生活機能向上を目的とした理学療法とは何か、理学療法士の専門性とは何か、本書はこれらの課題への大きな道しるべとなるはずである

回復期や維持期といった脳損傷の生活場面における理学療法のかかわりを解説した本書は、改訂版では、ここ7年間の新しい知識や2001年制定の「国際生活機能分類(ICF)」の視点に照らし合わせた全項目の見直しと書き改めに加え、新たに「FIT program」、「片麻痺の装具・歩行補助具」、「福祉用具の適用における理学療法士の役割」といった項目を追加し、さらに有用で充実した内容となった。
　回復期や維持期リハビリテーションでは、実際の生活を想定しながら、チームアプローチを進めていかなければいけない。それゆえ活動水準をどのように上げていくか、チームにおける協業のあり方をどうするか、生活機能向上を目的とした理学療法とは何か、理学療法士の専門性とは何か、本書はこれらの課題への大きな道しるべとなるはずである。

第1章　運動障害と理学療法モデル
　1.成人中枢神経障害に対する理学療法モデルの変遷と今日的課題・・・高橋正明
　2.運動制御と運動療法・・・星　文彦
　3.片麻痺の運動障害と姿勢調整・・・冨田昌夫

第2章　片麻痺の評価
　1.片麻痺の評価・・・江西一成
　2.片麻痺の動作分析・・・吉尾雅春

第3章　理学療法の実際
　1.荷重連鎖と理学療法・・・吉尾雅春
　2.脳卒中片麻痺患者に対する認知運動療法・・・池田耕治, 他
　3.回復期の理学療法と歩行練習・・・松田淳子
　4.片麻痺の装具と歩行補助具・・・大籔弘子
　5.片麻痺患者の廃用症候群と理学療法・・・木村美子
　6.片麻痺の実用ADL練習・・・神沢信行
　7.Full-time Integrated Treatment (FIT) program・・・永井将太, 他
　8.上肢および高次脳機能に対するアプローチ・・・大槻利夫
　9.多発性脳梗塞の理学療法・・・三宮克彦, 他
　10.摂食・嚥下障害、構音障害の評価と治療・・・吉田　剛

第4章　生活と理学療法
　1.生活機能向上のための理学療法の進め方・・・金谷さとみ
　2.福祉用具適用のための生活機能障害のアセスメントと理学療法(士)の役割・・・吉川和徳
　3.生活環境の評価と改造・・・松葉貴司
　4.ケアマネジメントと理学療法・・・備酒伸彦