限
3)食事活動の制限・摂食機能の障害
4)清潔(入浴・整容)活動の制限
5)更衣活動の制限
6)排泄活動の制限
2.知的障害をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害の特性
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)二次性動因とADL
2)二次性動因の障害とADL制限
3)バランス障害とADL制限
4)食事活動の制限
5)清潔(入浴・整容)活動の制限
6)更衣活動の制限
7)排泄活動の制限
3.重度心身障害をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害の特性
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの障害
1)基本的ADLと関係が深い医療管理
(1)鼻腔経管(経鼻経管栄養)
(2)吸引
2)基本的ADLと関係が深い姿勢指導
3)摂食機能の障害
4)清潔(入浴・整容)活動の介助に応えようとする時に生じる制限
5)更衣活動の介助に応えようとする時に生じる制限
6)排泄活動の介助に応えようとする時に生じる制限
(1)尿失禁
(2)便秘
4.骨・関節疾患をもつ子ども(先天性多発性関節硬化症)
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADL制限
1)食事活動の制限
2)更衣活動の制限
3)清潔(入浴・整容)活動の制限
4)排泄活動の制限
5.二分脊椎症をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)清潔(入浴・整容)活動
2)更衣活動の制限
3)排泄活動の制限と制約
6.分娩麻痺をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)更衣活動の制限
2)清潔(入浴・整容)活動
3)排泄活動
7.自閉性障害をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能とコミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)食事活動、摂食機能の制限
2)清潔(入浴・整容)活動の制限
3)更衣活動の制限
4)排泄活動の制限
第3章 発達障害をもつ子どもと成人の真のニーズを明確にする評価と作業療法計画
1.ICFを共通言語として利用し、真のニーズを明確にする
[1]ICFとは
[2]歴史的必然性としてのICF
1)ICIDHの誕生と疾病の変化
2)1982年以降のスウェーデンの「障害」のとらえ方
3)国際障害者年とICF
[3]ICFと個別支援
2.個別支援計画作成における作業療法士の役割
3.生活の地図、三間表と子育て支援、ADL支援
[1]生活の地図
1)「生活の地図」の作り方
2)活用目的
3)活用方法
[2]三間表
[3]個別支援計画づくりにみる「生活の地図」
4.個別支援のなかでADLのニーズを明確にする
[1]個別支援計画における作業療法
[2]作業療法評価のプロセス(ADL支援と子育て支援)
1)(1)に至るまでの評価プロセス―子育て支援
2)(1)に至るまでの評価プロセス―ADL支援
3)(7)の評価プロセス―子育て支援とADL支援
4)(7)の作業療法計画―子育て支援とADL支援
5.作業療法計画
[1]子育て支援
[2]ADL支援
第4章 基本的ADL―失敗しない子育て支援、ADL支援
1.作業療法計画と治療理論
[1]子育て支援、ADL支援の基礎となる作業療法の実践理論の紹介
[2]失敗しない子育て支援、ADL支援の基礎となる作業療法計画と治療理論
1)脳性麻痺をもつ子どもの作業療法計画と治療理論
2)知的障害をもつ子どもの作業療法計画と治療理論
2.基礎理論と技術
[1]からだと環境とのより良い交互コミュニケーションを支える技術
1)育児場面から学ぶ姿勢指導の意味
2)育児場面から学ぶ抱っこと椅子
3)子どもの遊びから学ぶADL遂行に必要な姿勢
4)姿勢と道具
(1)食事
(2)更衣動作
(3)排泄動作
(4)整容動作
3.脳性麻痺と知的障害の特性と技術
[1]脳性麻痺と知的障害の特性とADL支援の原則
[2]道具に活かされる原則
1)皿固定台とテーブル
[3]ADLの姿勢に活かされる原則
1)後ろもたれ半立位、半膝立ち位と前もたれ姿勢
4.基本的ADLの遂行を促すための動作分析と応用行動分析理論、交互コミュニケーションとしての姿勢とその支援
[1]動作分析
1)摂食、更衣、排泄動作の特徴
[2]応用行動分析理論
1)応用行動分析理論とは
2)形成化(shaping)と連鎖化(chaining)
3)望ましい行動を強化する方法
4)望ましくない行動を軽減させる方法
[3]子どもの自発性を促す姿勢
1)立位バランスが未熟な場合の工夫
(1)ズボン着脱時の片手動作
2)座位バランスが未熟な場合の工夫
(1)ズボン着脱時の片手動作
5.支援の実際―動作分析と応用行動分析理論、交互コミュニケーションとしての姿勢とその支援
1)最重度知的障害をもつ対象者の摂食
2)脳性麻痺をもつ子どものズボンの着脱
3)知的障害をもつ子どものボタンかけ
4)脳性麻痺をもつ子どもと知的障害をもつ子どもの便座への着座
1.発達とADL
[1]生活のいとなみのなかにADLの発達の根拠をみる
[2]生活場面にADL技術の根拠をみる
[3]発達領域におけるADL
1)基本的日常生活活動(基本的ADL)
2)コミュニケーション日常生活活動(CADL)
3)手段的日常生活活動(手段的ADL)・地域生活活動
[4]基本的ADLの基盤
1)感覚統合機能の発達
2)発達の指標と感覚統合の発達
3)コミュニケーションの発達とADL
(1)微笑の共有
(2)目と目の絆(eye contact)
(3)視線(テーマ)の共有
2.子どもと家族の発達と作業療法
[1]子育て支援に必要な作業療法技術の背景
1)子育て機能の変化
2)ライフステージにおける家庭と社会の役割
(1)乳児期(0~1歳)
(2)幼児期(1~6歳)
(3)学童期(6~12歳)
(4)青年期(12~24、5歳)
[2]養育者の発達
1)子どもの誕生に伴う生活の変化
2)養育者の知覚=評価システム
3)発達障害をもつ子どもの養育者の発達と作業療法士の基本的態度
3.家族の生活とADL
[1]乳児期(0~1歳半)
[2]幼児期(1歳半~6歳)
1)1歳半~3歳
2)4~6歳
4.基本的ADLの発達の根拠
5.生活のいとなみのなかにADL技術の根拠をみる
[1]「食事」と「更衣」
[2]ADL技術の根拠
6.子育て支援とADL支援
[1]子育て支援と作業療法士の役割
[2]ADL支援と作業療法士の役割
第2章 発達障害をもつ子どもの特性と基本的ADL
1.脳性麻痺をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害の特性
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)移動と機能的座位姿勢の発達
2)移動と機能的座位姿勢の制限
3)食事活動の制限・摂食機能の障害
4)清潔(入浴・整容)活動の制限
5)更衣活動の制限
6)排泄活動の制限
2.知的障害をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害の特性
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)二次性動因とADL
2)二次性動因の障害とADL制限
3)バランス障害とADL制限
4)食事活動の制限
5)清潔(入浴・整容)活動の制限
6)更衣活動の制限
7)排泄活動の制限
3.重度心身障害をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害の特性
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの障害
1)基本的ADLと関係が深い医療管理
(1)鼻腔経管(経鼻経管栄養)
(2)吸引
2)基本的ADLと関係が深い姿勢指導
3)摂食機能の障害
4)清潔(入浴・整容)活動の介助に応えようとする時に生じる制限
5)更衣活動の介助に応えようとする時に生じる制限
6)排泄活動の介助に応えようとする時に生じる制限
(1)尿失禁
(2)便秘
4.骨・関節疾患をもつ子ども(先天性多発性関節硬化症)
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADL制限
1)食事活動の制限
2)更衣活動の制限
3)清潔(入浴・整容)活動の制限
4)排泄活動の制限
5.二分脊椎症をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)清潔(入浴・整容)活動
2)更衣活動の制限
3)排泄活動の制限と制約
6.分娩麻痺をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能
3)コミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)更衣活動の制限
2)清潔(入浴・整容)活動
3)排泄活動
7.自閉性障害をもつ子ども
[1]身体的、精神的機能障害
1)作業遂行要素
2)感覚統合機能とコミュニケーション
[2]基本的ADLの制限
1)食事活動、摂食機能の制限
2)清潔(入浴・整容)活動の制限
3)更衣活動の制限
4)排泄活動の制限
第3章 発達障害をもつ子どもと成人の真のニーズを明確にする評価と作業療法計画
1.ICFを共通言語として利用し、真のニーズを明確にする
[1]ICFとは
[2]歴史的必然性としてのICF
1)ICIDHの誕生と疾病の変化
2)1982年以降のスウェーデンの「障害」のとらえ方
3)国際障害者年とICF
[3]ICFと個別支援
2.個別支援計画作成における作業療法士の役割
3.生活の地図、三間表と子育て支援、ADL支援
[1]生活の地図
1)「生活の地図」の作り方
2)活用目的
3)活用方法
[2]三間表
[3]個別支援計画づくりにみる「生活の地図」
4.個別支援のなかでADLのニーズを明確にする
[1]個別支援計画における作業療法
[2]作業療法評価のプロセス(ADL支援と子育て支援)
1)(1)に至るまでの評価プロセス―子育て支援
2)(1)に至るまでの評価プロセス―ADL支援
3)(7)の評価プロセス―子育て支援とADL支援
4)(7)の作業療法計画―子育て支援とADL支援
5.作業療法計画
[1]子育て支援
[2]ADL支援
第4章 基本的ADL―失敗しない子育て支援、ADL支援
1.作業療法計画と治療理論
[1]子育て支援、ADL支援の基礎となる作業療法の実践理論の紹介
[2]失敗しない子育て支援、ADL支援の基礎となる作業療法計画と治療理論
1)脳性麻痺をもつ子どもの作業療法計画と治療理論
2)知的障害をもつ子どもの作業療法計画と治療理論
2.基礎理論と技術
[1]からだと環境とのより良い交互コミュニケーションを支える技術
1)育児場面から学ぶ姿勢指導の意味
2)育児場面から学ぶ抱っこと椅子
3)子どもの遊びから学ぶADL遂行に必要な姿勢
4)姿勢と道具
(1)食事
(2)更衣動作
(3)排泄動作
(4)整容動作
3.脳性麻痺と知的障害の特性と技術
[1]脳性麻痺と知的障害の特性とADL支援の原則
[2]道具に活かされる原則
1)皿固定台とテーブル
[3]ADLの姿勢に活かされる原則
1)後ろもたれ半立位、半膝立ち位と前もたれ姿勢
4.基本的ADLの遂行を促すための動作分析と応用行動分析理論、交互コミュニケーションとしての姿勢とその支援
[1]動作分析
1)摂食、更衣、排泄動作の特徴
[2]応用行動分析理論
1)応用行動分析理論とは
2)形成化(shaping)と連鎖化(chaining)
3)望ましい行動を強化する方法
4)望ましくない行動を軽減させる方法
[3]子どもの自発性を促す姿勢
1)立位バランスが未熟な場合の工夫
(1)ズボン着脱時の片手動作
2)座位バランスが未熟な場合の工夫
(1)ズボン着脱時の片手動作
5.支援の実際―動作分析と応用行動分析理論、交互コミュニケーションとしての姿勢とその支援
1)最重度知的障害をもつ対象者の摂食
2)脳性麻痺をもつ子どものズボンの着脱
3)知的障害をもつ子どものボタンかけ
4)脳性麻痺をもつ子どもと知的障害をもつ子どもの便座への着座
【著】 辛島千恵子(名古屋大学医学部保健学科作業療法学専攻)
正誤表【PDF】